小赤川橋が崩落し、寸断された国道279号(2021年8月10日、むつ市大畑町で)小赤川橋が崩落し、寸断された国道279号(2021年8月10日、むつ市大畑町で)旧下風呂小の体育館には、組み立てが簡単なテントや備品が置かれている(4月下旬、風間浦村で)旧下風呂小の体育館には、組み立てが簡単なテントや備品が置かれている(4月下旬、風間浦村で)

 ■大雨で一時孤立 2021年8月に県内を襲った大雨災害。むつ市と風間浦村を結ぶ国道279号では、同市大畑町の小赤川橋が崩落するなどして、同村下風呂地区の600人以上が一時孤立した。村は、旧下風呂小学校を避難所として約2週間にわたって開設。最大178人を受け入れたが、地区では断水や停電にも見舞われ、住民らは不安な日々を送ることになった。 避難所では当時、断水でトイレの水が不足。雨水をためて使用するなどしてしのいだ。また停電のため、非常食を作るためのお湯を沸かすのにも時間がかかったという。運営を担った村産業建設課の木村祐生総括主幹は「夏でも涼しい気候だったので助かったが、冬場であれば暖をとるのに苦労したと思う」と振り返る。
 元日の能登半島地震では、発生から時間がたっても多くの被災者が避難所生活や車中泊を余儀なくされた。避難所での備蓄不足が露呈したほか、学校の教室や体育館で雑魚寝を強いられ、エコノミークラス症候群や新型コロナなどの感染症の
蔓延(まんえん)
といったリスクも浮き彫りになった。
■長期の避難生活課題 大雨で孤立した風間浦村の場合、多くの避難者は数日で自宅に戻ることができたため、長期間にわたる共同生活は避けられた。だが、小赤川橋の崩落や土砂崩れに伴い、食料や救援物資は自衛隊など外部からの支援に頼らざるを得ない状況だった。組み立てが簡単で個室にもなるテントや段ボールベッドは数に限りがあったため、利用できたのは高齢者や下風呂温泉郷に宿泊していた観光客ら一部だったという。 長期にわたる避難生活を強いられた場合に、災害関連死を防ぎつつどう避難所を運営するか。実際に一部地区が孤立した村にとって、重い課題として突きつけられた。 村は被災経験と能登半島地震の発生を受け、避難所の運営体制の改善や備蓄品の拡充に努めている。素早い避難所開設を目指すため、避難所の鍵を地区に住む職員だけでなく、自主防災組織に所属する住民とも共有した。また、段ボールベッドや仮設トイレといった備蓄品も追加。今後も毛布や飲料水などを順次増やしていくという。 ただ、冨岡宏村長は「村の財政的にも食料などの備蓄品を一気にそろえるのは厳しく、村民にも非常食や防災グッズの準備を呼びかけている」と打ち明ける。◇ 県内外で避難所体験などの防災活動に取り組む一般社団法人「男女共同参画地域みらいねっと」(青森市)の小山内世喜子代表理事は、「孤立に備え、自治体として最低1週間分の食料は確保しておくべきだ」と指摘する。一方で、「公助には限界がある。いざという時に民間の支援を得られるよう、自治体は平時から支援団体とつながりを持っておくことも必要だ」と話している。