中国の次期外相の有力候補と見なされていた劉建超氏が事情聴取のため拘束されたとの報道を受け、現外相である王毅氏の後継者は誰になるのか、再び不透明な状況になっている。
中国共産党中央対外連絡部の部長を務める劉氏の拘束については、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。詳しい理由は不明。劉氏は世界各国の政党や市民団体と関係を構築する役割を担う中央対外連絡部を率いていた。同部は外務省とは別組織。
習近平国家主席が、トランプ政権下の米国より信頼できるパートナーだとして中国の存在をアピールする中、劉氏が更迭されることになれば外交政策のかじ取りに空白が生じることになる。王毅氏は、以前定年とされていた年齢を超えて外相と党の外交政策責任者を務めており、10月には72歳になる。
王氏は2年前に秦剛前外相が突然更迭されたことを受けて外相に復帰。習指導部の2期目に2人の幹部が分担していた役割を一手に担い、外交政策の立案と現場での交渉を自らこなしている。

劉建超氏(北京で7月に撮影)
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シンガポールの南洋理工大学で助教を務めるディラン・ロー氏は「王氏の後任に誰がなり得るのかは不明だ」とし、劉氏の更迭が確認されれば「士気の低下が生じるかもしれない」と指摘した。
中国外務省と党中央対外連絡部はいずれも劉氏に関する問い合わせに回答しなかった。
劉氏の失脚が確認されても理由は公にならない可能性があるが、中国では汚職に関連して高官が拘束されることが多い。しかし、劉氏の最近の行動をみると失脚の兆しはみられなかった。中央対外連絡部のウェブサイトによると、同氏の最近の会談相手には、南アフリカのラマポーザ大統領やインドとシンガポールの外相が含まれる。
米シンクタンク、大西洋評議会傘下グローバル・チャイナ・ハブのデクスター・ロバーツ上席客員フェローは、北京特派員時代に接したことがある劉氏について、中国の当局者としては「珍しく率直で親しみやすい人物だった」と評した。「西側メディアや西側諸国との関係改善に明らかに前向きだった」という。
劉氏(61)は、00年代には外務省の報道官として、近年は党での仕事を通じて中国の顔という重要な役割を担ってきた。改革や西側メディアとの良好な関係を支持することで知られ、米外交問題評議会のイベントでは、「改革開放」で中国がいかに変革したかを強調。1960年代に子供だった劉氏は「改革開放前後で劇的に生活が変わる様子」を目の当たりにしたと語っていた。
もし中国が王毅氏の後任となる外相を再び探す場合、以下の人物が有力候補になる可能性がある。中国の主要な外交機関の外交官を年齢や地位、経験などの要素を基に分析した。

馬朝旭氏
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馬朝旭氏
2023年から外務次官。秦氏と王氏の下で外務省の日常業務を統括してきた。秦氏の後任に選ばれなかったことから、専門家はそのまま定年まで現職を全うすると見ていた。劉氏更迭の場合、再び候補に浮上する可能性がある。肩書きは「次官」だが、公式な格付けは「大臣級」。
劉海星氏
党中央国家安全委員会弁公室の常務副主任。こちらも大臣級の格付け。同委員会は習近平氏の側近である蔡奇氏が率いている秘密機関で、「大国外交」戦略の実行を支援しているとみられる。劉氏の立ち位置は習氏から信頼を得ていることを示唆している。
孫衛東氏
元インド大使で、22年に外務次官に昇格した。専門家は習氏が力を入れる「周辺外交」で重要性を増しているアジア諸国との関係を担当しているとみている。

華春瑩氏
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華春瑩氏
元外務省報道官で国外で最も知られる中国高官の一人。21年後半に外務次官補に就任し、3年を待たずに外務次官になったため、同世代で最も早い昇格を果たした。儀典関連の統括を経験し、習氏との接触機会も多数。在外大使としての経験がない点が弱みになる可能性がある。
陸慷氏
劉建超氏が率いていた党中央対外連絡部の副部長で、次世代の若手候補。外務省報道官を務めた後、北米・大洋州局長を務めた。22年から24年まではインドネシア大使を務め、習氏の同国訪問とも時期が重なった。両国関係の強化が進んだ時期でもあった。
原題:Xi’s ‘Probe’ of Diplomat Puts China Foreign Policy Team in Doubt(抜粋)
