
京都府の秋の土曜2日(2026年9月26日・10月3日)について、宿泊日の45日前から直近までのブッキングカーブを業態別に追った。9月26日(土)のシティホテルは45日前の推定OCC80.9%から直近(残り14日)92.1%へ+11.2pt、ビジネスホテルは67.7%→82.9%で+15.2pt、旅館は58.4%→78.2%で+19.8pt積み上がっている。「45日前におおむね決着している」という前提で直前期の打ち手を省略すると、京都の土曜では二桁ptの積み上がりを取りこぼす可能性がある、というのが本記事の出発点である(全国の上積み幅の分布は47都道府県の実測で読むブッキングカーブを参照)。
対象: 京都府のシティホテル・ビジネスホテル・旅館 N=349施設(宿泊日2026-09-26時点コホート/客室27,233室)。本記事の稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる。価格指標は本記事では扱わない。定義は記事末尾。データ時点: 2026年9月13日。
本記事のデータについて
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 完売施設率(推定)=対象コホートのうち、掲載在庫が確認できない施設の割合。
• 本記事では価格指標(ADR等)は扱っていません。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
Key Takeaways
— +11.2〜+19.8pt:9月26日(土)の京都府は、45日前から残り14日までにシティ・ビジネス・旅館の3業態とも推定OCCを二桁pt積み上げた(N=349施設)。
— 30日前以降が厚い:旅館は45日前→30日前が+8.5pt、30日前→直近が+11.3pt。ビジネスホテルも後半が上回り、残り30日を切ってからが実働の期間である。
— 残り日数で揃える:残り21日で比べると、10月3日(土)は9月26日より旅館−6.3pt・シティ−3.1pt、ビジネスは+0.8ptで、業態により週の差の出方が違う。
— 直前期は在庫が抜ける期間:9月26日の完売施設率(推定)はシティで30日前8.3%→直近22.2%、旅館で20.0%→29.3%へ切り上がった。
— 大阪府・東京都と同じ幅:京都府は45日前の水準が最も高いシティ・ビジネスでも、上積み(+11.2pt/+15.2pt)は大阪府・東京都と同じ二桁ptの帯にあった。
9月26日(土)— 45日前から直近まで、3業態とも積み上がり続けた
まず直近の土曜である2026年9月26日(土)。宿泊日の45日前(観測日8月12日)から直近観測(残り14日・9月12日)までを、京都府内の業態別コホートで追ったのが下のカーブである。横軸は宿泊日までの残り日数で、左が45日前、右に行くほど宿泊日に近づく。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
3本とも右肩上がりで、途中で平らになる区間がない。とくに旅館(N=116施設・2,182室)は45日前58.4%と3業態で最も低い位置から出発し、直近で78.2%まで19.8pt積み上げた。シティホテル(N=36施設・5,050室)は45日前の時点ですでに80.9%と高い水準にありながら、そこからさらに11.2pt伸びて92.1%に達している。ビジネスホテル(N=197施設・20,001室)は67.7%→82.9%で+15.2pt。出発点が高い業態ほど伸び幅は小さいが、それでも二桁ptが直前期に乗っているという形である。
30日前を境に前後を分けると性格の違いが見える。シティホテルは45日前→30日前で+6.5pt、30日前→直近で+4.7ptと前半がやや厚い。対して旅館は+8.5pt/+11.3ptで後半のほうが厚く、ビジネスホテルも+7.1pt/+8.1ptと後半が上回る。残り30日を切ってからの区間が、京都の土曜では依然として実働の期間だと読める。3つの定点で宿泊日の性格を判定する手順は、ブッキングカーブは3点だけ読むで詳しく整理している。
10月3日(土)— 1週間後の土曜は、同じ残り日数で比べると別の顔になる
翌週の10月3日(土)も同じ枠組みで見る。こちらは直近観測が残り21日(9月12日)なので、カーブは45日前から21日前までである。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
暦の進み方が違う2日を並べるときは、観測日ではなく同じ残り日数で切って比べるのが基本になる。残り21日時点で揃えると、シティホテルは9月26日91.0%に対し10月3日87.9%(−3.1pt)、旅館は74.4%に対し68.1%(−6.3pt)で、いずれも10月3日のほうが遅れている。一方ビジネスホテルは79.9%に対し80.7%(+0.8pt)とほぼ並ぶ。同じ「秋の京都の土曜」でも、業態によって1週間の差の出方がまったく違う。
10月3日の残室は、直近観測時点でシティホテル612室・ビジネスホテル3,871室・旅館670室。9月26日の同時点(残り14日)は397室・3,423室・476室である。
表1 京都府・秋の土曜2日の推定OCC 業態別定点(45日前/30日前/直近観測、観測日2026年9月12日時点)
宿泊日 / 業態45日前30日前直近観測45日前→直近N(施設)
9/26(土) シティホテル80.9%87.4%92.1%+11.2pt36
9/26(土) ビジネスホテル67.7%74.8%82.9%+15.2pt197
9/26(土) 旅館58.4%66.9%78.2%+19.8pt116
10/3(土) シティホテル79.9%85.5%87.9%+8.0pt36
10/3(土) ビジネスホテル70.3%76.3%80.7%+10.4pt198
10/3(土) 旅館56.2%63.1%68.1%+11.9pt115
直近観測は9/26(土)が残り14日、10/3(土)が残り21日(いずれも観測日2026年9月12日)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
直前期に動いているのは「掲載在庫が確認できない施設」の増加
推定OCCの積み上がりの中身を、別の角度から見ておく。下のチャートは9月26日(土)について、コホート内で掲載在庫が確認できない施設の割合(完売施設率・推定)を残り日数別に並べたものである。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
シティホテルは45日前8.3%から30日前も8.3%とほぼ横ばいで推移したあと、残り25日あたりから切り上がり、直近では22.2%に達した。ビジネスホテルは8.1%→8.2%→14.2%、旅館は18.1%→20.0%→29.3%で、いずれも30日を切ってから水準が変わっている。残り21日で揃えて2日を比べると、9月26日がシティ22.2%・ビジネス11.2%・旅館25.0%、10月3日がシティ13.9%・ビジネス19.7%・旅館19.1%。シティホテルと旅館では10月3日のほうが在庫を持っている施設が多く残り、ビジネスホテルだけは逆に10月3日のほうが先に抜けている。
ここから読めるのは、京都の土曜の直前期は「残っている施設が薄く売れ続ける」のではなく、売り切る施設が次々に抜けていく期間だということである。コホートから在庫が消えれば、残った施設に需要が寄る。直前期に自館の在庫をどう見せるかの重みは、この構造の上では小さくない。推定OCCと完売施設率の読み分けについては、推定OCCと完売率は何が違うのかが東京都の3業態で掘り下げている。
大阪府・東京都と並べると — 京都は高い出発点から同じ幅を積んでいる
京都の上積みが京都固有の形なのかを確かめるため、同じ9月26日(土)について大阪府・東京都の同業態コホートを同じ観測日(45日前=8月12日、残り14日=9月12日)で並べた。
表2 9月26日(土)の推定OCC 45日前→残り14日 — 京都府・大阪府・東京都の業態別比較(観測日2026年8月12日・9月12日)
業態 / 都府県45日前残り14日上積みN(施設)
シティホテル 京都府80.9%92.1%+11.2pt36
シティホテル 大阪府71.1%83.5%+12.4pt35
シティホテル 東京都75.5%90.1%+14.6pt54
ビジネスホテル 京都府67.7%82.9%+15.2pt197
ビジネスホテル 大阪府54.5%70.0%+15.5pt297
ビジネスホテル 東京都55.6%74.5%+18.9pt549
旅館 京都府58.4%78.2%+19.8pt116
旅館 大阪府61.3%71.0%+9.7pt22
旅館 東京都76.4%89.9%+13.5pt27
大阪府・東京都の旅館はコホートが小さい(N=22施設・27施設)ため参考値。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
シティホテルは京都府+11.2ptに対し大阪府+12.4pt・東京都+14.6pt、ビジネスホテルは京都府+15.2ptに対し大阪府+15.5pt・東京都+18.9pt。京都府はこの2業態で45日前の水準が3都府県のうち最も高い(シティ80.9%・ビジネス67.7%)が、上積み幅は大阪府・東京都と同じ二桁ptの帯に収まっている。「45日前に高く始まった日は直前の伸びしろが小さい」とは、この3都府県の9月26日については言えない。残り14日時点の水準も京都府がシティ92.1%・ビジネス82.9%で最も高く、出発点の差はそのまま着地側に持ち越されている。
旅館は京都府の+19.8ptが最も大きいが、比較先のコホートが小さいため、業態としての差を読むには至らない。自館のベンチマークを他都市の数字で置き換える場合は、同じ宿泊日・同じ残り日数で揃えたうえで、水準ではなく上積み幅を比べるほうが業態と立地の違いに左右されにくい。
経過月の実績で見る、京都の曜日の形
前提として、京都で土曜がどの位置にある曜日なのかを直近の経過月(2026年8月)の日別実績で確認しておく。曜日別に平均した推定OCCは次のとおり(月平均はシティ82.7%・ビジネス81.6%・旅館82.5%)。
表3 京都府 曜日別の推定OCC 業態別平均(2026年8月・日別実績)
業態月火水木金土日
シティホテル80.3%82.3%82.7%84.8%82.7%84.8%81.3%
ビジネスホテル77.5%81.5%82.7%85.3%82.9%85.2%77.3%
旅館80.7%81.8%81.0%81.5%83.2%86.0%82.8%
対象月2026年8月・京都府(シティ N=32〜36施設/ビジネス N=185〜194施設/旅館 N=88〜111施設)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
3業態とも土曜が最も高いか、最高値と並ぶ位置にある。旅館は土曜86.0%と月曜80.7%の差が5.3pt、ビジネスホテルは土曜85.2%と日曜77.3%の差が7.9ptで、週内の山と谷の距離は業態によって1.5倍ほど違う。なお8月は木曜も高く(シティ84.8%・ビジネス85.3%)、この月固有の連休需要が曜日平均に乗っている点は割り引いて読む必要がある。
京都のホテル・旅館を運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン
1. 「45日前でほぼ決着」という前提は、京都の秋の土曜では置き直したい。 9月26日(土)は45日前から直近までに、シティ+11.2pt・ビジネス+15.2pt・旅館+19.8pt積み上がった。自館の予約進捗を市場カーブと重ねるとき、45日前の到達率だけで着地を見積もると、市場が後半に乗せている分を最初から諦める形になりやすい。到達率は「45日前」「30日前」「直近」の3点で並べ、各区間で何pt乗ったかを自館と市場で突き合わせたい。
2. 後半の厚みは業態で違う。 シティホテルは45日前→30日前が+6.5pt、30日前→直近が+4.7ptで前半寄り。旅館は+8.5pt/+11.3ptで後半寄りである。自館が旅館・和風宿であれば、残り30日を切った時点の到達率が低くても市場の形としては想定内の可能性がある。逆にシティホテルで30日前に市場並みまで積めていない場合は、前半の売り方そのものを点検する材料になる。
3. 同じ「秋の土曜」でも週で顔が違う。 残り21日で揃えると、旅館は9月26日74.4%に対し10月3日68.1%(−6.3pt)、シティホテルは91.0%対87.9%(−3.1pt)、ビジネスホテルは79.9%対80.7%(+0.8pt)。日付を「週末かどうか」だけで束ねず、1日ずつ残り日数を揃えて比較する運用に変えるだけで、優先順位の付け方が変わる。
4. 直前期の主役は在庫の抜けである。 9月26日の完売施設率(推定)はシティで30日前8.3%から直近22.2%、旅館で20.0%から29.3%へ切り上がった。周囲が抜けていく期間に自館だけ在庫を厚く残していないか、逆に早く閉じすぎていないかは、残り30日を切ったタイミングで必ず一度見ておきたい論点である。
表4 京都のホテル・旅館向けアクションプラン(本記事の数値に紐づく判断トリガー)
時間軸打ち手判断トリガー(本記事の数値に紐づく)狙い
今日〜今週10/3(土)の自館到達率を残り21日基準で確認市場の残り21日時点(シティ87.9%・ビジネス80.7%・旅館68.1%)を自館の該当業態値が大きく下回るなら直前3週間で乗せる余地の有無を早めに確定する
今日〜今週在庫の開き方(連泊条件・部屋タイプの出し分け)を土曜単泊向けに点検直近の完売施設率が業態平均(シティ22.2%・ビジネス14.2%・旅館29.3%)を超えて上がっている局面なら在庫が抜けた市場で拾える枠を閉じてしまわない
2週間以内10月中旬以降の土曜について、45日前・30日前の定点を先に台帳化自館に45日前・30日前の到達率の記録が残っていないなら次の土曜群で同じ比較を即座に回せる状態をつくる
2週間以内曜日別の目標水準を月〜日でフラットに置いていないか見直す経過月実績で土曜と最低曜日の差が業態で5.3〜7.9ptあるのに、自館目標が曜日一律なら週内の山谷に合わせた在庫配分に寄せる
来月に向けて「45日前・30日前・直前」を社内レビューの固定フレームに採用現在のレビューが月次の着地見込みだけで回っているなら区間ごとの伸び幅で打ち手の効き目を切り分ける
来月に向けて業態の異なる近隣施設を自館のベンチ対象から外す/分けて見る同一残り日数での差が業態間で最大20pt超(9/26の45日前: シティ80.9%・旅館58.4%)ある以上比較対象のズレによる過大・過小な危機感を避ける
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
まとめ — 持ち帰れる3つの物差し
①「45日前・30日前・直近」の3点で並べる。 到達率の絶対値ではなく、区間ごとに何pt乗ったかを見る。京都の秋の土曜では、45日前から直近までにシティ+8.0〜11.2pt、ビジネス+10.4〜15.2pt、旅館+11.9〜19.8ptが乗っていた。
② 日付比較は残り日数を揃える。 観測日で並べると暦の進み方の差がそのまま順位になる。残り21日で揃えた比較では、旅館の9月26日と10月3日の差は6.3ptだった。
③ 直前期は「在庫が抜ける期間」として扱う。 掲載在庫が確認できない施設の割合は、残り30日以降に業態を問わず切り上がった。自館の在庫の開き方を、この構造の上で判断する。
データについて
・推定OCC(OTA掲載在庫ベース)の定義: OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合。対象施設数は本記事のN=に記載)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。
・ブッキングカーブ: 宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。
・完売施設率は、OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)を指す。
・対象と内訳: 京都府・宿泊日2026年9月26日(土)=シティホテル N=36施設/5,050室、ビジネスホテル N=197施設/20,001室、旅館 N=116施設/2,182室。宿泊日2026年10月3日(土)=シティホテル N=36施設/5,050室、ビジネスホテル N=198施設/20,011室、旅館 N=115施設/2,102室(いずれも主要予約サイト掲載ベース)。京都府のリゾートホテル区分は当該宿泊日で該当コホートが成立しなかったため対象外とした。曜日別の集計は対象月2026年8月(シティ N=32〜36施設/ビジネス N=185〜194施設/旅館 N=88〜111施設)。観測カバレッジは各時点99.1〜100%で推移した。
・都府県比較(表2): 宿泊日2026年9月26日(土)の同業態コホート。大阪府=シティホテル N=35施設/8,016室、ビジネスホテル N=297施設/48,805室、旅館 N=22施設/435室。東京都=シティホテル N=54施設/17,294室、ビジネスホテル N=549施設/79,178室、旅館 N=27施設/681室。定義・観測日は京都府と同一で、観測カバレッジは95.5〜100%。
・本記事では価格指標は扱っていない。稼働率の前年同期比も本記事では行っていない。
・データ時点: 2026年9月13日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。
