“南米の軍事大国”だった時代を象徴する攻撃機 40年以上の運用に幕! 海軍が正式発表“空母ない航空隊”の維持にこだわり「懐古趣味にムダ金」と批判も アルゼンチン

アメリカ空母を借りて発艦訓練を行うシュペルエタンダール(画像:アメリカ国防総省)

ついにアルゼンチン空母航空隊消滅…

 アルゼンチン海軍は2026年8月20日、今年中にシュペルエタンダール艦上攻撃機を退役させると発表しました。

 この発表は、同日にプンタ・インディオ海軍航空基地で行われた式典において、海軍航空の5カ年包括的再編計画である「プラン・デダロ」が公表されたことで明らかになりました。

 同再編計画を読み上げた海軍訓練即応司令官ホセ・アルベルト・マルティ・ガロ少将によると、「今年、シュペルエタンダールは現役任務から完全に退役し、40年以上にわたる輝かしい歴史とマルビナス(フォークランド)諸島における卓越した活躍に幕を下ろす」とのことです。

 アルゼンチン海軍はシュペルエタンダール14機を発注し、1980年から1981年にかけて5機を受領しました。空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」での運用を想定して導入された機体で、1982年4月から6月にかけて発生したフォークランド紛争では、対艦ミサイル「エグゾセ」を使用し、イギリス海軍の駆逐艦「シェフィールド」を撃沈するなど、大きな戦果を挙げました。

 「ベインティシンコ・デ・マヨ」が老朽化により退役した後、アルゼンチン海軍は経済状況などを背景とした予算不足により、後継となる空母を導入できませんでした。一方、シュペルエタンダールについては、空母を失った後も地上基地から運用され、2010年代前半まで使用されていました。

 しかし、2014年以降は飛行できない状態が続きました。全体的に修理部品が不足していたことに加え、特に問題となったのが射出座席でした。シュペルエタンダールの射出座席はイギリスのマーチンベーカー製であり、フォークランド紛争後の対アルゼンチン軍事輸出規制の影響から、必要な部品を輸入できなかったことが大きな障害となりました。

 飛行できなくなって以降も、何度か再生が試みられました。特に2016年には、フランス海軍で退役したシュペルエタンダール・モデュルゼのうち5機をアルゼンチンが購入し、2019年に引き渡されました。これらを飛行可能な状態に戻すことが試みられましたが、最終的に再生は実現しませんでした。

 この件については、一部メディアから「やっていることが理解不能」「博物館行きの機体を戦力化しようと無駄な時間と金を使った」「最新鋭のシステムに投資するのではなく、懐古趣味に賭けている」といった痛烈な批判も出ました。

 その後は、ウクライナに供与し、そこでイギリス製部品を取り付けて使用してもらう案なども取り沙汰されましたが、実現には至らず、今回の発表によって退役が決定的となりました。

 この退役により、アルゼンチン海軍からは、空母で運用された経験を持つ固定翼機が完全に姿を消すことになります。長年にわたって続いてきた同国海軍の空母航空隊の歴史は、これによって現役部隊から完全に途絶えることになります。

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