米空軍研究所(AFRL)は10月20日、SpaceXの帰還カプセル「Starfall」を使い、ロケットの打ち上げや大気圏への再突入が積み荷に与える影響を調べる試験を実施したと発表した。世界のどこへでも1時間以内に物資を届けることを目指す「Rocket Cargo」計画の一環だ。米国から沖縄まで約30分で輸送できるとの試算もあり、将来は軍事物資の補給だけでなく、救助や災害救援への活用も想定する。

回収作業の訓練用貨物ポッドと救命装備。提供:SpaceX
回収作業の訓練用貨物ポッドと救命装備(出典:AFRL、提供:SpaceX)
※クリックすると拡大画像が見られます

 Rocket Cargoは、大型の商業ロケットを利用して軍用物資を世界各地へ迅速に届けることを目指す研究開発計画だ。AFRLが2021年に公表した構想では、最大100トンの貨物を1時間以内に地球上の任意の場所へ輸送することを目標に掲げている。

 輸送時間の短縮効果は大きい。米軍関係者の説明を基に報じられた試算によると、米カリフォルニア州から沖縄まで、通常のC-17輸送機では約12時間かかるのに対し、ロケットなら約30分で到達できるという。ただし、これは構想段階の試算であり、実際に30分で物資を届けたわけではない。

 今回の試験は、こうした高速輸送の実現に向け、積み荷がロケット特有の過酷な環境に耐えられるかを調べるものだ。米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から、商業ロケットの相乗り打ち上げを利用して実施した。

 Starfallには、AFRLが開発した貨物用の容器「貨物ポッド」を搭載した。内部には実際の任務で使う装備を想定した機材やセンサーを収め、打ち上げや大気圏への再突入で受ける温度変化、衝撃、振動などを測定した。

 試験対象には、衛星通信に対応した追跡装置やバッテリー、海水などから真水を作る逆浸透膜式の淡水化装置、救命装備、緊急医療機器などが含まれる。また、救命いかだ「UNI-PAC III」がカプセル内に収まるかも確認し、今後の試験への利用を検討した。

 ロケットによる物資輸送が実用化すれば、滑走路や道路を利用できない地域にも短時間で物資を届けられる可能性がある。AFRLは、軍事作戦での補給に加え、救助活動や災害救援、化学・生物・放射性物質などによる災害への対応にも役立つとみている。

 ただし、今回の試験は大量の物資を目的地まで運ぶ能力を実証したものではない。AFRLは、温度や衝撃などの具体的な測定値や、試験後の装備の状態についても公表していない。最大100トンを1時間以内に輸送するという目標の達成には、さらなる技術検証が必要になる。

 AFRLはSpaceXのほか、Blue Origin、Rocket Lab、Sierra Spaceなど複数の民間企業と協力している。今後も商業ロケットや帰還カプセルを使った試験を重ね、宇宙経由の物資輸送が実用化できるかを検証する方針だ。

Amazonで現在開催中のセールを見る

Amazonのアソシエイトとして、CNET Japanは適格販売により収入を得ています

Share.