米物価、全地区で上昇 経済活動は横ばい=地区連銀報告

米連邦準備理事会(FRB)が23日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、全ての地区で物価が上昇した。ニューヨークで2023年11月撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)

[23日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)が23日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、全米の大部分で物価が上昇し、経済活動と雇用は前回報告からほとんど変化がなかったが、国際貿易政策を巡る不確実性には全体に広がりが見られた。

今回の報告で、トランプ大統領が掲げる関税措置に企業や家計が適応しようとする中、全米各地で物価が上昇し、経済活動に減速の兆しが出ていることが判明。混沌とした状況の中、価格の急速な変化や、今後の人員削減の兆候なども報告された。

今回の報告は14日までに収集された情報に基づきアトランタ地区連銀が作成した。期間中にはトランプ米大統領が関税措置を発表し、貿易を巡る緊張が生じた。

報告は「国際貿易政策を巡る不確実性は全体に広く浸透していた」とし、「関税を巡る経済の不確実性が高まる中、複数の地区で見通しが著しく悪化した」と指摘した。

クリーブランド地区連銀は、地域経済を「横ばい」と表現。建設業界から、このところの需要増は一時的なものにすぎないとの見方が示されたとし、「関税措置に起因する建設コストの上昇と、広範な経済における不確実性により、向こう数カ月で需要は減速すると予想している」とした。

リッチモンド地区連銀は、供給業者が関税による近い将来の価格上昇を警告しており、こうした警告を受け取った企業は顧客に同様の警告を送っていると報告。複数の企業が、関税の影響が一段と明確になるまで新規投資を最小限に抑え、さまざまなコストシナリオに備えていると回答したとした。

シカゴ地区連銀は、ある機械メーカーの取引先が毎日のように価格を変更していると報告した。

アトランタ地区連銀は、今後の人員削減の兆しを指摘。需要減退とコスト圧力の高まりを受け若干の人員削減を計画していると報告した企業の数は少数ながらも増えていると報告した。貿易政策を巡る不確実性で需要が抑制され、追加的な人員削減が必要になる可能性も一部で指摘されたとした。

セントルイス地区連銀も、企業による人員削減の可能性を報告した。

サンフランシスコ地区連銀は、雇用水準はやや低下したと指摘。さまざまな業界や地域の雇用主から、人員削減、もしくは人員削減の計画の報告があったとした。また、賃金はわずかに上昇したとし、「全体的な物価は緩やかに上昇し、幅広い輸入品や原材料に対する価格圧力が強まった」と報告した。

<FRB、関税の影響見極めへ>

FRBのパウエル議長や政策担当者らは、関税が物価上昇と経済成長の鈍化の両方につながる可能性が高いとの見方を示している。FRBの短期金利の調整という政策手段は一度にどちらか一方しか対処できない。当局者らは現時点では、関税措置を巡る影響のほか、物価や労働市場の動向を見極める方針だ。

市場では、5月6-7日に開かれる次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利は4.25─4.50%に据え置かれるとの見方が強く、6月に利下げを再開すると見込んでいる。

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