海上保安庁が、太平洋
島嶼(とうしょ)
国の海上保安能力向上を支援するための担当班を新設したことがわかった。中国は近年、経済力を背景に一部の島嶼国と安全保障協定を締結するなど、南太平洋で存在感を強める。米国などと協調して支援を強化し、「法の支配」に基づく海域の安定確保を目指す。
南太平洋は、資源や食料を供給する豪州から日本、米国への海上交通路(シーレーン)の要衝に位置する。島嶼国14か国の広大な排他的経済水域(EEZ)に対し、海保機関の整備が間に合っていない実情がある。
海洋進出を図る中国は、島嶼各国で政府庁舎の建設を援助するなど経済支援を通じて影響力を強め、2022年にソロモン諸島と安保協定を締結した。今年1月にはナウルが台湾と断交し、中国と国交を結んだ。中国海軍の拠点作りを目指す動きもあり、日米などが進める「自由で開かれたインド太平洋」実現への脅威になりつつある。 海保は、外国の海保機関の能力向上を支援する「モバイルコーポレーションチーム(MCT)」を17年に発足させた。海賊への対処や中国公船の強引な活動を背景に、海保機関の創設が相次いだ東南アジアで支援を強化してきた。 さらに、近年の南太平洋での状況も踏まえ、昨年度にMCTを4班(1班3人)体制に増強した上で、うち1班を太平洋島嶼国の担当班とした。班員が日頃から島嶼各国と連絡を取り合い、抱える課題を理解しながら指導を続け、海上警察の人材育成や装備の充実などに寄与する狙いがある。個人的な信頼関係を構築し、関係強化につなげる効果も期待される。 今年1月には、ミクロネシア連邦とマーシャル諸島の2国に初めて、MCTを1週間ずつ派遣。日本財団が供与している巡視艇も活用し、計60人を超す現地職員に漂流者の救助訓練や国際法の講義などを実施した。米国や豪州の担当者も視察に訪れ、島嶼国での支援の連携について協議した。 海保を通じた取材に、ミクロネシア海上警察のスチュワード・ピーター司令官は「今後も継続的に専門技術を交換したい。日米豪間でうまく連携・調整した支援を期待する」と話した。
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モバイルコーポレーションチーム(MCT)
=外国の海上保安機関の能力向上を支援するため、2017年秋に7人体制で発足した専従部門。20か国に105回の支援・派遣実績がある。相手国の希望や実情に応じ、▽船舶への立ち入り▽制圧・逮捕術▽海難救助▽流出油の防除――などを指導する。
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