神戸市は、まち開きから40年以上が経過した神戸港の人工島・ポートアイランドの抜本的な再生に乗り出す。ビルやマンションが目立つ「海上都市」の緑化を進め「森の島」をつくる構想だ。今秋には一部車道を歩行者空間にするなどの社会実験を行い、2025年度中に基本計画の策定を目指す。(神戸総局 増田博一) ポートアイランドは1981年に1期工事が完了した。2010年完了の2期工事と合わせ、総面積は計約830ヘクタール。北側の1期地区は高層住宅群や商業ビル、港湾が中心で、南側の2期地区は、医療関連の研究機関や企業が360以上集まる「神戸医療産業都市」となっている。南側の沖合には、神戸空港がある。

 島の人口は一時2万人を超えたが、1995年の阪神大震災を機に減少に転じ、現在は約1万5000人。高齢化も進み、住人の3人に1人は65歳以上だ。特に繊維や靴の関連産業が集積していた1期地区の「ファッションタウン」は、産業構造の変化で企業が流出し、施設も老朽化が進む。 市は2021年度から再活性化策の検討を始めており、昨年3月、建築家の藤村龍至・東京芸術大准教授が、島の緑化を軸とするプランを提示した。 道路や広場を大幅に緑化し、歩行者空間を拡充。車ではなく、歩行者中心の自然と融合した「パークアイランド」として、職住が近接したエリアの価値を高める構想だ。 今秋には計画策定に向け、にぎわい創出の社会実験を実施する。週末を利用し、島を南北に走る4車線の大通りのうち2車線を歩行者空間に変更。キッチンカーでランチを提供し、生活雑貨を販売するイベントなども開く。住民や企業から意見を募って計画に反映させる。緑化が進んだ2050年の医療産業都市のイメージ図(Tokyo University of the Arts, Fujimura Laboratory)緑化が進んだ2050年の医療産業都市のイメージ図(Tokyo University of the Arts, Fujimura Laboratory) 再整備の本格化は30年頃を見込み、市未来都市推進課は「30年に予定する神戸空港への国際線就航で、ポートアイランドの潜在能力は高まる。民間投資を呼び込み、新たなにぎわいを作りたい」としている。

ポートアイランド
=海と山に挟まれて平地が少ない神戸市が、市街地拡大のために造成した人工島。工事は1966年に始まり、六甲山系の土砂を削ってベルトコンベヤーと船で運ぶ埋め立て手法は「山、海へ行く」と呼ばれた。臨海開発の先駆けとされ、まち開き翌年の81年に開催されたポートピア博覧会には約1600万人が訪れた。

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