ホルムズ海峡を避けた先にバブ・エル・マンデブ、二つの海上交通の急所が日本のエネルギー輸送を脅かす

福山 隆

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2026.8.22(土)

イランからイエメンに向かう漁船から押収されたアサルトライフル(2023年1月7日、米ミサイル駆逐艦「サリバンズ」の甲板で、米中央軍のサイトより)

 8月11日、紅海の南の出口、バブ・エル・マンデブ海峡を1隻の貨物船が航行していた。

 そこへ、イエメンのフーシ派が攻撃を加えた。

 船は航行不能となり、乗組員4人が死亡。救助に向かったイエメン人2人も命を落とし、10人が負傷した。

 フーシ派は、この船がサウジアラビアの軍事装備を輸送していたと主張したが、その主張は確認されていない。

 しかし、この攻撃には一つの重要な意味があった。

 2月28日に米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦が始まって以降、フーシ派による商船攻撃で死者が出たのは初めてだったのである。

 イランで始まった戦争が、ついに紅海で人命を奪い始めた。

 しかも、問題は一隻の貨物船が攻撃されたことだけではない。

 この戦争によって、中東の海上交通を支える二つの「急所」が同時に揺さぶられ始めたのである。

 一つはホルムズ海峡。

 そしてもう一つが、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡である。

バブ・エル・マンデブ海峡とジブチの位置関係(編集部作成)

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ホルムズの危機が「第2のチョークポイント」に飛び火した

 2月28日の対イラン攻撃によって、トランプ政権は中東で一つの「パンドラの箱」を開けた。

 もちろん、フーシ派という脅威そのものを米国が生み出したわけではない。フーシ派は以前から紅海の商船を攻撃し、国際海運を脅かしてきた。

 しかし、イラン戦争の開始によって、その脅威が新たな戦略的意味を持つようになった。

 ホルムズ海峡の航行が不安定化したからである。

 ペルシャ湾から原油を輸出するサウジアラビアにとって、紅海側のヤンブー港はホルムズ海峡を回避できる重要な代替出口となる。

 ところが、ヤンブーから通常の南回りでアジア方面へ原油を運ぼうとすれば、今度は紅海南端のバブ・エル・マンデブ海峡を通らなければならない。

 そこにフーシ派がいる。

 7月20日、フーシ派はサウジアラビアに対する「海上封鎖」を宣言し、サウジ関連船舶を攻撃対象にすると表明した。

 つまり、ホルムズ海峡を避けようとした石油輸送が、今度はバブ・エル・マンデブで脅かされる構図が生まれたのである。

 ロイター通信によれば、フーシ派の攻撃を警戒して、紅海を航行するタンカーの一部はAIS(船舶自動識別装置)を停止して航行するようになった。

 攻撃されたから航路を変えるのではない。

 「攻撃されるかもしれない」というだけで、海運会社が行動を変え始めたのである。

 ここに、現代のチョークポイントをめぐる戦いの恐ろしさがある。

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