Googleの「Gemini」は、「Android」への統合が進み、ウェブ版の人気も高まっている。しかし現時点では、「ChatGPT」が市場シェアで大きくリードしており、Geminiのシェアが13.5%であるのに対し、ChatGPTは60〜80%を占めている。このような状況の中で、日常的なインターネット検索も、従来の方法からAIを使った手段へと徐々に移行しつつある。
AIは今やあらゆる場所に存在しており、今後も消えることはない。正確性を確認しながら使えば非常に便利なツールだが、全てのユーザーがその存在を歓迎しているわけではない。特に懸念されるのがプライバシーの問題であり、これは誰もが真剣に考えるべき重要なテーマである。
AIを使えば、従来の検索エンジンよりもプライバシーが守られるように感じるかもしれないが、それは誤解である。ローカル環境でAIを使用しない限り、ChatGPT、Gemini、「Copilot」「Sanctrum」「Aria」など、どのサービスを使ってもチャット履歴が保存され、通常の検索と同様に利用される可能性がある。さらに悪いことに、その履歴が大規模言語モデル(LLM)のトレーニングに使われることもある。
こうしたケースは全て、プライバシーの侵害に当たる。つまり、これらのツールを使う人は、利便性と引き換えにプライバシーを手放していることになる。残念ながら、こうした状況はデジタルの世界ではあまりにも一般的だ。
とはいえ、幸いにもこの問題を回避する方法は存在する。Googleは、ユーザーのために非常にシンプルなツールを提供している。それが「Temporary Chats(一時チャット)」という新機能である。この機能は、ウェブブラウザーのシークレットモードに似ており、Temporary Chatsで行った会話は他のチャットに影響を与える目的で使用されることはない。
Temporary Chatsでのやりとりは履歴に表示されず(Geminiアプリの履歴も含む)、パーソナライゼーションやLLMのトレーニングにも使われない。
この機能は非常に魅力的だが、注意点もある。Temporary Chatsで行った会話は、継続できるように72時間保存されるが、それを過ぎるとチャットは完全に消去され、再び閲覧できない。とはいえ、AIを使う必要があるがプライバシーを重視する人にとっては、Temporary Chatsは欠かせない機能だといえる。
もちろん、AIチャットで最高レベルのプライバシーを求めるなら、ローカルAIの利用を検討すべきだ。例えば、「Ollama」のようなツールは、「Linux」「macOS」「Windows」にインストールして使える。
GoogleはTemporary Chats機能をGeminiアプリにも展開し始めているが、まだ全ての端末に行き渡っているわけではない。筆者の「Pixel 9 Pro」には現時点でこの機能が搭載されていないため、Temporary Chatsを使いたい場合はウェブ版を利用する必要がある。今後、この機能が世界中でリリースされ、誰でもモバイル版Geminiで使えるようになることを期待している。それまでは、ウェブ版を使えば問題ない。
筆者は、Geminiとの全てのやりとりにTemporary Chatsを使い始めている。もちろん、同機能が自分の端末に展開されるまでウェブインターフェースに限定されるが、筆者はほとんどの場合ローカルAIをデフォルトで使用しているため、それでも特に不便は感じていない。
Temporary Chatsの使い方は非常に簡単である。Googleはこの機能を誰でも直感的に使えるように設計している。新しいチャットを開始する際、画面右側にあるアイコンをクリックまたはタップするだけでよい。すると、チャットウィンドウの上部にバナーが表示され、Temporary Chatモードであることが明示される。このバナーが表示されない場合は、Temporary Chatsが有効になっていないことを意味する。

提供:Jack Wallen/ZDNET
この機能は、モバイル版のGeminiにも展開されれば、ウェブ版と同様の手順で利用できるようになるだろう。
クエリーを入力すると、通常のチャット履歴のサイドバーには表示されないことに気づくはずだ。そして、新しいチャットを開始すると、Temporary Chatsのセッションは終了し、履歴も残らない。

提供:Jack Wallen/ZDNET
Temporary Chatsにも、Deep ResearchやCanvas、Imagenによる画像生成、ガイド付き学習などのオプションが提供されている。そのため、機能が制限された簡易版を使っているという印象を受けることはない。

提供:Jack Wallen/ZDNET
つまり、Temporary Chatsはプライバシーを守るための有効な手段であり、LLMのトレーニングには使用されず、ユーザープロファイルの構築にも利用されない。Geminiを利用する全てのユーザーは、GoogleのAIサービスを使う際にTemporary Chatsの活用を検討すべきである。
この機能がモバイル版アプリにも早期に展開され、より手軽に使えるようになることを期待している。

提供:Jack Wallen / Elyse Betters Picaro / ZDNET
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
