土のうなどで応急措置が取られている井寺古墳 2016年の熊本地震で被災した国史跡・井寺古墳(熊本県嘉島町)で、町教育委員会が今夏にも復旧に向けた石室内部の調査に乗り出す。被災から8年、崩落の危険性から内部に入れなかったが、独自の安全対策器具を開発し、具体的に動き始めた。(北村真)
井寺古墳は九州を代表する装飾古墳の一つで、5世紀末頃に築かれた。石室内部に刻まれた直線と弧線による幾何学的文様が特徴だ。地震では墳丘に多数の亀裂が入り、石室がゆがみ、一部崩落するなど大きな被害が出た。
石室内部の詳細を把握できず、復旧方法の検討ができない状況が続いていたことから、町教委は作業中の落石に備えた安全対策を検討。鋼材を机の形に組み合わせた安全対策器具(高さ1・3メートル、縦1・2メートル、横1メートル)を独自に製作した。 狭い石室で一人で作業できるよう、パーツを内部に持ち込んで組み立てる方式を採用し、溶接やネジ締めも不要にした。将来的に石室の補強を行う場合には、土台になるよう工夫した。 人が直接、石室内に入れるようになれば、崩落、損傷した石材を回収できるほか、復旧の検討に必要な現状の詳細や、石積みの強度などに関するデータも得られるという。国との手続きを経て、学識者らでつくる町史跡保存整備検討委員会の指導を受け調査に入る。 安全対策器具を監修した山尾敏孝・熊本大名誉教授(土木工学)は「(こうした器具を使った調査は)前例のない取り組みで、今後ほかの被災古墳の復旧でも参考になるのでは」と話している。
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