石川のビジネスホテル、10/3土80.8%・10/4日65.0% — T-45から逆算する週末の仕込み

石川県のビジネスホテルについて、2026年10月最初の週末(10/2金・10/3土・10/4日)の予約進捗をLT(宿泊日までの残り日数)45日以内の観測で追ったところ、土曜と日曜で進捗の「形」がはっきり分かれた。宿泊45日前の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は10/3(土)が80.8%、10/4(日)が65.0%で、その差は15.8pt。直近断面(10/3=T-37、10/4=T-38)では84.3%対66.3%となり、差はむしろ18.0ptに広がっている。土曜が積み上がる一方で、日曜は45日前からほとんど動いていない。本稿では、この3日間をT-45/T-30/T-14の3点に分解し、日曜の谷を埋めるための逆算カレンダーを組み立てる。

対象: 石川県のビジネスホテル N=100施設(10/4のみN=99施設)、参考としてシティホテル N=10施設。本記事の価格指標は扱わず、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値(推定OCC)。定義は記事末尾。データ時点: 2026年8月29日。

本記事のデータについて
• 推定OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数で算出しており、実客室稼働率とは定義が異なる(高めに出る)。
• LT(リードタイム)=宿泊日までの残り日数。「T-45」は宿泊日の45日前時点の断面を指す。
• 完売施設率=OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。観測時点のスナップショットであり、将来の販売結果を示すものではない。
• 本記事では価格指標(推定成約ADR等)は扱っていない。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

Key Takeaways

— T-45で土日15.8pt差 — 石川県ビジネスホテルの推定OCCは10/3(土)80.8%、10/4(日)65.0%。直近断面では18.0ptまで開いた。
— 日曜は水準ではなく傾きが問題 — 10/4はT-45からT-38の7日間で+1.3ptしか動かず、10/2(金)+2.7pt・10/3(土)+3.5ptに劣後する。
— 在庫の逼迫度が真逆 — 完売施設率は10/3が32.0%→41.0%へ上昇、10/4は9.1%→8.1%で1割未満の横ばい。同じ週末でも市場フェーズが違う。
— 日曜の谷は構造的 — 2026年5・6・7月の確定実績で日曜は3か月とも7曜日中最低(81.5%/70.4%/78.1%)。土曜は3か月とも90%台で安定。
— 同じ日曜でも翌日次第 — 3連休中日の10/11はT-45で79.1%と10/4を14.1pt上回る。曜日ラベルではなくカレンダー上の位置で分けるべき。

10月第1週末、土曜と日曜で進捗の形が違う

まず3日間のブッキングカーブを見る。石川県のビジネスホテル(N=100施設・対象客室12,457室)の推定OCCは、45日前時点で10/2(金)69.2%、10/3(土)80.8%、10/4(日)65.0%。ここから直近観測までの上積み幅は、10/2が+2.7pt(T-45の69.2%→T-36の71.9%)、10/3が+3.5pt(80.8%→T-37の84.3%)、10/4が+1.3pt(65.0%→T-38の66.3%)だった。

注目すべきは絶対水準ではなく傾きである。土曜は45日前の時点ですでに8割を超えていたうえ、そこからさらに積み上がっている。金曜も緩やかながら右肩上がりを保つ。これに対して日曜は、T-45からT-38までの7日間で1.3ptしか動いていない。つまり日曜は「高い水準で止まっている」のではなく、「低い水準のまま止まっている」。この2つは打ち手がまったく異なる。宿泊日ごとにT-45/T-30/T-14の3点で進捗を分解する読み方については、東京都9月前半の予約進捗をT-45/T-30/T-14で逆算するでも同じ手順を用いている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

完売施設率(OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定)も同じ構図を示す。10/3(土)はT-45の32.0%からT-37で41.0%へ上昇し、対象施設の4割強がすでに掲載在庫を確認できない状態にある。一方10/4(日)はT-45で9.1%、T-38で8.1%と1割未満で横ばい。10/2(金)は11.0%→13.0%と小幅な上昇にとどまる。土曜は在庫の逼迫がすでに始まっているのに対し、日曜は市場全体で在庫が余っている。

表1:石川県ビジネスホテルの週末3日間 — T-45から直近断面までの推定OCCと完売施設率(N=100施設、10/4はN=99施設)宿泊日T-45 推定OCC直近断面 推定OCC上積み完売施設率 T-45→直近

10/2(金)69.2%71.9%(T-36)+2.7pt11.0% → 13.0%
10/3(土)80.8%84.3%(T-37)+3.5pt32.0% → 41.0%
10/4(日)65.0%66.3%(T-38)+1.3pt9.1% → 8.1%

石川県ビジネスホテル N=100施設(10/4はN=99施設)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

参考としてシティホテル(N=10施設)を見ると、同じ3日でも形が異なる。T-45で10/2が85.1%、10/3が86.3%、10/4が81.3%。土日の差は5.0ptにとどまり、直近断面(10/3=88.3%、10/4=82.7%)でも5.6pt。母数が10施設と小さいため水準そのものは参考値として扱うべきだが、日曜の落ち込みがビジネスホテルほど深くないという傾向は読み取れる。日曜の谷は石川県全体の現象というより、ビジネスホテルという業態に集中していると考えたほうがよい。

日曜の谷は「10月第1週だけの話」ではない

10/4の弱さが一過性のものか、それとも構造的なものかを確かめるため、確定した過去月の日別実績を曜日別に平均した。石川県ビジネスホテルの推定OCCは、2026年5月が月87.9%・火89.4%・水84.5%・木88.5%・金85.1%・土91.1%・日81.5%(月平均86.8%)、6月が月73.9%・火78.0%・水81.4%・木85.4%・金86.9%・土91.2%・日70.4%(月平均80.7%)、7月が月75.1%・火81.3%・水83.0%・木83.7%・金81.9%・土90.3%・日78.1%(月平均82.0%)。

3か月とも、日曜が7曜日の中で最も低い。土曜との差は5月が-9.6pt、6月が-20.8pt、7月が-12.2pt。土曜は3か月とも90%台で驚くほど安定している一方、日曜だけが月ごとに70.4%〜81.5%と大きく振れる。石川県のビジネスホテルにとって、日曜は「毎月ぶれる変動枠」であり、ここをどう埋めるかが月間の稼働を左右する構造になっている。10/3対10/4の18.0ptという差は、この平時の曜日構造の延長線上にある。日曜の谷がビジネスホテルという業態に固有の構造であることは、北海道のビジネスホテルは「週末型」ではないでも曜日別の推定OCCから確認できる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

ここから導かれるのは、10/4を「10月第1週の課題」として単発で処理しないほうがよい、ということだ。日曜の埋め方は毎月繰り返し使う型になる。10月第1週末はその型を組み直す機会として使い、10月・11月の他の日曜にそのまま横展開できる形で設計しておきたい。

前後の週末と並べると、10/4の位置がわかる

同じT-45という定点で、前週(9/25-27)・当該週(10/2-4)・翌週(10/9-11)の金土日を並べる。ビジネスホテルのT-45時点の推定OCCは、9/25(金)73.6%・9/26(土)90.2%・9/27(日)70.1%、10/2(金)69.2%・10/3(土)80.8%・10/4(日)65.0%、10/9(金)73.3%・10/10(土)80.6%・10/11(日)79.1%。

3週末を横に見ると、10月第1週末は金・土・日のすべてで前週を下回っている。特に土曜は9/26が90.2%だったのに対し10/3は80.8%と9.4pt低い。9/26は完売施設率もT-45で46.1%と高く、直近断面(T-30)では推定OCC94.4%(2026年8月27日観測)・完売施設率55.9%まで来ている。9月末の週末が強い分、10月第1週末は相対的に緩む配置になっている。

一方、翌週の日曜10/11はT-45で79.1%と、10/4の65.0%を14.1pt上回る。10/11は完売施設率もT-45で22.2%と、10/4の9.1%の倍以上だ。これは10月12日(月)がスポーツの日で3連休の中日にあたるためで、内閣府が公表する国民の祝日の日程と整合する。同じ「日曜」でも、翌日が平日か祝日かで45日前の予約状況がここまで違う。裏を返せば、10/4は翌日が平日の純粋な日曜であり、需要の柱を県外レジャー客の連泊延長ではなく、別の軸に求める必要があるということでもある。連休の中日に需要が寄る「中日型」の進捗パターンは、和歌山の9月5連休は「中日型」で詳しく分析している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

もうひとつ確認しておきたいのは、前週末(9/25-27)がT-45からT-29〜31までにどれだけ積んだかである。9/25(金)は73.6%→77.0%で+3.4pt、9/26(土)は90.2%→94.4%で+4.2pt、9/27(日)は70.1%→73.1%で+3.0pt。金土日いずれも3〜4pt台の上積みで、日曜も土曜と大きく変わらないペースで積んでいる。石川県のビジネスホテル市場では、T-45からT-30にかけての区間で日曜にも一定の流入があるということだ。10/4がその区間でわずか+1.3ptにとどまっているのは、市場のペースそのものが遅いというより、この宿泊日固有の弱さと読むのが自然である。

石川県のビジネスホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

(a) 運営目線のインサイト

1. 3日間を1本のカレンダーで扱わない。 10/3(土)は直近断面で84.3%、完売施設率41.0%と市場の在庫が絞られつつある局面、10/4(日)は66.3%・完売施設率8.1%と在庫が広く残る局面である。同じ週末でも市場のフェーズが違うので、在庫開放・最低宿泊日数(MLOS)・プランの出し分けは日別に設計したい。土曜に有効な打ち手を日曜にそのまま流用すると、日曜だけが取り残される。

2. 自館のカーブは「傾き」で照合する。 市場の上積み幅はT-45から直近断面で10/2が+2.7pt、10/3が+3.5pt、10/4が+1.3pt。自館の同期間の積み上がりがこれを下回っているなら、水準の差ではなくペースの差として原因を探したい。前週末(9/25-27)が同じ区間で+3.0〜+4.2ptを記録していることも、自館の「普通のペース」を測る物差しになる。

3. 日曜の谷は毎月来る。 曜日別の確定実績では、5月・6月・7月のいずれも日曜が最低で、土曜との差は-9.6pt/-20.8pt/-12.2pt。10/4だけを場当たりで埋めるのではなく、日曜対応の定型を作って月内の他の日曜に横展開する発想が費用対効果に見合う。

4. 土曜のMLOSは日曜の在庫と表裏一体。 10/3が84.3%まで来ている一方で10/4は66.3%。土曜に単泊制限をかければ土日連泊を拾える可能性がある一方、土曜側の取りこぼしにもなる。10/3の完売施設率41.0%という市場状況を見て、自館の土曜の残り枠が薄いのか厚いのかで判断を分けたい。

5. 翌週の日曜とは別物として扱う。 10/11はT-45で79.1%と10/4を14.1pt上回り、完売施設率も22.2%対9.1%。3連休中日の10/11と平日前夜の10/4を同じ設定で流すと、10/11は取りこぼし、10/4は空振りになりやすい。

(b) アクションプラン

表2:リードタイム別アクションプラン — 打ち手・判断トリガー・狙い時間軸打ち手判断トリガー狙い

T-45相当
(仕込み)金・土・日を別カレンダーに分離し、日曜のみ独立の在庫・プラン設計に切り替える市場のT-45が土80.8%・日65.0%と15.8pt開いている構図が自館でも再現しているなら3日一括運用による日曜の取り残しを防ぐ
T-45相当
(仕込み)土曜の高需要日にMLOSを検討する場合は、土日連泊プランと単泊の併売を前提に設計する10/3の完売施設率が41.0%まで来ている一方、10/4が8.1%と在庫が広く残っている状況が続くなら土曜の需要で日曜側の在庫を引き上げる余地を作る
T-30
(9月上旬)日曜の上積み幅を定点で確認し、+1.3pt水準のまま横ばいなら日曜専用プランを追加投入する前週末の同区間が+3.0〜+4.2ptだったのに対し、自館の10/4が明確に下回っているなら市場が動く区間での取りこぼしを回避する
T-30
(9月上旬)10/11(3連休中日)と10/4の設定が同一になっていないか棚卸しする市場のT-45で10/11が79.1%、10/4が65.0%と14.1pt差がついているなら祝日前夜と平日前夜で別々の在庫戦略を確立する
T-14
(9月中旬〜下旬)土曜の残り枠が薄くなっている場合、日曜側の在庫を絞らず開放したまま維持する自館の10/3が市場の84.3%を上回る水準に達し、10/4が市場の66.3%圏にとどまっているなら直前需要の受け皿を日曜に残す
翌月に向けて10/4で有効だった日曜の打ち手を、10月・11月の他の日曜に定型として横展開する曜日別実績で日曜が7曜日中最低という構造(5・6・7月とも該当)が継続しているなら単発対応ではなく再現性のある日曜運用に変える

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

まとめ — 3つの物差し

物差し1:水準ではなく傾きで見る。 石川県ビジネスホテルのT-45から直近断面までの上積み幅は10/2が+2.7pt、10/3が+3.5pt、10/4が+1.3pt。自館のカーブをこの傾きに重ねると、価格や在庫の設定が市場のペースに追随できているかが判断できる。

物差し2:日曜は毎月の変動枠。 曜日別の確定実績で日曜は5月81.5%・6月70.4%・7月78.1%と月ごとに大きく振れ、3か月とも7曜日中最低だった。土曜は3か月とも90%台で安定している。日曜の設計こそが月間稼働の可変部分である。

物差し3:同じ曜日でも翌日が違えば別の日。 T-45時点で10/4(日)65.0%に対し3連休中日の10/11(日)は79.1%。曜日ラベルではなくカレンダー上の位置で在庫・プランを分けることが、10月の週末運用の前提になる。

データについて

推定OCCの定義:OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(高めに出る)。本記事では「推定OCC(OTA掲載在庫ベース)」と表記している。
ブッキングカーブ:宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。X軸は宿泊日までの残り日数(LT)。
完売施設率:OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。観測時点のスナップショットであり、将来の販売結果を示すものではない。
対象Nの内訳:石川県ビジネスホテル N=100施設・対象客室12,457室(10/4および10/11はN=99施設・12,447室、9/25・9/27はN=103施設・12,508室、9/26はN=102施設・12,269室)。参考掲載のシティホテルは N=10施設・1,748室で、母数が小さいため水準は参考値として扱う。曜日別の月次実績は同じ石川県ビジネスホテルの日別観測を曜日で平均したもの(2026年5月31日分・6月30日分・7月31日分)。
本記事では価格指標(推定成約ADR等)は扱っていない。
データ時点: 2026年8月29日(最新観測は2026年8月27日分)。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチが継続追跡する国内約168,000施設のOTA公開価格・掲載在庫データ(うち稼働確認済み約27,000施設)。本稿の対象は石川県のビジネスホテル N=100施設・12,457室(宿泊日により N=99〜103施設)、参考掲載のシティホテルは N=10施設・1,748室。データ時点は2026年8月29日(最新観測は2026年8月27日分)。

■ 試算前提

推定OCC=100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。LT(リードタイム)は宿泊日までの残り日数で、T-45は宿泊日の45日前時点の断面を指す。曜日別の月次実績は同一母集団の日別観測を曜日で平均した(2026年5月31日分・6月30日分・7月31日分)。完売施設率はOTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。

■ 限界・留意点

推定OCCはOTA販売在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(高めに出る)。観測時点のスナップショットであって将来の販売結果を示すものではなく、販売状況・在庫は日々変動する。参考掲載のシティホテルは母数が10施設と小さいため水準は参考値として扱う。本稿は価格指標(推定成約ADR等)を扱っていない。

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