特集は、「時間外労働」、つまり「残業」です。労働基準監督署は9月から事業所に対して一律に残業を45時間未満に納めるよう指導することを止めました。どういうことなのか、県内の人はどれぐらい残業しているのか蔦アナウンサーが伝えます。
蔦アナウンサー
9月1日に、労働基準監督署が、色々な職場に対して時間外労働、つまり残業に関する指導の方針を改めました。
そもそも残業をさせるには条件があります。従業員の健康を守れるような措置を盛り込んだ、いわゆる「三六協定」を会社側と労働者側が結んで労働基準監督署へ届けて、初めてできるようになります。
その上で、残業は基本的にはひと月45時間以内、一年で360時間以内と法律で定められています。緊急の時は、最大でひと月100時間未満までは延長してもいいとなっていて、9月からは「ひと月45時間以上はだめ」とは言わないということになりました。一年で360時間の上限は変わりません。
これについてまちの声を伺いました。
先週の盛岡です。フリップに、ひと月当たりの残業時間をシールで貼って答えていただきました。
営業職
「スポーツ関係のビジネス。1日1時間ぐらいの感覚なので、年取ればとるほど徐々にしんどくなってきましたね。自分でコントロールして働きたい人が働けて、そんなに働きたくない人は権利が守られる人は多様性という意味ではいい」
食品会社
「食品会社。(指導方針改定は)自分には関係ない、当てはまらないから関係ないなと。会社全体でも、周りでも(残業を)してないから」
事務職
「事務なんですけど。お金よりも時間が大事」
Qアフターファイブ充実?
「そんな感じです。そういう会社。たぶん上司もそんなに残業していないので(午後)7時はたぶんみんな帰っていると思います。上限がないとどんどん残業する人も増えるので、上限はなきゃだめですよね」
2時間余りで44人にうかがった結果です。
一番多いのが「1~10時間」で、次が「なし」と「21~30時間」です。右の、紫の80時間以上の中には、車の販売店にお勤めという方がいました。
インタビューではこの赤から右、46時間以上の残業が増えてしまうのではないかという不安の声が聞かれました。それについて、岩手労働局に伺いました。
岩手労働局 監督課 山下立倫課長
「そもそもいま法律によって時間外労働の上限の時間が決まっておりますので、ひと月で時間外休日労働が100時間未満にしなければならないとか、複数月の平均で80時間以下にしなければならないとか、そういった上限、その45時間を超えるにしても年6回までの上限は今も変わっていませんし、監督署が上限規制の遵守、徹底については引き続き指導徹底してまいりますので、いわゆる残業させ放題とか残業命じられ放題になるかと言うと、そうならないように我々も指導を徹底する。健康障害の恐れがあるような過重労働が行われていないか」
会社・事業所は、人をたくさん働かせてもちゃんと健康を保てるように、管理ができるかどうかがこれまでより強く問われるようになります。
県内の労働問題の現状です。
2024年度、違法な時間外労働が、121の事業所で確認されました。具体的にはとある製造業の会社です。三六協定を結んでいたものの、その上限を超えた、一か月170時間の時間外・休日労働をさせていて、かつ会社は、その分の賃金を一部支払っていなかった、つまりただ働きをさせていたということです。
もう一つ、教育・研究業、これは主に学校や塾、もしくは研究機関のことです。こちらはひと月120時間の違法な残業をさせていて、かつその分の賃金が、計算間違いで不足していたそうです。時間外労働や休日労働には、通常の勤務時間よりも割増の賃金を支払わなければなりません。
どちらも岩手の労基署が是正するよう指導して、改善したということです。
その中、岩手でも働きすぎなことが、最悪の結果につながった例があります。昨年度、労働災害によって心筋梗塞、脳梗塞などの病気、うつ病などの精神障害にかかったと認められた人は15人、そのうち2人が精神障害で亡くなったということです。
岩手労働局の山下さんです。労働環境を改めるよう会社に指導をしても全く改善しないと認められた場合は、「労働基準監督官も特別司法警察職員として罰則適用のための捜査をする権限がある。司法手続きで検察への送検手続きをすることもある」と話しています。
ひと月単位の短い期間で見ると、残業に関する規制・指導は緩みましたが、働く人の健康と幸せを守るために職場はどうしているのか、本質的なことをより強く問われるようになったと言えます。労務管理のやり方に困った場合は、岩手労働局に相談してください。「残業45時間以上一律指導廃止」についてお伝えしました。
