高知県津野町を拠点に竹の芸術作品を手がけるアーティスト=竹藝家の男性がいます。

創作活動とともに、竹林の保全活動にも力を入れている男性が竹に込める思いを取材しました。

9月1日、高知市のオリエントホテルの1階ロビーでは、伝統工芸品の展示替えがおこなわれました。

■ 竹藝家・濱田哲彰さん
「これだけの限られたスペースというのはなかなか無いので、新たな挑戦というところでワクワクしてる」

津野町在住の濱田哲彰さん(44歳)。

竹を素材に芸術作品をつくるアーティスト=竹藝家です。

この日は、5メートルあまりの長い竹4本と、一定の長さに切りそろえた約800本の竹を枠の中に整然と並べていました。

■ 濱田さん
「時間をかければかけるほど作品に思いがのっていくというか、魂が宿るというか。何か向き合う時間っていうのがとても大事なように思ってる」

高知市で生まれ育った濱田さんは、写真に興味を持ちカメラマンを目指して東京のスタジオに就職しますが、その後、高知に戻り、竹の魅力にとりつかれます。

■ 濱田さん
「僕が竹の世界に入ったのも、土佐虎斑竹という世界で高知にしかない竹っていうのがあるって知って、それをより多くの方に知っていただきたいなという思いで始めた竹の活動で」

竹の芸術を極めたいと思った濱田さんは、2019年から大阪の世界的な竹藝家・四代田辺竹雲斎のもとで腕を磨き、国内外での創作活動を経て、2023年に高知へ戻ってきました。

濱田さんの作品は、バラエティに富んでいます。

細い虎斑竹と黒竹を幾重にも緻密に編み込んだ工芸作品。

こちらの作品は、鉄の枠の中心にある竹が凛とした存在感を放ちます。

花を生ける器は幅0.6ミリに削った細い竹を使っていて、影の美しさも計算しつつ半年かけて作り上げました。

濱田さんは2024年から県内外で個展を精力的に開いていて、繊細で個性的な芸術作品を通じて竹の魅力を発信しています。

■ 濱田さん
「竹っていう1つの素材からできるそのままの美しさであったり、それに技術を加えることで得られる美しさ、その両方を見ていただけたら」

創作活動ともに力を注ぐのが、竹林の保全活動。

須崎市固有の竹である「虎斑竹」の環境を守ろうと活動を始め、いまは津野町を拠点に他の地域の竹林の保護にも取り組んでいます。

7月末、濱田さんの自宅をいの町の地域おこしグループが訪れました。

濱田さんは、このグループとともに竹と和紙で提灯をつくるプロジェクトに取り組んでいて、この日は竹の加工方法などを教えました。

「材料ってどうなるんですか?竹林って持ってないと(竹)取れないんじゃないか」
「きれいな状態で伸びが良くて節も太くてというのを探そうとすると竹林に行ってもなかなか本当に無い」
「厚さが均等にするのがこれ今そのままやるとこんな感じでこっちペラペラでみたいな・・・」
「これをやる時にこの上の力と下の力がほぼ均等、こうやっていくと大体厚さが一緒になる」

また、濵田さんは、自分が管理する竹林に出向き、切りごろを迎えた3~4年目の竹の見分け方や切り方のコツなどを教えます。

「これとか、たぶん4年とか」
「どうやってわかる?」
「ここが白いのが無い、ほとんど。全部真っ黒になってるのが大体4年とか。この辺はちょっとまだ白、3年とかそれぐらいかなという感じで、そんなので見分けながら3年目4年目でも全然使えると思う」

■ 濱田さん
「いの提灯プロジェクトのお手伝いさせていただいてる感じだが、できれば地元の人たちが竹をヒゴにする技術を身につけてもらって、地元の人がそれをずっと守り続けるみたいな活動に出来たらなというところ。一緒にお手伝いさせていただきながらやっていくって感じ」

放置され荒れた竹林を少しでも減らそうと、活動の場はさらに広がっています。

日高村の「木の駅ひだか」で濱田さんは月1回、一般向けに竹の工芸教室を開いています。

昔と比べて暮らしの中で使う機会が減った竹製品の良さをあらためて感じてほしいのがねらいです。

■ 濱田さん
「それが(作業が)うまくいくと持っただけでほぼ円になるみたいな(竹)ひごができます。力が均等に全部の幅と厚みがそろった(竹)ひごを作れるようになるのが1番難しいけど大事なところになる」

この日は、県内外の生徒6人が「鍋敷き」づくりに挑みました。

濱田さんが用意した竹ひご6本を順番に編みこんでいきます。

■ 濱田さん
「ここ割れやすいから指でちょっと押さえてあげながら、こう差してあげるときれいにいく。それを順番に」

「素材の竹にやさしく」とのアドバイスを受けた生徒たち。悪戦苦闘しながらもなんとか形に整えました。

■ 生徒
「昔から家庭には必ず竹製品はあったけど編んだことないから、こうやって編むことが。竹にふれて楽しい。また来たいなと思う」
「途中どうなるかというところもあったけど完成して良かった。火であぶっていただいたのでふわっと模様ができて、ようやく完成したなという感じがする。かごとか編んでみたいなと思う」

2026年は竹を取り巻く環境について特別な年といわれています。

こちらは、竹の花。120年に1度しか咲かないといわれる「幻の花」ですが、2026年は多く咲いているといいます。花の咲いた竹林は枯れてしまうため、保全の点では良くない兆候です。しかし、竹の詳しい生態や仕組みはいまだに解明されていないことも多いといいます。

■ 濱田さん
「前までは素材として切らずに残しておいたものが、ちょっと使えないものになってしまった」
「あんまりわかってないことが多いので、そういうところもちゃんと記録していって。また120年後に何かの助けになったらいいかな」

濱田さんは、現在開催されている高知市内のホテルでの展示でロビーの天井に竹の花を飾っています。

訪れた人たちに神秘的な生態を含めた竹への関心を持ってほしいとの思いが込められています。

■ 濱田さん
「竹と話をしながら作品を作りたいっていうのはずっと思ってるし」
「その素材が持ってる無理の無いところを探しながら作品とかを作るのが1番お互いにとっていいのかなっていうところがあるし、そこは大切にしてるところ」
「(竹は)いま1番大切にしてるパートナーみたいになってる」

今回の展示のタイトルは『「時節」IN TIME』。

空に向かって成長していく竹に、出会いや新しい魅力を見つける旅と重ね合わせて、大好きな地元・高知を発信します。

この展示は2027年2月末まで約半年間のロングラン。参加型のワークショップや展示作品の内容を少しずつ変えていきながら、竹の世界の魅力を訪れる人に伝えていきます。

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