フランスで絶賛されたモンブランが日本に! パティスリー「MORI YOSHIDA」 吉田守秀シェフの挑戦と革新のストーリー

パティスリー「MORI YOSHIDA」を手がける吉田守秀シェフ【写真:Miki D’Angelo Yamashita】

(Hint-Pot)

 フランス・パリで絶大な人気を誇るパティスリー「MORI YOSHIDA」。なかでもモンブランは、独創的なビジュアルと味で店を代表するスイーツです。オーナーシェフの吉田守秀さんに、モンブラン誕生の背景や、パティシエとして国境を超えて活躍する今の思いを伺いました。

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卓越した技術と創造性 高い評価を得る吉田さん

 パリのスイーツ界で存在感を放つパティスリー「MORI YOSHIDA」。ナポレオンが眠る歴史的建造物・アンヴァリッド近くの高級住宅街にあるガラス張りのショップは、2013年に日本人パティシエの吉田守秀さんによってオープンしました。

 当初から、店のショーケースには、ユズや抹茶など日本の素材を使ったケーキは並んでいません。あえて日本的な要素を使わず、国籍を超えたパティシエとして勝負する――そんな吉田さんの強い思いが込められています。

 2015年には、サロンデュショコラでC.C.Cの最高位金賞を受賞。その後、フランスの人気テレビ番組「LE MEILLEUR PATISSIER」(トップパティシエ)で優勝し、吉田さんの卓越した技術と創造性は、フランスのパティスリー界で確かな評価を得ています。

人気のモンブラン 独特フォルムの意図とは

 なかでも、パティスリー「MORI YOSHIDA」を代表するスイーツがモンブランです。本場・フランスでも絶大な人気を誇ります。マロンペーストにはフランス産の渋皮栗を使用。その上にふんわりとのせられたなめらかな生クリームからは、ラム酒の芳醇な香りが立ち上ります。

 最大の特徴は、そのフォルム。一般的に見られる細い糸状のクリームを山型に絞るスタイルとは異なり、小さな渦状を描くようにクリームを絞り上げ、まるで針葉樹のようなビジュアルに仕上げています。一度見たら忘れられない形ですが、吉田さんによると、このデザインの意図は、見た目ではなく別のところにあるそうです。

「このモンブランは、ビジュアルから入った形ではありません。細く絞った糸状のクリームでは、フランス人にとって栗の味の重みが足りない。パンチと深みを加えるためにマロンクリームをたっぷりのせるにはどうしたらいいか、試行錯誤の末、たどり着いたのがこのデザインです」

 フランスで生活して、フランスの食材を使い、フランスのトレンドを感じながら、フランス人のためのお菓子を作る。モンブラン誕生の背景には、味への徹底した探究心があったのです。

 アジア人としてのベースは大切にしつつ、フランス人の生活と文化に根付くフランス菓子を模索する。その姿勢こそが、パティシエ・吉田守秀のアイデンティティそのものです。

「地方には、まだまだ知らないフランス菓子もたくさんあります。郷土菓子の歴史や知識、技術を学びながら、フランス人に受け入れられるお菓子を極めていきたい」

 国境を超えて、フランス人を相手にフランス菓子で勝負する、並々ならぬ情熱を傾けていきます。

2024年11月、東京に店舗をかまえ“逆輸入”

 フランスで培った経験と信念が込められた吉田さんのお菓子たちが、ついに日本へ本格的に“逆輸入”されました。2024年11月、東京・中野に新たな店舗がオープンしたのです。

「フランスの食材を持ってきて『これがフランス菓子です』というのも、今の時代には合わないと思うんですよね」

 その地の旬の食材に向き合って表現していく――フランスではフランス産、日本では日本産の食材を用いることを信条とする吉田さん。そこにあるもので作る、それはフランスで学んだ基礎だといいます。日本の菓子には、北海道の乳製品や小麦粉、国産のフルーツを存分に使い、日本の食材でフランスにも負けないおいしさを追求していきたいそうです。

 そんな吉田さんは、どのようにしてパティシエの道を歩み始め、何が挑戦への原点となっているのでしょうか。次回は、その過程をお伝えします。

Miki D’Angelo Yamashita

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