ispaceは2026年9月2日、ヨーロッパ法人のispace-EUROPE S.A.(ispace EUROPE)がESA(ヨーロッパ宇宙機関)とともに、月極域氷探査ローバーミッション「MAGPIE(マグパイ)」のフェーズ2契約締結を記念する調印式を実施したと発表しました。調印式はデンマーク・コペンハーゲンで開催された「ESA Space for Inspiration 2026」で行われ、ESA有人・ロボティック探査局長のDaniel Neuenschwander(ダニエル・ノイエンシュヴァンダー)氏と、ispace EUROPE CEOのJulien-Alexandre Lamamy(ジュリアン・アレクサンドル・ラマミー)氏が登壇しました。
MAGPIEは「The Mission for Advanced Geophysics and Polar Ice Exploration(先端地球物理学および極域氷探査ミッション)」の略称です。ESAは2026年7月、ispace EUROPEと総額6500万ユーロ(約120億円)のフェーズ2契約を締結しており、月面探査車(ローバー)と搭載する観測機器の開発・製造・試験から、月面への輸送、ミッション運用、ESAへの科学データ提供までが契約に含まれています。
【▲ デンマーク・コペンハーゲンで開催された「ESA Space for Inspiration 2026」で実施された調印式の様子(Credit: ispace)】 ヨーロッパ初の月面ローバーで月極域の水氷を探る
MAGPIEローバーは、2029年に予定されているispaceの「ミッション4」で、ULTRAランダーに搭載されて打ち上げられる計画です。月の極域には太陽光がほとんど届かない「永久影領域」が存在し、水氷が長期間保存されている可能性が指摘されています。MAGPIEでは極域における揮発性物質の分布や特性の解明、水氷の探索、レゴリスに関する知見の向上を目指しており、ヨーロッパ初の本格的な月極域ローバー探査となります。
ESAによると、MAGPIEローバーは地球時間で約10日間運用され、ドリル、揮発性物質分析装置、地中レーダー、中性子検出器を使って月南極を調査する計画です。複数地点のデータを比較することで、月南極における揮発性物質やレゴリスの空間的な分布特性の理解が進むと期待されています。
ミッション4では、ispaceが2026年1月にJAXAの宇宙戦略基金事業第二期で採択された「月極域における高精度着陸技術」の成果を活用し、高精度な月面着陸を目指します。MAGPIEローバーは、ESAとJAXAの協力の下で月面へ輸送される計画です。
【▲ 月南極を探査する月面ローバー「MAGPIE」の想像図。水氷や揮発性物質、月面下の地質構造などを調査する計画です(Credit: ispace)】
文・編集/sorae編集部
関連記事 ispaceが日米統合の新ランダー「ULTRA」を発表 月を周回する自社衛星も ispaceがスターシップを活用した新たな月面輸送サービスを発表 早ければ2030年にも月面へ ispaceと英国レスター大学がペイロード契約を締結 火星探査向け技術を応用した装置を月面へ 参考文献・出典 株式会社ispace – ispace EUROPE、欧州宇宙機関とともに月面探査計画「MAGPIE」フェーズ2契約の調印式を実施 株式会社ispace – ispace EUROPE、欧州宇宙機関とローバーを使った月面探査計画「MAGPIE」のフェーズ2契約を締結 ESA – ESA’s first lunar rover rolls forward
