インド科学技術省(MoST)は7月30日、同省傘下のアリャバッタ観測科学研究所(ARIES)、ウダイプル太陽観測所(USO)、物理研究所(PRL)、アーメドナガル・カレッジの研究者らが、太陽の大気は可視表面よりもはるかに速く自転し、その速度が太陽表面からの高度とともに上昇することを発見したと発表した。研究成果は学術誌Astronomy & Astrophysics Lettersに掲載された。

図:(上段)左は太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーによる宇宙から見た太陽、右は野辺山電波ヘリオグラフによる地上から見た太陽。(左下)通常は太陽表面で観測される黒点と比較すると、太陽表面からの高度が増すにつれて、太陽赤道部の自転速度が上昇する傾向が見られる。(右下)赤色の点線は、黒点数の増加に伴って自転速度が低下する可能性を示す。
(出典:PIB)

この発見は、古典物理学から予想される振る舞いとは異なる。回転するフィギュアスケート選手は、腕を体に引き寄せると速く回り、外側に伸ばすと遅くなる。これは物理学の基本法則である角運動量保存則によるもので、地球の大気は一般にこの法則に従う。しかし、太陽はこの法則に厳密には従わないことが分かった。

研究には、ARIESのスリンジャナ・ラウト(Srinjana Routh)氏と、同研究所に所属して研究を行い、現在はインド工科大デリー校(IIT-D)に所属するバイバブ・パント(Vaibhav Pant)氏、USO・PRLのアンシュ・クマリ(Anshu Kumari)氏、アーメドナガル・カレッジのジャイディープ・カンデカール(Jaydeep Kandekar)氏が参加した。

研究チームは日本の野辺山電波ヘリオグラフによる観測データを用い、太陽大気が可視表面より速く自転することを突き止めた。また、自転速度は太陽表面からの高度が増すほど上昇する一方、黒点数で示される太陽活動が活発になると、わずかに低下することも明らかにした。この成果は太陽への理解を深めるだけでなく、人工衛星、通信システム、航法ネットワーク、地上の電力インフラに影響し得る太陽活動や宇宙天気のモデルの精緻化に役立つ。

太陽は主にガスでできており、固体の地面がないため、地球と同様に自転するかを判断するのは非常に難しい。研究チームは太陽大気の自転を調べるため、「2次元画像相関法」を用いた。異なる2日間の太陽画像を同じ範囲に切り出して比較し、一方が他方に対してどれだけ移動したかを調べ、その移動量から自転速度を算出した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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