X(旧ツイッター)日本法人トップの松山歩・代表取締役(47)が読売新聞のインタビューに応じた。「日本のアニメや映画をXを通じて世界にどんどん発信していく」と述べ、日本発の動画配信を強化する方針を明らかにした。「インプ稼ぎ」と呼ばれる収益目的の投稿については、AI(人工知能)を活用した対策に努めると強調した。(ニューヨーク支局 小林泰裕)インタビューに応じるXの松山氏(25日、東京都内で)インタビューに応じるXの松山氏(25日、東京都内で) Xでは4月、日本の人気漫画が原作のアニメ「怪獣8号」の配信を始めた。テレビ放送と同時に全世界に配信する初めての取り組みで、世界中から反響があったという。松山氏は「日本が世界に誇る資産であるアニメを中心に、映画、スポーツ、ニュース番組など、日本のコンテンツの配信を進めていく」と話した。

 近く、スマートテレビ向けのアプリ提供を開始し、Xに投稿された動画を大画面で視聴できるようにすることも明らかにした。 日本でのXの2023年の1日あたり利用者数は約4000万人で、米国に次ぐ世界2位。22年から3%増えた。今年1~3月の平均利用時間は1日あたり43分で世界一だったという。インタビューに応じるXの松山氏(25日、東京都内で)インタビューに応じるXの松山氏(25日、東京都内で) 一方、1月の能登半島地震ではX上で偽情報が拡散した。昨夏に導入された、インプレッション(閲覧数)に応じて広告収益を分配するシステムが一因とみられる。松山氏は「広告収益の配分自体は今後も続けていく」と述べた上で、AIによる偽情報の検出や、悪質なアカウントは追跡して削除するといった対策を強化すると強調した。 松山氏は「言論の自由を守りながら様々なレベルで体制や投資を強化する」とも述べたが、具体的な内容については明言を避けた。
 
まつやま・あゆむ
 1999年、東大工学部卒。日本マイクロソフトなどを経て、2014年にツイッタージャパン入社。23年4月からX日本法人代表取締役。石川県出身。