2025年の移住希望地ランキングは1位群馬県・2位栃木県・3位長野県。移住相談は初の7万件超だが、上位3県はいずれも転出超過

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移住先を考えるとき、まず気になるのは「どこが人気なのか」でしょう。

毎年発表されている移住希望地ランキングは、その手がかりになります。ただし、この数字が何を測っているのかを知らずに順位だけを見ると、判断を誤ります。

2026年2月に公表された2025年の結果を確認したうえで、実際の人口の動きと重ねてみます。

この記事の3つのポイント


2025年の移住希望地ランキングは、窓口相談で1位群馬県・2位栃木県・3位長野県
移住相談件数は73,003件で前年から18.3%増、5年続けて過去最高となり初めて7万件を超えた
一方、上位3県はいずれも2025年に転出超過となっている

1. 2025年のランキングは1位群馬県、2位栃木県、3位長野県

まずは結果から見ていきます。

【図表1】2025年 移住希望地ランキング(各部門トップ3)1/2

【図表1】2025年 移住希望地ランキング(各部門トップ3)

各種資料をもとにLIMO編集部作成

ふるさと回帰・移住交流推進機構が発表した2025年の移住希望地ランキングは、窓口相談者の部門で1位が群馬県、2位が栃木県、3位が長野県でした。

群馬県は2年連続の1位。栃木県は前回の3位から、長野県は前回の4位から、それぞれ順位を上げています。

セミナー参加者の部門では、群馬県が3年連続で1位。2位は長野県(前回4位)、3位は和歌山県(前回5位)でした。

4位以下の順位は、同機構が公表している資料に掲載されています。

2. 移住相談は初の7万件超

ランキングと同時に、相談件数も公表されています。

2025年の移住相談件数は73,003件でした。面談、電話、メール、見学、セミナー参加を合わせた数字で、2024年の61,720件から18.3%の増加。5年続けて過去最高となり、初めて7万件を超えました。

移住相談会やセミナー等の開催数は658回。内訳は対面が288回(43.8%)、オンラインが245回(37.2%)、ハイブリッドが125回(19.0%)でした。

同機構の高橋公理事長は、都市部における住宅価格の高騰に加え、記録的な猛暑が地方での暮らしへ目を向けるきっかけになったのではないか、とコメントしています。

3. このランキングが測っているもの

ここで、順位の読み方について触れておきます。

この調査は、東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター・東京」の新規窓口相談者と、新規の移住セミナー・相談会等の参加者を対象としたアンケートです。調査時期は2025年1月7日から12月26日、回答者数は27,242(相談13,202、セミナー17,481、重複あり)とされています。2009年から実施されており、今回が17回目です。

つまりこれは、センターの窓口を訪れた人が「どこに関心を持っているか」を集計したものです。実際に移住した人の数ではありません。

ここは重要な点です。センターに相談員を多く配置し、セミナーを積極的に開催している県ほど、相談件数は増えやすくなります。実際、1位の群馬県は年間60回のセミナーを開催し、相談員3名と就職相談員1名を配置しています。長野県も相談員を3名体制に増員しました。

ランキングは「人気の高さ」であると同時に、「受け入れ体制の充実度」を映した数字でもあるということです。

数字のなかで目を引いたのが、セミナーの開催方法でした。658回のうち対面が288回で43.8%、オンラインが245回で37.2%、ハイブリッドが125回で19.0%。オンラインとハイブリッドを合わせると、半数を超えています。

私は普段、仕事のやりとりの多くをオンラインで済ませています。それでも移住の相談となると、まず現地か東京の窓口へ足を運ぶものだと思い込んでいました。実際には、検討の入口はかなりの部分が画面の向こうに移っているようです。

相談件数が7万件を超えたことと、これは無関係ではないのだと思います。遠方に住んでいても、平日の夜でも参加できる。開催する側が回数を増やしやすいだけでなく、参加する側の条件もゆるくなります。順位を見るときは、その県がどれだけ接点をつくったのかも一緒に見ておきたいところです。

4. 上位3県は、いずれも転出超過

では、希望と実際の人の動きはどれくらい一致しているのでしょうか。

【図表2】移住希望地ランキング上位3県の転入超過数(2025年)2/2

【図表2】移住希望地ランキング上位3県の転入超過数(2025年)

各種資料をもとにLIMO編集部作成

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」で、上位3県の転入超過数を見てみます。

群馬県は1516人の転出超過、栃木県は2011人の転出超過、長野県は1415人の転出超過。いずれも、転入した人より転出した人のほうが多い状態です。

2025年に転入超過となったのは47都道府県のうち7都府県だけで、この3県はそこに含まれていません。

地方移住は広がったのか?東京一極集中は続き、転入超過となったのは47都道府県のうち7つだけ。東京圏は12万3534人で3年続いた拡大から縮小

地方移住は広がったのか?東京一極集中は続き、転入超過となったのは47都道府県のうち7つだけ。東京圏は12万3534人で3年続いた拡大から縮小

ただし、これは「移住希望地ランキングが当てにならない」という話ではありません。転入超過数は進学や就職、転勤も含めた出入りの差引であり、移住希望者の動きだけを表すものではないからです。若い世代の進学・就職による転出が大きければ、移住者が増えていても全体では転出超過になります。

両者は測っているものが違う、というのが正確なところです。

5. 上位に並ぶのは、東京圏に隣接する県

それでも、両方の数字から共通して見えてくることがあります。

上位に入った群馬県・栃木県・長野県は、いずれも東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)に隣接する県です。移住支援金の交付実績でも、累計件数の上位10道県のうち6県が東京圏に隣接する県でした。

群馬県について同機構は、相談の中心が30代の子育て世帯であり、都内への通勤を前提とした物件探しや、都市部の家賃高騰を背景にした相談が目立つと説明しています。高崎市や前橋市などの交通利便性も評価されているとのことです。

長野県では、住宅価格の高騰を背景にコストダウンを目的とした検討者が増え、20代の相談が増加。教育移住への関心の高まりも挙げられています。

完全に生活を切り替えるのではなく、東京圏との距離を保ちながらコストを下げる。ランキングの上位に並ぶ顔ぶれは、そういう志向を反映しているように見えます。テレワークを導入している企業は50.1%まで広がっており、勤務先を変えずに移る選択肢が現実味を持ってきたことも背景にありそうです。

テレワークを導入した企業は50.1%、3年連続の低下から反転。雇用型テレワーカーは25.2%で首都圏37.7%・地方都市圏17.2%

テレワークを導入した企業は50.1%、3年連続の低下から反転。雇用型テレワーカーは25.2%で首都圏37.7%・地方都市圏17.2%

6. ランキングをどう使うか

最後に、この数字の使い方を整理しておきます。

順位が高い県は、相談体制やセミナーが充実している可能性が高いといえます。情報を集める段階では、実際に頼りになります。

一方で、順位そのものは自分にとっての適地を示すものではありません。相談者の関心が集まっている場所と、自分の仕事や家族の条件に合う場所は別ものです。

確認すべきは、県ではなく市区町村の単位です。住民基本台帳人口移動報告には市区町村別の結果も収録されており、県全体が転出超過でも人が集まっている市町村はあります。

なお、各県の移住支援制度や相談窓口の体制は年度によって変わります。最新の内容は、候補地の自治体や相談窓口でご確認ください。

7. まとめにかえて

今回は、2025年の移住希望地ランキングを確認しました。


窓口相談は1位群馬県、2位栃木県、3位長野県。セミナー参加は1位群馬県、2位長野県、3位和歌山県
移住相談件数は73,003件で前年比18.3%増、5年続けて過去最高
上位3県はいずれも2025年に転出超過(群馬△1516人、栃木△2011人、長野△1415人)
ランキングは相談窓口の利用者を対象とした調査であり、移住者数ではない

人気ランキングは入り口としては有効です。ただ、そこから先は自分の条件に落として確かめるしかありません。順位はスタート地点であって、答えではないということだと思います。

8. 【執筆者コメント】1位の県に住んでいる側から見ると

群馬県が2年連続で1位、しかもセミナー部門では3年連続だと知って、正直なところ少し驚きました。私は群馬に住んでいますが、日々の生活のなかで「人が増えている」という実感はまったくありません。

数字を見て納得しました。転入超過数は1516人の転出超過です。相談は集まっていても、県全体で見れば人は減っている。この2つは矛盾しません。

ランキングの説明を読むと、群馬県は年間60回のセミナーを開催し、相談員も手厚く置いています。県庁の担当者が窓口に足を運んでいるという記述もありました。順位は自然に決まるものではなく、かなりの部分が努力の結果なのだと分かります。

相談の中心が30代の子育て世帯で、都内への通勤を前提とした物件探しが多いという点も、地元の感覚と合います。新幹線を使えば東京駅まで通える距離です。移住というより、住む場所の選び直しに近いのかもしれません。

ランキングを見るときは、順位よりも、その県がどんな相談を受けているかの説明のほうが役に立ちそうです。自分と同じ条件の人がどこを見ているのか、そこにヒントがあると思います。

参考資料

中沢 新

著者

中沢 新

株式会社モニクルリサーチ

編集者

1989年生まれ、群馬県出身・在住。くらしとお金の経済メディア「LIMO」にてニュース解説記事の編集・執筆に従事後、現在は厚生労働省管轄の年金・貯蓄・資産運用・住宅ローン・FX等の記事制作支援を担当。現在は群馬県内の中山間地域に暮らしながら、二地域居住・地方移住・地方での働き方をテーマとした記事では、地方で生活する当事者の視点をあわせて執筆・監修している。証券外務員一種、3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)保有。

早稲田大学文化構想学部文芸・ジャーナリズム論系卒業。学部では戯曲・研究創作ゼミに所属し、主に英米の劇作家の作品を耽読。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース中途退学。準修士(ジャーナリズム)。大学院では精神医療の現場にてアートセラピーの実践者を取材し、ルポの執筆を行う。

フリーランスライターとして活動した後、東京都世田谷区の訪問介護事業所の訪問介護職員、地域情報サイト編集記者、老人ホーム検索サイト編集者、おすすめ情報サービス編集者を経て、現職。訪問介護の実務経験と介護福祉士実務者研修の修了を通じて、地方における医療・介護アクセスの実情にも知見を持つ。介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修修了。

【主な執筆・監修テーマ】

年金・貯蓄・資産運用などの家計分野に加え、二地域居住と特定居住促進計画、テレワークの普及状況、鳥獣被害と農林業、地方の教育費負担など、地方で暮らすことに関わる公的統計の解説を継続的に担当。

【編集方針】

記事中の数値は原則として官公庁・公的機関が公表する一次資料にあたり、出典と公表時期を明記しています。制度や支援策は改正・年度更新があるため、適用可否は各自治体の窓口や公式情報での確認を推奨しています(2026年8月28日更新)。

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