熱血稽古で知られる森新太郎。「100本ノックで有名な方だけど私の声が変わるといけないと、今のところやり直しは3、4回程度には抑えてくれています」=須藤菜々子撮影熱血稽古で知られる森新太郎。「100本ノックで有名な方だけど私の声が変わるといけないと、今のところやり直しは3、4回程度には抑えてくれています」=須藤菜々子撮影 2021年に森新太郎演出のシェークスピア作品「ジュリアス・シーザー」で高潔な主人公ブルータスをりりしく演じ、紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞した吉田羊。今度は、同じ森演出、シェークスピアの「ハムレット Q1」で、主役のデンマーク王子、ハムレット役に臨む。再びの男性役だ。(小間井藍子)

 シェークスピアの四大悲劇として知られる「ハムレット」。実は原本が「Q1」「Q2」「F1」の3種類ある。QやFとは、本のサイズを示しており、行数が顕著に少ないのが、今回のQ1版だ。その印象について、「ぎゅっと凝縮されているので疾走感がある。いいとこ取りでつじつまの合わないところもあるけれど、この戯曲でお客様を納得させられるようカンパニー一丸となっている。挑戦です」と語る。
 父であるデンマーク王を暗殺し、母である王妃と結婚した叔父への
復讐(ふくしゅう)
のため狂気を装うハムレットの物語。シリアスで暗いイメージのある作品だが、森新太郎率いる稽古場では、ところどころで笑いが起きるのが印象的だったという。「あまりに一生懸命な人間の姿に笑ってしまう。純粋に動作がコミカルな場面もあって。こんなにも笑える作品なんだって思いました」
 前回、森と組んだ「ジュリアス・シーザー」は出演者が全員女性という異色の企画だった。「性別を超えて演じたことでいわゆる男性的な暴力性にフォーカスせず、人間そのものが浮かび上がった気がするんです」と振り返る。 今回も吉田は男性の役だが、他の役は男女混合の編成となる。「男性出演者もたくさんいますから、ハムレットを私が演じることで、自然に弱さが見えるはず。必死に自分を取り繕って目的を遂げようという姿が演劇的に表現できたら」と語る。あとは、王や王妃との関係性においても新鮮な仕上がりとなる予感がしている。「私自身がファザコンなので(笑)。吉田自身の思いも混じって父である王に向かって強烈なベクトルが向いたハムレットになるんじゃないかな」 3月まで放送された宮藤官九郎脚本のドラマ「不適切にもほどがある!」では、昭和にタイムスリップする令和の社会学者サカエを好演した。「あんなに知り合いから『見てます!』って言われたのは初めてでした」とにっこり。そして、「サカエさんのイメージが強く印象付けられたのはうれしいですが、今度は皆さんが見たことがないハムレットでそのイメージを塗り替えたいと思います」と意気込んでいる。 翻訳は松岡和子。東京・渋谷のパルコ劇場で、5月11日から6月2日まで。(電)0570・00・3337。

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