北陸新幹線の延伸で注目の集まる福井県で、歴史情緒あふれる街並みと獲れたての絶品海鮮を一度に楽しみめる旅はいかがでしょうか?福井県小浜市にある「小浜市まちの駅・旭座」は、明治43年建設で全国的にも非常に数が少なくなった貴重な芝居小屋を移築復原した複合拠点です。周辺には「鯖街道」の起点や無料のミュージアム、そして新鮮な魚介を炭火で焼いて食べられるお魚センターなども集結しています。
今回の記事は福井小浜を巡る旅をレポート交えてお伝えする第3弾。明治建築の建物の無料見学から、電動自転車を利用しての街巡りの勧め、創業300年を超える老舗のお酢スイーツ、市場でのBBQまで、福井県小浜市の歴史と食を巡る旅を、現地での独自取材を含めて詳しくお届けします。

【前回記事】無一文の大学生が町家を水族館に!? 福井・小浜の珍しい水族館、世界に一つだけの塗り箸制作体験、鯖街道の御食国など 小浜観光レポ 第2弾 https://tetsudo-ch.com/13033809.html

明治時代の芝居小屋「旭座」、全盛期は3000あった芝居小屋も今では数か所に

小浜駅から徒歩で5分ほど、海からもほど近い場所に観光交流拠点である「小浜市まちの駅・旭座」があります。その中心にあるのが、「旭座(あさひざ)」です。明治43年に建てられたとされている木造の芝居小屋で、福井県内で唯一、戦前の芝居小屋の系譜を引く建物です。

貴重な明治時代の木造建築、小浜「旭座」の建物(筆者撮影、©鉄道チャンネル)

「芝居小屋」とは、江戸時代から昭和初期にかけて、歌舞伎や人形浄瑠璃、大衆演劇などの上映のためにつくられた、伝統的な木造建築です。かつて日本には芝居小屋が3,000以上あったといわれますが、現在残っているのは30数か所だけで、旭座はそのうちの1棟にあたります。旭座の建物は、以前は老朽化が激しく進行していたのですが、2015年(平成27年)に、現在の場所に移転・復元されたという経緯があります。

復元された旭座の内部には花道があり、桟敷席なら約170名、椅子席なら約200名が入るそうです。
延床面積は469.27㎡(うち文化財指定部分は1階353.13㎡、2階116.14㎡)です。現役の芝居小屋として、いまも公演やイベントが企画されています。

広い建物の中は、畳が敷かれ正面には舞台が見えます。舞台からこちらにかけて花道が続き、中2階の桟敷席も残されています。(写真:鉄道チャネル)

明治時代に建てられたこの「旭座」の建物は、元々は小浜市内の、今でも古い町並みが残る「小浜西組」に隣接する住吉地区にありました。小浜は、北前船の寄港地や港町として多くの日知人が訪れる場所として当時は非常に栄えており、旭座は活気ある娯楽文化を象徴する存在として、庶民にとても親しまれ、大いに賑わっていたといいます。

木造の建物がきれいに修復されて残されており、現在でも使用されています

芝居小屋「旭座」ができた当時は、庶民の芸能娯楽の場であると同時に、講演会、演説会、祝賀会などが開かれる、小浜でいちばん大きな集会施設でもありました。また、昭和初期から戦後にかけては、映画館としても使われていたそうです。
映画館の役割を終えた後、「旭座」は所有者が点々と入れ替わり、自動車整備工場に使用されたのちは、酒造倉庫として、そしてその後は空き倉庫となっていたようです。

天井には味のある木材が使われており、中2階の桟敷席(さじきせき)も残っています
倉庫だった建物が、なぜ復原できたの?

倉庫として使用されたいた期間に建物はどんどん劣化するため、普通ならそのまま取り壊されて終わる建物も多いのだといいます。しかし、2010年に福井県建築士会青年部から小浜市に要請がありこの建物の内部を調べてみると、建物の軸組みと、かつての造作の痕跡が良好に残っていたことがわかったそうです。

舞台の上は木のぬくもりが感じられます

完全な復原が可能だと判明した建物は、2014年6月に市指定文化財となります。2016年5月には、「小浜市まちの駅」の中心的施設として現在の場所に移築復原されました。

小浜の旭座の歴史などの展示もあります

報道によれば、復原の基準としたのは明治43年(1910年)当時の姿だそうです。明治44年1月の芝居の番付に「休座していたが昨年新築落成し、元旦に初芝居」という記述が残っており、これが建築年を裏づけたといいます。
部材の約4割には旧旭座の古材が使われ、正面玄関の屋根瓦には当時の若狭瓦が再用されているそうです。

屋根に若狭瓦が使用、館内の見学は無料!

若狭瓦は、最後の職人が2010年に廃業して以来、焼く人がいなくなった地元の瓦です。もう新しくは作れない瓦が、この建物の玄関屋根部分などに使用されています。

今では貴重な若狭瓦の屋根が使用される旭座の建物(写真:鉄道チャンネル)

明治の芝居小屋「旭座」の内部は「見学無料」が可能です。時間は、10:00〜16:00ですが、イベント開催日は見学ができませんのでご注意ください。行く前には、必ず公式サイトのイベント情報をご確認ください。

「小浜市まちの駅・旭座 」
住所:福井県小浜市小浜白鬚111-1
旭座の一般公開:10:00〜16:00(イベント開催日は見学不可)
見学料:無料
休館日:毎週火曜(火曜が祝日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日
収容人数:桟敷席 約170名/椅子席 約200名

隣接する「まちの駅」は、町歩きの拠点に!

旭座のまわりには、町歩きに必要なものがひととおり揃っており「小浜市まちの駅・旭座」という名称の拠点施設になっています。

小浜市まちの駅の外観。時計台「なごみの塔」は市民の寄付でつくられました。

総合案内所では観光情報とパンフレットの配布、旭座のイベント案内をしています。「このバスでいいのか」「土産は何がいいか」といったことを聞ける窓口になっています。
館内にあるカフェシーズンズでは、小麦・乳製品・卵・白砂糖を使わないプラントベースのメニューで、動物性不使用のワッフルが提供されます(金・土・日・祝 11:30〜17:00・ラストオーダー16:00)。物販店では、まちの駅ストア お濱さん(10:00〜17:00/火曜定休)があり、小浜産のガラス工芸や地元の食材、グルテンフリーの菓子や麺、果汁ジュースなどが並びます。

また、電動アシスト付きレンタサイクルがあり、坂道も楽に走れます。総合案内所で受付を行い、2時間以内は500円、4時間以内が810円、8時間以内が1,520円で、市内を手軽に回ることができます。重要伝統的建造物群保存地区「小浜西組」に行く際にも利用してみては。

【参考記事】福井なのにゴリゴリ関西弁? 800年生きる人魚伝説、レトロ建築の町並み「小浜西組」、町屋カフェで非日常を!週末観光に最適な小浜の歩き方 https://tetsudo-ch.com/13033162.html

広場前には、恐竜県福井ならではの「恐竜博士」のブロンズ像が。写真左が旭座、広場をはさんだ右の建物には総合案内所やフードコートがあります。

旭座と飲食・物産施設の間には屋外広場はあります。駐車場は無料で普通車20台分あり、近隣に人魚の浜東駐車場(無料)もあります。
観光拠点となる「小浜市まちの駅・旭座」は、小浜駅からも近く、歴史的建物が残る観光の中心地「小浜西組」や、海に近い場所にある「若狭小浜お魚センター」「御食国若狭おばま食文化館」、そして「マーメイドテラス」などに行くにも大変便利な場所にあります。

「若狭おばまマップ」での小浜駅周辺 (若狭おばま観光協会のパンフレットより)

また、すぐ隣には、鯖街道の起点と鯖街道ミュージアムがあります。

旭座の隣、小浜の町の中「鯖(さば)街道の起点」が!

この地方には「京は遠ても十八里」という言葉が残されています。小浜から京都までを結ぶ重要な道「鯖街道」は十八里、約72kmです。重い鯖を担いで山道を歩いた行商人が、自分を励ますために口にしたものだと伝わります。その十八里はどこから数え始めるの?と思った方、そんな鯖街道の起点は、小浜市内の道路の上にありました。

「さば街道」の起点を示す石標(筆者撮影、©鉄道チャンネル)

京都と若狭を結んだ「鯖街道」は、日本海・若狭湾で獲れた「鯖」をはじめとした海産物などを、朝廷に運ぶためにできた道です。その起点として、小浜市のいづみ町のかつて商店街があった一角には”街道の起点を示すプレート”が設置されています。柵も囲いもなく、いつでも見られます。このプレートから南へ、山を越えて京都へ向かう道が伸びていました。

いくつかある「鯖街道」のルートのうち、主なものはこの3ルートです(撮影:鉄道チャンネル)

塩をした鯖を担ぎ、夜通し歩いて京へ運ぶための街道の、第一歩目がここだった、ということになります。ここが起点だと知って立つのと、知らずに通り過ぎるのとでは、同じアスファルトの見え方がだいぶ変わりますよね。

鯖街道ミュージアムは入館無料、北前船の写真やトリックアートが!

この起点のプレートのすぐ前にあるのが、小浜市鯖街道ミュージアム(鯖街道MUSEUM)です。2020年3月8日に、「鯖の日」(3と8の語呂ですね)に合わせて開館したそうです。

鯖街道の起点にある「鯖街道ミュージアム」は写真奥の建物です(写真:鉄道チャンネル)

日本遺産「鯖街道」のガイダンス施設という位置づけで、小浜市の文化財、伝統芸能、祭礼などを紹介しています。展示フロアでは、鯖街道で育まれた文化交流の歴史を映像と展示で紹介しています。

館内には鯖街道を紹介する映像や写真が展示されています。(写真:鉄道チャンネル)

この鯖街道の人の流れを支えていた、江戸時代から明治時代中期にかけて北海道~大阪間との間を様々な物資を運びながら航行を続けた船の集団「北前船」の絵画や写真も飾られています。

明治末期から大正期にア撮影された北前船の船団の写真も展示されています

北前船は、様々な商品を船に積み、日本海側各地にある寄港地に立ち寄り荷物を売買したり仕入れたりしながら航行を続けていた帆船集団です。たくさんの船が連なりながら日本海を航行している様子から、この北前船での貨物運搬ルートが、賑わっていたことがわかります。

小浜にある木綿屋さんの北前船の絵もありました

北海道の小樽から、主に日本海側の各寄港地に立ち寄りながら航行していたこの船団ですが、小浜や敦賀は朝廷のある京都に最も近い港として、物資を陸路である鯖街道へ移し替える海陸の接点となっていました。

北前船の主な寄港地(国土地理院の地図を元に、鉄道チャンネル編集部が独自で作成)

北海道からはニシンや数の子、昆布などが本州各地へ運ばれ、その他は本州各地の塩・しょうゆ・米・砂糖・酒などの食料品や、木綿、紙、石炭、鉄などあらゆるものが運ばれていたようです。鯖街道の起点となっていたこの「鯖街道ミュージアム」が建つ場所は、このように日本海を航行する船団と、陸路との重要な接点だったといえるでしょう。

この館内で目を引くものが、もう一つ、「トリックアート」です。飛び出す鯖や、北前船に乗り込んだように見えるという仕掛けがあり、子ども連れで写真を撮るには格好の場所です。

鯖街道ミュージアムの館内にあるトリックアートの前では、北前船に乗っているような写真が撮影できます

「鯖街道」のスタンプもあるので、せっかく来たのならぜひ持ち帰りましょう。

「鯖街道の起点」に来た記となるスタンプもあります

その他、館内には、「御食国(みけつくに)」として朝廷に食材を納めてきたこの土地では、いつ何を食べ、いつ何を祝ってきたのか?祭礼行事や食材の旬を季節の暦として一枚にまとめた展示などもありますので、小浜の食を知ることもできますよ。

小浜市鯖街道ミュージアム(鯖街道MUSEUM)概要

住所:福井県小浜市小浜広峰17-1
開館時間:9:00〜17:00
休館日:毎週火曜、12月29日〜1月3日
入館料:無料
アクセス:JR小浜駅から徒歩約6〜10分 / 小浜ICから車で約6分(市営駐車場または人魚の浜東駐車場を利用)

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