大阪駅北口の商業施設グランフロント大阪には「無印良品」の西日本の旗艦店が構えていますが、ここで日常芸術の展覧会が開かれています。2024年秋に東京で開催された「TOKYO ARTSCAPES 2024」が、大阪版の「OSAKA ARTSCAPES 2025」として降臨しました。テーマは「食」。今月大阪で開かれている「Osaka Art & Design2025」と連携して、見応え十分のアート空間を提供していました。
Life in Art「OSAKA ARTSCAPES 2025」
会場:「無印良品 グランフロント大阪」(大阪市北区大深町3-1)
会期:2025年5月30日(金)~2025年6月29日(日)
観覧料:無料
詳しくは特設サイトへ。
2階に「OSAKA ARTSCAPES 2025」のメインエントランスがありました。こじゃれたテーブルセットに壁のアート。グラスや瓶の置かれた無造作な感じに、わが家も近づけるかなと夢想してしまいます。テーマが「食」だけに、食事どきのイメージです。参加している10人の作家が「食」をどう表現するのか楽しみです。
「OSAKA ARTSCAPES 2025」のメインエントランス
本展のメイン会場は無印良品の4階ですが、途中の各フロアにも展示が散りばめられています。売り場の天井を見上げると、福岡県在住のアーティストkrankさんの作品が見下ろしていました。設営も大変だったことでしょうね。krankさんは4階の会場で特別巡回展を開催しています。
売り場にあるkrankさんの作品展示風景
krankさんの作品展示風景
4階のメーン会場「食の記憶、くらしの余韻」にたどり着きました。「アートのある暮らし」は、芸術の香りあふれる居住空間を提案してくれるコーナーです。テレビドラマを見ていても、「オシャレな部屋だなあ」と憧れることはありますが、実際の暮らしは余計なモノにあふれて、理想とかけ離れて散らかってしまいがちです。シンプル・イズ・ベストとはわかっているのですが。
「アートのある暮らし」は、しゃれた家具を揃えた部屋のイメージを提案してくれます
著名な染色家、柚木沙弥郎(ゆのきさみろう) さんのリトグラフ作品が待っていました。1922年生まれで、柳宗悦が提唱する「民藝」との出会いを機に染色家の道を選びました。日常生活用品の美を探求する志向は、本展に重なります。2024年1月に現役のまま101歳で逝去されました。
柚木沙弥郎 リトグラフ展『パリ、左岸にて』の展示風景
4階にはさらに、絵画、朗読、立体作品など9人の作家による合同展覧会が催されていました。「食」のテーマに即して、面白い展示が並びます。個人的に感心したのは、石やスポンジたわしやパイプなどの生活部材から、そっくりの食品を連想して造形した札本彩子さんの作品でした。もとの部材と並べてあって、見比べると飽きません。どれも値札が付いていて、気に入ったら購入できます。しかも、無印良品さんだけあって、手の届く価格帯でした。
山口一郎さんの作品展示風景
山口一郎さんが会場でライブペインティングした作品も展示中
札本彩子さんの作品展示風景
マメイケダさんの作品展示風景
有瀬龍介さんの作品展示風景
元永彩子さんの作品展示風景
途中のフロアで空中作品を見たKrankさんの展示に入りました。昨年秋に「TOKYO ARTSCAPES 2024」のメインコンテンツの一つとして開催した「MOTHER -空想と現実のあいだにあるもの-」展の特別巡回展です。
krankさんは福岡県糸島育ちのアーティストで、音楽活動をしながらアンティーク家具の会社を設立してマルチに活躍しています。今回の作品群は、木彫り作品に巧みな照明を組み合わせて、幻想的な世界を生み出していました。一つの動物の彫刻に2か所から光を当てて、二つの影がまるで親子のように見える作品など、うならされました。母を思う子の心情を、温かみのある木彫りとライティングで表現した作品は、親孝行しなきゃという気持ちを呼び起こします。
krankさんの作品展示風景
krankさんの作品展示風景
無料でこれだけのアートを楽しめるイベントに恵まれて、関西の方はお幸せです。今月いっぱい、お楽しみください。
(読売新聞美術展ナビ編集班・丸山謙一)
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