2014年に米留学のため活動休止したアンジェラ・アキが、日本での活動を再開した。9日に開幕したミュージカル「この世界の片隅に」の音楽を手がけ、劇中歌を自ら歌ったアルバム「アンジェラ・アキ sings 『この世界の片隅に』」(ソニー)も出した。「すごく充実した気持ち。10年前の自分に、頑張ってくれてありがとうと言いたい」と語った。(鶴田裕介)ミュージカルに出演もしてみたい? 「本物の役者のパワーを見ると、私が出る幕ではない。私も皆さんも、得意なことをやり続けるのがみんなのため」ミュージカルに出演もしてみたい? 「本物の役者のパワーを見ると、私が出る幕ではない。私も皆さんも、得意なことをやり続けるのがみんなのため」 こうの史代の漫画が原作の「この世界の片隅に」は、太平洋戦争の頃に広島県呉市に嫁いだ主人公すずの日常がつづられ、映画化、ドラマ化もされてきた。

 約30曲を作り、帰国してミュージカルのリハーサルに参加した。ミュージカル音楽作家の仕事は、曲を渡したら終わりではないという。「稽古を見ながら、演出家のビジョンと違う場合は作り直します。作曲家が現場にいるのといないのとでは進み方が全然違います。歌詞を変えることもあり、役者さんたちは大変ですよね」と笑う。 「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」など、数多くのヒット曲を生んできたシンガー・ソングライター(SSW)にとって、ポピュラー音楽とミュージカル音楽は、作り方にどんな違いがあるのか。「ポップスは自分の経験から制作するので、主人公が自分の目線なのに対し、ミュージカルは脚本の流れの中で作詞をしていく。アンジェラ・アキという人間を一回忘れて、主人公や登場人物になりきって自然に出てくるものが、作品にマッチする」と説明する。 アルバムでは、ミュージカルの登場人物が歌う楽曲を、自身が歌っている。ミュージカルの本場・米国では、よくあるスタイルだそうだ。「自分で作ったんだけれど、カバーしているみたい。SSWとして歌う時はクラスのみんなの前で日記を読むような感覚で少し恥ずかしいんですが、これは教科書の素敵なお話をみんなの前で読んでいるよう」 14年の活動休止後、米国の音楽大学に留学。現在も生活の拠点は米国で、取材はリモートで行った。専門教育を受けて最も力になったと感じるのは、音楽理論だという。「オーケストラの編曲ができるようになり、どの楽器とどの楽器が相性がいいのか、わかるようになった。昔は頭の中で鳴っていた音楽をどう表現すればいいのか分からず苦戦したんですが、今ではそれが何なのかわかります」 持ち前のメロディーセンスを理論で固め、何でも具体化できる。無敵の状態と言えそうだ。「たどり着きたかったのはここだった、と強く感じます。作曲をする。作詞をする。歌を歌う。多分、永遠に続けていくんじゃないかな」と語った。