「アラビアンダンス」と題された自筆譜 生誕100年を迎えた作曲家、團伊玖磨の新たな資料が確認された。團には、日本音楽著作権協会(JASRAC)に登録されているだけでも789の作品がある。自筆譜などの資料の大半は本人によって生前、神奈川県横須賀市に寄贈されたが、書斎に残っていたものや散逸しているものもあり、全体像の把握は課題になっていた。デジタルアーカイブ(電子保存資料)によって公開されることで、團音楽の研究を進めるための貴重な資料となりそうだ。(後田ひろえ)
團伊玖磨の幻の交響曲、北原白秋の文庫本に構想メモ…音源のみだった管弦楽曲の自筆譜も確認
團は作曲を始めた頃から、尊敬してやまない詩人北原白秋の詩に曲をつけ、歌曲集「六つの子供の歌」などを発表してきた。最晩年に構想した交響曲第7番も、白秋の詩集「邪宗門」が主題だった。交流があった「團伊玖磨さんの音楽を楽しむ会」(福岡県久留米市)の中野政則さん(故人)の著書によれば、「うたを伴う交響曲ですよ」「独唱曲は『邪宗門』の『天草雅歌』にしようと思っている」などと語っていたという。確認された「邪宗門」の文庫本の書き込みはそれらを裏付けるとともに、童謡や「筑後川」などの合唱曲で知られる團らしく、詩の言葉としての“うた”を大切にしていた姿勢を浮かび上がらせる。 戦後、世界各地を旅し、現地の人々と交流しながら民族音楽を追求してきた團。異国の地での音楽的な感動は、創作に大きな影響を与えた。自筆譜が見つかった「Arabian Dance(アラビアンダンス)」にもそれは色濃い。 晩年は日本文化の水源地として中国への関心を深めていた。 〈音楽はもっと世界共通の言語として民族の、国同士の文化交流の場として、今以上に生き生きとした力を発揮して良い〉 自伝につづられた言葉だ。確認された資料は、西洋音楽の伝統と日本独自の音楽の間で表現を探り続けてきた、作曲家の信念を伝えるものだ。
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