大阪府豊中市が今月から市立小全39校の開門時刻を繰り上げ、保育園並みの午前7時から子どもを受け入れる事業を始めた。子どもの小学校入学で働きづらくなった親を支援するのが狙いで、東京都三鷹市や横浜市などの都市部で同様の動きが出ている。「教員の働き方改革」に逆行しないよう、警備会社に見守りを委託するが、導入が広がるには財源確保が課題だ。(長沢勇貴)

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校門前、以前は行列 「仕事が朝8時からなので本当に助かります」 今春、長男(6)が豊中市立桜塚小に入学した保育士(35)は午前7時15分過ぎ、長男の手を引いて自宅を出る。午前7時半前には学校に長男を届けて職場に向かう。 桜塚小の本来の登校開始は午前8時だが、事前登録した家庭の子どもは、保護者の付き添いを条件に早く登校。体育館や多目的室で、読書、自習、軽い運動などをして過ごす。 市から委託された警備会社の見守り員2人が目を配り、けがなどのトラブルがあれば、市教育委員会に連絡し、市教委が保護者や学校に報告する。見守り員とは別に、以前から校門前に配置されていた警備員1人の勤務開始も繰り上げ、開門後の不審者侵入などに備える。 豊中市では以前、登校開始時刻前に子どもが校門前で行列をつくり、100人近く並ぶ学校もあった。共働き世帯増加などが原因とみられ、学校側が登校時刻を守るよう呼びかけても解消されなかった。そのため市は、今年度一般会計当初予算に人件費など関連経費約7100万円を計上してこの事業を始めた。市全体で約640家庭がサービスを利用しており、このうち1年生は半数程度で、1~4年生で8割を占める。小1の壁 子どもの小学校入学後、登校前や放課後の受け入れ先がなく、親が働きにくくなる問題は「小1の壁」と呼ばれる。長期休暇を除く平日朝に子どもを預かる学童保育は少なく、子どもがある程度成長するまで続く。子どもを家に置いて先に出勤したり、鍵を持って登校させたりすることに不安を感じる親は、出勤時刻の変更を迫られてきた。

 学校施設などを活用して子どもの居場所作りに取り組む民間団体「放課後NPOアフタースクール」(東京)が昨年、首都圏で小学生の子どもを持つ就労中の女性1000人を対象にしたアンケート調査では、小学校入学時に「働き方の見直しを検討した」家庭は、全体の50・7%に上る。 こうした親のニーズを背景に、豊中市以外でも朝の受け入れが始まっている。東京都三鷹市は昨年11月から市立小全15校の開門時刻を7時30分に前倒しし、シルバー人材センターの見守り員を各校に2人ずつ配置。今年度は約100家庭が利用し、約1700万円の予算を組んだ。 文部科学省によると、三鷹市と豊中市の取り組みは全国に先駆けたもので、横浜市はこれに続く。今年7月から市立小2校で、子どもを午前7時から受け入れるモデル事業を行う。「補助の仕組みを」 朝の受け入れに関する豊中市や三鷹市の予算は、交付金などに頼らない自主財源。小学校337校を抱える横浜市教委は「全校で実施すると費用は約8億円かかる。対象を広げるには財源確保が課題だ」とする。 放課後NPOアフタースクールの平岩国泰代表理事は「財政が厳しい自治体もあり、財源補助の仕組みがあってもいい」と指摘し、「子どもが小学校に上がれば子育ては一段落、という認識を社会全体で改めることも重要」と話している。「教員の負担が増えぬ工夫を」 教員の働き方改革で、中央教育審議会の特別部会は昨年8月、授業時間や学校行事の見直しなどの具体策を提言。「開門は登校時間の直前とするなど、朝の時間帯の業務負担の軽減」も掲げた。学校現場から「開門前の登校自粛をお願いしても保護者が守ってくれない」との声が多数寄せられたためで、文科省は翌月、取り組み徹底を都道府県の知事や教育長らに通知した。 教育研究家の妹尾昌俊さんは、豊中市などで始まった朝の受け入れについて「トラブル対応に市教委が責任を持つなど、教員の負担が増えないようにすることが重要だ」と話している。

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