インタビューに応じる損害保険ジャパンの石川社長(東京都新宿区で) 損害保険会社は、保険料の事前調整が発覚し、失った信頼の回復に努めている。損害保険ジャパンは、中古車販売大手ビッグモーターによる保険金の不正請求問題で、金融庁から業務改善命令を受けた。新たに社長に就任した石川耕治氏に組織改革の取り組みと経営戦略について、話を聞いた。(聞き手・遠藤雅)
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社員にも変革しようという意識芽生えた ――社長に就任して感じることは。 「営業偏重の企業文化から起因して、さまざまな問題が生じていると指摘された。最初は経営判断によるものが大きな要因だという見方が強く、社員も他人ごとのように感じていたのではないか。現場を回って話をすると、今の企業文化ではいけない、変革しようという意識が芽生えているように思う」 ――企業風土を変える専門部署をつくった。 「目指す企業文化について、具体的に見ることができる仕組みを考えようとしている。一義的には、社員のサーベイやアンケートを徹底し、変化を追いかけていく。新設したカルチャー変革推進部が、企業文化の変化をチェックしていくことが重要だ。 当社の130年を超える歴史の中で、様々な事柄が重なってできたのが社風であり、それを変えていくには時間もかかる。腰を据えて取り組みたい」 ――政策保有株が顧客企業とのもたれ合いの温床だと指摘された。 「2030年度末までに、政策保有株をゼロにするという公約通りに遂行していきたい。金融庁からも、政策保有株は健全な競争環境をゆがめているとの指摘を受けた。今後も23年度の売却額(850億円)よりは増えていくだろう。 各企業の財務計画も考えて、(株式を発行する企業と)深いコミュニケーションを取っていきたい。純投資への振り替えは、今は具体的になっていない。まずは政策保有株をゼロにし、その過程の中で、純投資について考える可能性があるという次元だ」社員研修、しっかりしたプログラム作成 ――優秀な人材を確保するための投資は。 「24年度の春闘は、平均6%、(賃金を一律に引き上げる)ベースアップの回答をした。役職に応じて、3・5~10%のベアとなる見通しだ。 ビッグモーターと保険料調整の問題もあって、厳しい道のりだが、会社が一体感をもってやっていくには、やはり人への投資が欠かせない。研修についても、しっかりとしたプログラムを作って、専門性を高める教育の仕組みを考えていきたい」 ――自然災害の激甚化やコロナ禍からの人流の回復で、火災保険や自動車保険の収益が厳しい。 「保険料率の改定は当然、今後もあるという認識だ。また、セグメント別に細かく蓄積したデータを使って、リスクに見合った保険を引き受けるアンダーライティングの能力向上のために使っていきたい。 金銭的に補償を埋めるのが保険だが、これからはデータを駆使した防災や減災につながるコンサルティング機能が強くなってくる。保険の料率や補償範囲だけでなく、リスクのプロとして、防災や事故の後の事業継続を提案できるかという判断は非常に重要になってくる」
◆石川耕治氏(いしかわ・こうじ)
1991年中大商卒、安田火災海上保険(現損害保険ジャパン)入社。SOMPOホールディングス執行役秘書部長やグループの渉外部門のトップを務める執行役常務、損害保険ジャパン副社長を経て、2024年2月から社長。千葉県出身。
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