“サッカーをしなかった最も偉大なサッカー選手”についてのドキュメンタリー
『カルロス・カイザー サッカー史上最も奇妙な成功者』がキノシネマ新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開中だ。
8 月 15 日(土)には、池袋シネマ・ロサにて公開記念イベントが開催され、作品の中で「彼はプロサッカーの面汚し」とカイザーを批判するジーコの、日本代表監督時代の選手・名良橋晃と、元通訳・鈴木國弘(本作ポルトガル語字幕監修)が登壇した。
本作およびカイザーの魅力や、カイザーが許されてしまうブラジルの文化、もしカイザーがアントラーズに 90 年代に来ていたとしたらどうなっていたかなど興味深い話題が展開した。
このたび、その模様を伝えるオフィシャルレポートが到着した。
レポート全文

©2017 NODS AND VOLLEYS PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED
お二人はカイザーとは知り合いではなく、本作内で”彼はプロサッカーの面汚し”とカイザーを批判するジーコの、日本代表監督時代の選手と、元通訳兼本作のポルトガル語字幕監修ということで、登壇。
鈴木はブラジルに住んだこともあり、名良橋は、ジョルジーニョ、ビスマルク、ベベトほか多数のブラジル人選手と同じチームで、「現役の時はブラジル人の指導者しか指導を受けていないですし、外国人選手はブラジル人の選手がほとんどだった」とのこと。
カイザーについて名良橋は「ブラジルは国も広いので、こんな人もいるんだなと思いました」、鈴木は「究極な人ったらしだと思います。サッカーをやっていなく、ポジションを取ってはいないので、選手には迷惑をかけていないんです。これしか生きる道がなかったんだろうなと。彼の唯一の武器は、人を巻き込むことができる、人が集まってくること」と話した。
カイザーを生んだブラジルについて、名良橋は「ブラジル=負けず嫌い。気さくな方もいれば真面目な方もいる。サッカーにしろ遊びのミニゲームでも『絶対負けたくない』という選手がほとんど」と触れると、鈴木はボスのジーコについて「じゃんけんですら負けたくない」と例を挙げ、名良橋も「アントラーズの遊びのスタッフゲームでもジーコのチームが勝つまで延々とやっていた」と回想した。

名良橋晃さん ©2017 NODS AND VOLLEYS PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED
ジーコは本作内で唯一カイザーを批判している。名良橋は、「べベットやレナトは許す方だけれど、ジーコさんは曲がったことが嫌いな方。全否定していた。あんなジーコさんは初めて見た」と、カイザーが桁外れなことを示唆した。
名良橋は 1997 年〜2006 年に、鈴木は 1991 年から 10 年近くアントラーズに在籍した。カイザーが 90 年代にアントラーズに来ていたとしたらどうなっていたと思うか聞かれ、名良橋は、「とんでもないことになっていたかもしれない。本田(泰人)さんと秋田(豊)さんは黙っていないので、全否定です」と想像し、鈴木は「俺が通訳という立つ場でどういう風に付き合ったらいいか自分のシチュエーションを考えると嫌だな〜」と言いながら、名良橋に「似たようなやついましたよね?」と目配せ。
鈴木は、「元ブラジル代表でアントラーズに来たべベット。W 杯の時は神童と言われていたけれど、アントラーズに来た時は怪我だったんですよね。名良橋さんひどいもんだったよね」と振ると、名良橋は日本でのベベトを“カルロス・カイザー”と認定。
「アメリカ W 杯とフランス W 杯でレジェンドだったじゃないですか。ゆりかごポーズだとか。僕も結婚もしていないし子供が生まれる予定もないし関係者も子供が産まれていないのに真似して、日本初のゆりかごポーズだったんですけど」とベベトをどれだけリスペクトしていたかを熱弁。
「それくらい実力がある方だったんですけれど、2000 年にアントラーズに来て数試合しか出ていなかった。皆『あれ偽物じゃないか』とぼやきが出てきて。息子さんがポケモンが好きだったので、『クラブハウスに来ているよりポケモンセンターに行っていた回数の方が多かったのではないか』と」とベベトのカイザーに引けを取らないエピソードを披露。
「べベットは映画の中ではカイザーのことを大笑いしていたけれど、『あなたこそカルロス・カイザーじゃないですか』と質問したいくらい。怪我があったと言っていまし
たけれど、相当波があったんじゃないか。強烈なインパクトを残して風のように去っていきました」と2000 年に 8 試合 1 ゴールという散々な成績でアントラーズを去った元レジェンドについて暴露した。

鈴木國弘さん ©2017 NODS AND VOLLEYS PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED
劇中カイザーのことを友人と話す元ブラジル代表のレナト・ガウショについて、名良橋は「あんなにプレイボーイだったんですね。びっくりしました」と驚きを隠せなかったが、鈴木は「ブラジルではああいうのは結構普通だったりしますよね。あれだけいい男で、サッカーがうまくて、金を持っていたら、女性は放っておかないですよね」と平然と話した。
J リーグや日本代表ではもちろん詐欺をする人はいないが、カイザーのように怖い監督やフロントにも簡単に好かれているように見えた選手を聞かれると、名良橋は、「笑顔で解決する武田(修宏)さん。得点王も獲って日本代表に選ばれていて(カイザーと違い)力はありますが、武田さんあたりが、マリーシアで解決していたのではないか。根は真面目なんですけれど、メリハリは武田さんや岩本輝雄さんなど上手かった。二人とも顔もかっこいいですから、顔で得しているところがあった。僕が言うことじゃないですけど」と恨み節も。
最後に鈴木は「(カイザーは)究極の一人。ブラジルは貧富の差が激しく、サッカーは金を稼ぐツール。それをうまく利用して何十年も生きてきたという特異なシチュエーション。あのやり方で“生き切った”とも言える」と話し、名良橋は「楽しんで、それぞれの人生を後悔して欲しくないなと思います」とメッセージを送って、トークイベントは終了した。
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現時点で決まっている上映後トークイベント
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☆8 月 16 日(日)
■キノシネマ天神 11:45 の回
登壇者:本田泰人 (元サッカー日本代表・鹿島アントラーズ元選手) 、鈴木國弘(ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
■小倉昭和館 16:00 の回
登壇者:本田泰人 (元サッカー日本代表・鹿島アントラーズ元選手) 、鈴木國弘(ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
☆8 月 18 日(火)
■アップリンク吉祥寺 18:30 の回
登壇者:藤原清美 (スポーツジャーナリスト) 、鈴木國弘 (ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
☆8 月 19 日(水)
■キノシネマ心斎橋 14:45 の回
登壇者:加地亮(元日本代表) 、鈴木國弘(ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
■テアトル梅田 18:00 の回
登壇者:加地亮(元日本代表) 、鈴木國弘(ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
☆8 月 27 日(木)
■アップリンク吉祥寺(夜の回)
登壇者:久保竜彦(元サンフレッチェ広島・元日本代表)・鈴木國弘(ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
MC:汐月しゅう
☆9 月 12 日(土)
■静岡シネ・ギャラリー(時間調整中)
登壇者:高島雄大(アスルクラロスルガ株式会社 代表取締役社長)・鈴木國弘(ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
MC:汐月しゅう
☆9 月 17 日(木)
■広島・横川シネマ(時間調整中)
登壇者:久保竜彦(元サンフレッチェ広島・元日本代表)・鈴木國弘(ジーコ元通訳・元日本代表通訳)
『カルロス・カイザー サッカー史上最も奇妙な成功者』あらすじ

©2017 NODS AND VOLLEYS PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED
サッカーをしなかった最も偉大なサッカー選手”カルロス・エンリケ・ラポーゾ”。人々から”カイザー”と呼ばれた男は巧みな話術や人脈を駆使してブラジルや海外のクラブと契約を結び続け、プロサッカー選手としての経歴を積み続ける。
しかし、加入後は故障を装い、練習中にトラブルを起こすなどして公式戦でプレーする状況を徹底的に回避する。さらには、海外クラブやエージェントからのオファーを装うため、偽の携帯電話を使うなどして自らを演出、周囲を欺き続けた。
2003 年に 26 年のプロサッカー選手としてのキャリアを終え、2010 年から自らのストーリーを話し始める。しかし、イギリスのドキュメンタリー監督であるルイス・マイルズに、さらなる嘘を突きつけられたカイザーは、遂に、他人の人生を生きた理由を自ら語り始める…
『カルロス・カイザー サッカー史上最も奇妙な成功者』作品情報
監督:ルイス・マイルズ
出演:カルロス・エンリケ・ラポーゾ(カイザー)、ジーコ、ベベト、レナト・ガウショ、アレクシャンドレ・トーレス、リカルド・ローシャ
2018 年/イギリス・ブラジル/97 分/カラー/英語・ポルトガル語/原題” Kaiser! The Greatest Footballer Never to
Play Football” / ポルトガル語字幕監修:鈴木國弘 / 配給:NEGA
公式サイト:https:// kaiser.negadesignworks.com/
