石川県立美術館(石川県金沢市)で、「巴水・夢二・暁斎 ~ニッポンの美紙展~ ―HAIBARA Art&Design 咲き誇る粋と技―」が8月8日から開催されます。
「榛原はいばら」は、1806(文化3)年の創業から220年にわたって東京・日本橋に店舗を構える和紙舗です。高度な木版摺りの技術とデザイン性を兼ね備えた和紙製品は、時代を通じて、人びとのくらしに上質な《美》を届けてきました。榛原の当主たちは代々、同時代の芸術家たちに商品のデザインを依頼し、ときにその活動を支援しました。
本展では、榛原と芸術家たちとの関わりに焦点を当て、おもに明治から昭和初期にかけて製作された和紙製品の数々が紹介されます。展示総点数は500点を越え、芸術家たちによる肉筆の画稿や榛原ゆかりの貴重な資料などが一堂に会します。ぜひ、この機会に粋と技を極めた榛原の豊かなコレクションを堪能してみてはいかがでしょうか。
※以下、本記事で取り上げる作品画像はいずれも木版多色摺、株式会社榛原蔵
巴水・夢二・暁斎 ~ニッポンの美紙展~
―HAIBARA Art&Design 咲き誇る粋と技―
会場:石川県立美術館(石川県金沢市出羽町2-1)
会期:2026年8月8日(土)~9月13日(日)
開館時間:9:30~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料:
一般 1,400円 高校・大学生 900円 小・中学生 600円
※未就学児は無料
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者福祉手帳、ミライロID提示で本人は前売料金、付添1名まで無料
アクセス:
JR金沢駅から路線バスで「広坂・21世紀美術館」または「出羽町」下車、徒歩約5分
北陸自動車道「金沢西」ICまたは「金沢森本」ICから車で約20~30分
詳細は、石川県立美術館公式サイトまで。
本展での主な展示作品を紹介
本展では、千代紙、団扇絵、絵短冊、絵封筒、ぽち袋、熨斗のしなど榛原で製作された「ニッポン」が誇る美しい和紙の品々が展示されます。
千代紙
千代紙 「菊花」河鍋暁斎
千代紙 「桜と楓」河鍋暁斎
千代紙 「四君子」川端玉章
千代紙 「模様合わせ」川端玉章
絵短冊
絵短冊 「十二ヶ月絵短冊」より 長野草風
絵短冊 「十二ヶ月絵短冊」より 川端龍子
団扇・団扇絵
団扇 「姫路城」川瀬巴水
団扇 「十和田湖」川瀬巴水
団扇絵 「山水図」橋本雅邦
団扇絵 「麒麟ビール誂」綾岡有真
ぽち袋
「御祝儀袋十二ヶ月」河鍋暁斎・暁翠ほか
画家たちとの交流
榛原では、江戸の頃から画家や文人たちと交流をもち、団扇絵や色紙短冊などさまざまな商品の画稿を依頼してきました。特に明治前半に榛原中興の祖となった三代目榛原直次郎は若い頃から美術に関心が高く、柴田是真や河鍋暁斎、川端玉章らと交友を持ち商品の画稿を依頼するほか、彼らの制作活動を支援していました。
四代目榛原直次郎の時代には、従来の画壇で活躍する作家に加えて人気作家・竹久夢二と共働して商品を製作しており、先代と異なる新たな才能を開拓しようとしたさまがうかがえます。本展では、活躍した時代や画風もそれぞれに異なる画家たちが、榛原という紙舗兼版元に残した足跡にも光が当てられます。
木版絵「葡萄」竹久夢二
団扇絵「酔後の亀」柴田是真
団扇絵「雄鶏図」河鍋暁斎
初公開!川瀬巴水の肉筆画
榛原は、木版画家・川瀬巴水にも製品の画稿を依頼していました。今回は榛原のために描かれた貴重な水彩画2点が初めて公開されます。
川瀬巴水《飛騨中山七里 保井戸之薄暮》
川瀬巴水《大嶋波浮港》
明治から昭和初期にかけて、日本の人々の暮らしを華やかに彩ってきた和紙製品の数々。実用的な品でありながら最高の「粋と技」が詰め込まれた美術品の数々は、暮らしの中に美を見出してきた日本の豊かな文化を改めて教えてくれます。本展は、東京・日本橋の老舗和紙舗「榛原」のコレクションを通じて、高度な木版技術と、当時のトップクリエイターたちが手掛けた洗練されたデザインの世界に浸ることができる貴重な機会となります。展示室には、川瀬巴水による初公開の水彩画や、竹久夢二、河鍋暁斎、柴田是真らの個性が光る団扇絵や千代紙など500点超が集結。この夏はぜひ石川県立美術館へと足を運び、職人と芸術家たちが織りなす、色鮮やかでどこか温かみのある美紙の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
