奈良県は、殺処分を減らす対策などをまとめた「動物愛護管理推進計画」(2018~27年度)を見直した。飼い主情報をひもづけたマイクロチップの装着を広め、飼い主不在の猫の不妊去勢手術に力を入れる内容だ。2022年度の犬猫の殺処分数は04年度の約1割の364匹まで減少しており、県はさらに対策を進め「動物との共生社会」の実現を目指す。(大森篤志) 県は08年に計画を策定し、適正な飼育の啓発に取り組んできた。現計画は27年度までの10年間の施策を盛り込んでおり、見直しでは、飼い主情報を入れるチップの普及を施策に示した。

 チップには識別番号が記録されており、皮膚の下に獣医師が注射で装着する。専用リーダーで読み取ることで、登録された飼い主情報と照合できる仕組みだ。遺棄を防いだり、逃げ出しても返還しやすくなったりし、殺処分の減少につながる。 動物愛護管理法の改正で22年6月から、ブリーダーなどにはチップ装着が義務づけられたが、譲り受けた場合など、チップをつけていない犬猫の飼い主は努力義務にとどまる。県は催しなどで周知を図り、制度の定着を目指す方針だ。 また殺処分される多くが幼い猫のため、いわゆる「地域猫」や飼い主が分からない猫の出産を抑制するため、不妊去勢に力を入れる。18~22年度には709匹の手術が行われた。手術は市町村経由で申請し、宇陀市の中和保健所動物愛護センターに動物を持ち込む必要があったが、今年度からは近くの動物病院でも手術可能にするという。 終生飼育や繁殖制限の必要性を訴えてきた成果は、データにも表れる。保健所への排せつ物や鳴き声など犬猫に関する苦情は1639件(06年度)から669件(22年度)に減少。飼い主のマナー意識が向上したことが原因とみられる。 センターなどによる引き取りも4014件から839件に減った。うち人への攻撃性や病気が治らずに殺処分された数は3815匹から364匹に減少した。 センターで譲渡を受ける希望者向けの講習を月数回開くなど、県や奈良市保健所は犬猫の新たな飼い主への譲渡にも注力しており、譲渡数は同期間で、93件から420件に増えた。 計画では27年度に、センターなどの引き取りを464件まで、殺処分を131匹まで、それぞれ減らす目標も掲げる。担当者は「発信を強化して1匹でも多くの譲渡につなげ、殺処分を減らしたい」とする。

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