半導体メモリー・DRAMの中国最大手「長鑫科技(CXMT)」が7月27日、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(Star Market)」に上場した。初値は49.5元(約1200円)で、公開価格を471.6%上回った。終値も465.82%高となり、時価総額は3兆2800億元(約79兆円)に達してA株市場の首位に躍り出た。初日の売買代金は1411億8700万元(約3兆3900億円)と過去最高を記録し、中国半導体産業への期待の高さを示した形だ。

長鑫科技は2016年の設立。現在は世界DRAM市場で約8%のシェアを持ち、サムスン電子(38~40%)、SKハイニックス(約29%)、マイクロン(20~24%)に次ぐ世界4位に位置する。AIサーバー向けメモリー需要の急拡大を背景に、2026年1〜3月期の売上高は前年同期比7倍超の508億元(約1兆2200億円)となり、市場では今後もシェア拡大が続くとの期待が高まっている。一部のアナリストは、28年までに長鑫科技の市場シェアが15~18%に拡大すると予測している。

上場当日に半導体大手のマイクロン・テクノロジー、サンディスク、SKハイニックス、および半導体製造装置メーカーASMLの株価はそろって5〜12%下落。市場では、長鑫科技が上場したことで世界のDRAM競争がさらに激化するとの見方が広がった。ただ、当日の半導体株安は米ハイテク株の減速など複数の要因が重なったとみられる。

注目すべきことに、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が関係者の話として、アップルが長鑫科技DRAMの評価試験を進め、中国向け製品への採用を検討していると報じた。加えて、より幅広い製品に使用できるよう、米国政府への働きかけも進めているという。これまでにも、アップルが長鑫科技や長江存儲(YMTC)などの製品調達に向けて政府に許可を申請していたことが明らかになっている。

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ただし長鑫科技は現在、米国防総省の中国軍関連企業リスト「1260H」に指定されている。これはエンティティリストのような禁輸対象ではないものの、米国企業が協業する際にはコンプライアンス面での負担が大きく増える。

それでも採用が取り沙汰される背景には、DRAM価格の急騰がある。2026年上半期には標準DRAMの契約価格が55~60%上昇しており、長鑫科技を第4のサプライヤーに加えることで、価格交渉を有利に進める狙いがあるとみられる。

とはいえ、長鑫科技の強みは汎用DRAM分野に集中している。AI時代の主役と期待されている次世代半導体メモリーはHBM(高帯域幅メモリ)だが、同社はASMLのEUV露光装置を入手できず、前世代で製造しているため、技術的にはサムスン電子やSKハイニックスより2世代ほど遅れていると広くみられている。DUV技術を使ったHBM3のサンプル開発を試みているという情報もあるが、量産化するには歩留まり向上という極めて高いハードルが存在する。さらに、米政府による輸出規制が続くなか、長鑫科技が事前に確保した製造設備だけで規制緩和まで乗り切れるかも不透明だ。

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ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは、今回のメモリー活況は2026~27年まで続き、需給バランスが転換点を迎えるのは28年になると予測している。現在の長鑫科技の企業価値には、AI需要の拡大や生産能力の増強、市場シェアの上昇といった将来期待が大きく織り込まれている。今後はHBM開発や増産をどこまで実現できるかが、その評価を維持できるかを左右する最大の焦点となりそうだ。

*1ドル=約164円、1元=約24円で計算しています。

文・編集:36Kr Japan/翻訳:畠中裕子

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