オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は8月26日、25年以上続くアルゴ(Argo)フロートの観測が、世界の海洋観測と気候監視に大きく貢献していることを発表した。Argo Australiaの体制、運用、性能、成果をまとめたレビュー論文は、学術誌Marine and Freshwater Researchに掲載された。

過去20年間にオーストラリアが展開した1200基超のアルゴフロートは、インド洋、太平洋、南大洋で観測データを収集してきた。オレンジ色の軌跡はArgo Australiaが展開したフロートの移動経路を、青色の軌跡は国際パートナーが展開したフロートの移動経路を示す。© Fabrice Jaine, IMOS
(出典:CSIRO)
海洋観測センサーを搭載したアルゴフロートは海洋上層を漂流しながら、海面から水深約2000mまでを繰り返し観測し、温度、塩分、圧力を測定して衛星経由でデータを送る。生物地球化学アルゴフロートは酸素、pH、硝酸塩、クロロフィルも測定し、深海アルゴフロートは水深6000mまで観測する。これらのデータは研究、現業予報、気候監視を支えている。
オーストラリアは国際アルゴ計画の創設パートナーで、1999年10月に最初のフロートを展開した。アルゴフロートは2006年に発足した統合海洋観測システム(IMOS)を構成する観測技術の一つとなった。現在、Argo Australiaは世界のアルゴ観測網の約7.5%を管理する。2025年12月時点で稼働中の301基を管理し、累計1230基を展開、海洋特性に関する28万5000件超の観測プロファイルを収集、処理、配信した。オーストラリアのフロートは平均約6.5年間に約230件の観測プロファイルを送信し、国際平均の約4.5年間、約165件を上回る。
2019年以降、オーストラリア南極海盆には深海アルゴフロート17基を展開し、同海域で得られる深海観測プロファイルを従来の3倍超、冬季観測を10倍に増やした。1基は海氷と南極の棚氷下を約300km移動し、全水深の温度・塩分に関する約200件の観測プロファイルを送信した。観測はデンマン、シャクルトン両棚氷下の水塊の違いを明らかにし、海洋循環が棚氷の融解に影響し得る証拠を示した。
CSIROの研究者でIMOSのArgo Australia施設リーダーを務めるピーター・オーク(Peter Oke)博士は「アルゴは世界の海洋観測における大きな成功例の一つです。気候変動の検出、監視、理解に必要な長期測定を提供するとともに、海洋予報、海上活動、ブルーエコノミーを支えています」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
