世界規模でのバリューチェーンは、携わる何億という人の努力で常に最適化させながら、簡単には止まらない。
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トランプ関税の第2幕は、現地時間7月7日正午に日韓に送った「たった25%の関税告知」レターで始まった。そこに書かれた「only25%」という表現が、尊大以外の何者でもないことは後で触れる。
日米の関税交渉は7月22日、日本から米国が巨額の投資を受け入れる一方、日本に対する25%の相互関税を15%に引き下げることで合意した。今後、米国は他の国や地域との交渉でも、当初の関税よりも引き下げる可能性がある。
ただそうはいっても問題は、1割を超えるような関税率がより広範囲に課せられるようになっても、グローバリズムは耐えられるのかである。もちろん、必ず限界的あるいは部分的な影響はあると考えるべきであるが、問題は全体から見た程度だ。
結論をいえば、筆者はその点を悲観してはいない。本誌7月15日号『独眼経眼』で筆者は、むしろ「グローバリズムの強(したた)かさ」について強調した。関税競争で米中間の貿易は確実に減少しているのに(図1)、それぞれの対世界輸出は伸び続けている様子(図2)をグラフで示した上で、「世界規模でのバリューチェーンは、携わる何億という人の努力で常に姿形を最適化させながら、簡単には止まらなくなっている」と表現した。
戦後世代の幻想
ただそれでも尋ねられるのが、迂回(うかい)輸出や駆け込み輸出の存在だ。筆者が最近対話した結構な数の機関投資家が、世界景気が悪くなっていないのは、これらの一時的効果によるものと疑っている。つまりここまでのトランプ関税でも潜在的に景気は十分に悪くなっていて、関税がさらに広範囲に引き上げられれば致命傷にもなりうると心配している。
筆者はこれらの効果も一部にはあるはずだが、戦後、単独で世界を引っ張っていたかのような米国の…
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週刊エコノミスト
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