TBS CROSS DIG with Bloomberg
■要旨
・EUは対中貿易不均衡の是正へHEVセーフガード導入などで合意。
・EUは産業促進法などマクロ経済不均衡対策の法制化を加速中である。
・中国念頭のEU貿易規制は日本企業にも供給網再編を迫る要因である。
【写真を見る】日本企業も戦略を見直し? EUが対中国の不均衡対策を強化
■拡大続くEUの対中貿易不均衡
2026年入り後も、EUの中国からの輸入拡大と中国向けの輸出の減少は続いている。年間の貿易赤字は過去最高額を更新する勢いだ。
価格変動の影響を除いた数量ベースでは、2020年代に入ってからの中国からの輸入拡大と中国向けの輸出減少のトレンドは一層明確になる。25年には数量の増加と価格の下落という「中国からのデフレ輸出」的な傾向も観察されたが、足もとは輸入単価も上昇に転じている。
■対中輸入構造もダイナミックに変化、急務となる対中貿易不均衡拡大策
EUの中国からの輸入構造もダイナミックに変化している。2001年12月の中国の世界貿易機関(WTO)加盟後の「チャイナ・ショック1.0」では労働集約的な雑製品が主要な輸入製品だったが、その割合は、かつての半分程度まで減っている。化学製品は、「チャイナ・ショック1.0」期にはEUの比較優位産業であったが、中国からの輸入は着実に拡大し、21年以降、貿易収支はEU側の赤字に転じ、赤字幅は拡大している。機械・輸送機器が、EUの中国から輸入で最も高い割合を占める構造は不変だが、2010年代半ばまでの主力が通信機器(スマホなど)、事務用・データ処理機器(PCなど)であったのに対し、産業用機械、自動車、バッテリーなどの比重が高まっている。貿易収支は産業用機械が16年から、自動車は24年からEU側の赤字に転じている。
米国の保護主義と中国の過剰供給、エネルギー・コストの上昇という複合的要因による欧州の産業空洞化の脅威は一段と高まっており、対中貿易不均衡対策は急務となっている。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、9月16日に欧州議会で行った一般教書演説で「中国との貿易赤字は、今や1日当たり10億ユーロに達している」、「第2のチャイナ・ショックは既に現実」との危機意識を表明し、「中国との関係の均衡を回復するため、利用可能なあらゆる政策手段を活用する」方針を示した。
