アップル初の折りたたみiPhone「iPhone Duo」を1週間試用する機会を得た。

 実はこの夏、アップルが折りたたみiPhoneを出してくるだろうと思い、比較用にとサムスン電子のパスポートサイズの折りたたみ「Galaxy Z Fold 8」を購入し、ずっと使い続けてきた。

 2台を行き来しながら使ってみると、8世代にわたって折りたたみを作り続けてきたサムスン電子の底力と、後発のアップルならではの強みが、くっきりと見えてきた。

 まず、改めてiPhone Duoの本体をチェックしていこう。iPhone Duoは閉じると5.4インチ、開くと7.6インチ。閉じた状態は「パスポートサイズ」と呼ばれるが、実際に日本のパスポートと比べてみると縦は1cm弱短い。

 一方で横幅は84.1mmと、iPhone 18 Proの71.9mmより相当太い。片手で操作しようとすると、右手の小指で本体を支えることになり、長く使っていると小指にストレスを感じる。

 重さは254g。対するGalaxy Z Fold 8は201gだ。50g以上の差はポケットに入れても、手に持っても歴然としている。さらにGalaxy Z Fold 8のほうが画面が大きく、薄い。携帯性においては、Galaxyに軍配が上がると言わざるを得ない。

 使い勝手の差を感じたのが、2つのアプリを並べる画面分割だ。iPhone Duoでも2つのアプリを並べ、その組み合わせを「ペア」として保存できる。右の写真アプリから左のメールに画像を貼り付けるといった作業はかなり快適だ。

 ただ、Galaxy Z Fold 8に持ち替えると、表示の左右の入れ替えや上下への変更が簡単にでき、アプリのペアをホーム画面やタスクバー、アプリパネルにも貼り付けやすい。何年もかけて磨き込んできた跡が随所に感じられ、使いやすさへの配慮に改めて気づかされた。8世代の積み重ねは伊達ではない。

厚く重いが「全部入り」

 iPhone Duoの強みは、Galaxyが薄型化と引き換えにそぎ落としてきた機能が使えるという点にある。本体を途中の角度で止められるフレックスモードがそのひとつで、Galaxy Z Fold 8ではこれができない。

 さらにiPhone Duoは年内にペン入力にも対応する予定だ。厚く、重いのは間違いないが、そのぶん、できることは多いのだ。

 画面の下にカメラを埋め込む「アンダーディスプレイカメラ」も、Galaxyが「画質が悪い」として撤退した機能だ。iPhone Duoは開いた画面の下にこのカメラを採用しており、動画を見ていてもカメラの穴が一切見えない。

 実際、外側の画面にある12メガピクセルのフロントカメラで自撮りすると、髪の毛やヒゲのあとまでくっきり写る。ところが画面下のカメラに切り替えると、かなりぼやけてしまう。

 もっとも、アップルもそこは承知の上のようだ。画面下のカメラにはあえて「FaceTimeカメラ」という名前を付け、ビデオ通話用と割り切っている。写真をきれいに撮りたいときは外側のカメラを使い、開いた状態でのビデオ会議では画面下のカメラを使う。

 ハードとOSの両方を手がけるアップルらしさを感じたのが、アップル純正アプリの振る舞いだ。Apple TVアプリでは、半開きにすれば外側の画面で映像を再生し、120度くらいに開けば上半分に映像、下半分に操作画面を表示する。全開にすれば全画面だ。本体がいまどんな形なのかを判断して、表示を切り替えてくれる。

アプリの対応には課題も

 一方で、後発ゆえの課題も見えてきた。アプリの対応だ。

 iOS 27.1やiPhone Duoに最適化されていないアプリは、これまでのiPhoneと同じ縦長の表示のままになる。

 快適に使おうとすると、本体をくるりと90度回して縦長にし、拡大表示させる必要がある。Webページも、スマホ向けでもパソコン向けでもない、なんとも中途半端な表示になることがある。

 Galaxyが8世代かけて、グーグルやアプリ開発者と一緒に折りたたみ向けの表示を整えてきたのに対し、iPhone Duoはまだ始まったばかりだ。アプリ開発者やWeb制作者の早急な対応が求められるが、予約開始時に相当な台数を受注したことを考えると、おそらく、さまざまなアプリがすぐにでもiPhone Duoに対応してくるのではないか。

 逆に言えば、ここが整えばiPhone Duoは一気に化ける可能性がある。iPhoneという巨大なユーザー基盤があるだけに、開発者が対応を急ぐ動機は大きい。アップルが本気で開発者を巻き込めるかが、iPhone Duoの今後を左右しそうだ。

アップルの折りたたみ参入が及ぼす影響に期待

 軽さ、薄さ、画面分割の磨き込みで勝るGalaxy Z Fold 8か。機能の多さと、ハードとOSの一体開発による伸びしろに賭けるiPhone Duoか。

 Galaxyにとってみれば、iPhone Duoという強力なライバルが現れたことで、今後さらに進化していくことだろう。

 一方で、iPhone Duoは予約開始時から好調なスタートダッシュを切れたのは間違いない。

 サムスン電子が8世代にわたって折りたたみを作り続けてきたが、世間一般に普及するまでには至らなかった。しかし、アップルがiPhone Duoを投入したことで、折りたたみの認知は一気に拡大した。

 今後、アップルは数多くのアプリや開発者の存在(アプリ経済圏)を味方につけ、魅力的な折りたたみiPhoneというポジションを確立できれば、さらに人気を集めるだろう。

 あとは両社の戦いが「価格競争」につながり、手軽に折りたたみデビューできるようになることを期待したい。

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