兵庫県佐用町は、間伐などの整備が行き届かない山林が増える中、短期間で成木になる早生樹の一種のユーカリを植樹して森林を再生する試みを進めている。土砂崩れなどの災害防止対策やバイオマス燃料、建築用材などへの利用を模索し、放置林の整備で新たな「森づくり」を目指す。一方で、外来種の植林に、生態系への影響を懸念する声も上がっている。整備が行き届かない山林の再生策として実験が進むユーカリ(いずれも兵庫県佐用町で)整備が行き届かない山林の再生策として実験が進むユーカリ(いずれも兵庫県佐用町で) 同町は、町面積(307平方キロ・メートル)の8割が森林で、大半を民有林が占める。町が2019年度に実施した山林所有者へのアンケートでは、8割近くが間伐などの手入れをせずに放置。約3割が管理の負担や後継者不足を理由に「森林を手放したい」と回答した。

 こうした背景から、町は22年度から民有林を買い取る事業を始め、今年2月末現在で629ヘクタールを買い取っている。ユーカリ植栽事業の拠点施設となる旧利神小学校ユーカリ植栽事業の拠点施設となる旧利神小学校 森林荒廃が危惧される中、東京農工大と共同研究を進める民間企業「ジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)」(東京)が、ユーカリを活用した森の再生を提案。今年4月、新エネルギー資源の確保などを目指して産官学による連携協定を結び、廃校となった旧利神小学校の校舎を拠点施設に、ユーカリの育苗施設を造ることになった。 町が昨年5月から行っている実証実験では、町有地約1000平方メートルに5種類のユーカリ計約250本を植え、町内の自然環境での成長の仕方、鹿による食害を受けない品種の見極めなどを試している。24年度は約5ヘクタールの山林にユーカリを植える予定だ。 計画に対して、地元住民からは「生態系が壊される」といった反発もある。海外では、ユーカリの植樹で土壌の荒廃や水の枯渇などが発生している所もあると指摘する。 3月には、ユーカリによる森林再生の研究を進める東京農工大の教授らが出席し、住民説明会が開かれた。ユーカリは約10年で成木になり、成長が早いために水分を多く取るが、日本は雨量が多いので問題はない――などと説明した。 町農林振興課は「災害に強い森林づくりを最優先に多面的機能を発揮できるよう、森林整備に努めたい。恒常的な仕事の創設のため、早生樹を中心とした林業形態を構築したい」としている。