4300キロ先の爆撃機を襲った「蜘蛛の巣作戦」、極東の軍事拠点もすでに標的リストに

福山 隆

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2026.8.18(火)

ウクライナ軍の「蜘蛛の巣作戦」により攻撃を受けたロシア・イルクーツク州にあるベラヤ空軍基地(2025年6月4日撮影、提供:2025 Planet Labs PBC/ロイター/アフロ)

極東のロシア軍基地が、再び標的になった

 2026年7月13日、ロシア連邦保安局(FSB)が異例の発表を行った。

 ウクライナ側が、ロシア奥地にある二つの軍用飛行場をドローンで攻撃しようとしていたが、その計画を阻止したというのである。

 一つはウラル地方チェリャビンスク州のシャゴル空軍基地。

 そして、もう一つはウクライナからはるか東、ロシア極東アムール州にあるウクラインカ空軍基地だった。

 FSBによれば、攻撃用のFPVドローンは偽装された輸送手段を使ってロシア国内を運ばれ、目標近くから発進させる計画だったという。

 これはロシア側の発表であり、ウクライナ側が認めたものではない。そのため、計画の詳細については慎重に見る必要がある。

 しかし、ウクラインカという基地名には重要な意味がある。

 この基地がウクライナのドローン作戦の標的として名前を挙げられたのは、これが初めてではないからだ。

 約1年前の2025年6月1日。

 ウクライナ保安庁(SBU)は、ロシア各地の戦略爆撃機基地を一斉に狙う「蜘蛛の巣作戦(Operation Spider’s Web)」を実行した。

 その時も、極東のウクラインカ基地は攻撃対象の一つだった。

 そして、同じ作戦で実際に大きな被害が出たのが、シベリア・イルクーツク州のベラヤ空軍基地である。

 ロシア軍の戦略爆撃機が並ぶ基地の近くまで運ばれていたトラック。その荷台に積まれた木造構造物から小型ドローンが次々と飛び出し、駐機中の戦略爆撃機Tu-95や長距離爆撃機Tu-22M3などを襲った。

 ベラヤ基地は、ウクライナの前線から4300キロ以上離れている。

 しかし、ドローンが4300キロを飛んだわけではなかった。

 ドローンそのものをロシア領内の目標近くまで運び込み、そこから発進させたのである。

 ここに、ウクライナ戦争で起きた大きな変化がある。

 「前線から遠いから安全だ」という、これまで軍事常識の一つだった距離の壁が崩れ始めたのである。

ドローンはついに2000キロの壁も越えた

 もちろんウクライナは、敵国内へ運び込んで発射する方式だけに依存しているわけではない。

 長距離攻撃型ドローンそのものの性能も急速に向上している。

 2026年6月、ゼレンスキー大統領は、ウクライナのドローンがロシア・チュメニ州の石油精製施設を攻撃したと明らかにした。

 チュメニはウクライナから2000キロ以上離れている。

 さらにゼレンスキー氏は、ウクライナの長距離攻撃能力について「現在では3000キロ離れた目標にも到達できる」と説明している。

 ロシアの石油・エネルギー施設に対する攻撃も、次第に奥地へと広がってきた。

 2025年にはウクライナ国境から約1400キロ離れたバシコルトスタン共和国のウファが攻撃され、その後もさらに遠方の施設が攻撃対象となっている。

 つまりウクライナは、二つの異なる方法でロシアの「距離」という防壁を崩している。

 一つは、ドローンそのものを長距離化すること。

 もう一つは、ドローンを目標近くまで運び込み、そこから発射することだ。

 この二つが組み合わされた時、ロシアの広大な国土は必ずしも防御上の利点ではなくなる。

 ウラルの向こうだから安全だ、シベリアだから安全だ、極東だから安全だという考え方が成立しなくなってきたのである。

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