日本銀行が昨年利上げにかじを切ったことを受け、日本国債が世界の債券市場で過去最大の損失を記録した。投資家は日本国債に対する戦略を再考している。

  鍵となるのは2025年度の国債利回りがどの程度上昇するかだ。一部のファンドマネジャーは、10年債の利回りが24年度ほど急激に上昇することはないとみている。

  為替レートの変動を除いたブルームバーグのデータによると、日本の国債は過去12カ月で5.2%下落し、ブルームバーグが分析した世界44の国債市場の中で最悪のパフォーマンスとなった。下落は6年連続で、1990年以来最大の落ち込みになる。これは、日銀の金利見通しが他の中央銀行と異なるために起きたことだ。

  みずほ証券の鈴木優理恵マーケットアナリストは、日本の金利はこれまで米国などの海外金利と連動していたが、最近は「米金利が低下する中でも円金利が上昇する場面がかなり見られた」と語る。

  金利上昇により、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)や全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)などの投資家は、1138兆円の日本の債券市場に対する投資戦略の再考を余儀なくされている。一部のファンドマネジャーは10年債の利回りが28日の1.545%から2%まで上がると見込む。

  日銀は昨年3月に世界で最後のマイナス金利を解除して以降、金利を3度引き上げた。一方、米国からユーロ圏に至るまで他の中央銀行は金融緩和策を講じており、スイスの金利は日本を下回っている。日本の10年債利回りは27日、2008年以来の高水準を付けた。

  バークレイズ証券の為替債券調査部長、門田真一郎氏は「一般的には金利は徐々に上昇するだろう」と話す。ただ、昨年大きく動いたため「売り崩しのペースは緩やかになる」とみている。 

  ブルームバーグがエコノミストやストラテジストを対象に実施した調査では、新年度の10年債利回りは1.66%での着地が見込まれている。ブルームバーグがまとめたデータによると、この見通しが実現した場合でも、今債券を購入すれば0.6%の利益が得られる。

Japan Yields Rise

 

 

  超低金利の時代が何十年も続いた後に国債利回りが上昇に転じたことは、特に海外投資家にとってチャンスだ。物価連動国債を除く日本の国債市場は、英国、フランス、イタリアを合わせた規模より大きい。

  日本証券業協会のデータによると、2月には残存期間が10年超の日本国債に海外から過去最多の資金が流入した。アルファバリューとSARIMのグローバルマクロ戦略責任者であるヤン・ルパップ氏はインタビューで、為替リスクをヘッジする欧州の投資家にとって、償還期間の長い日本国債の利回り上昇は米国債よりも魅力的だと述べた。

  日本の債券利回りは今年低下するとの見立てもある。みずほ証の鈴木氏は、市場が日銀の利上げ回数を多く読み過ぎている可能性に触れ、「利上げ期待の剝落とともに、年後半あたりから金利は低下してくる」と予想する。ただ、日銀が7月に利上げする確度は高く、「そこで一時的に金利が上昇することはあり得る」と言う。

  それでも、日銀の植田和男総裁が最近の金利上昇についてそれほど懸念していないと発言したことから、金利が日本の失われた10年に似た状況にある中国を上回ることは十分考えられる。

  三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、ファンダメンタルズに合った金利水準への回帰がすでに起きているとみており、その調整が続く新年度はさらに債券が売られる可能性があるとの見方を示した。

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