和歌山県内から大阪府南部にかけて患者が集中する極めて希少な遺伝性の難病「
中條・西村症候群
」の病態をマウスで再現したと県立医科大などの研究チームが発表した。まだ効果的な治療薬がなく、マウスの解析などを通じて、病態のさらなる解明や治療薬の開発に生かせる可能性があるという。(村上和史)
研究成果を説明する原助教(左、和歌山市で)
同症候群は、幼少期からしもやけのような手の発疹や発熱などの炎症を繰り返す。全身の脂肪や筋肉が徐々に落ち、急激に進行すると30~40歳代で亡くなるケースもあるという。国内の患者数は十数人だが、海外でも同様の病気が報告されている。
これまでの研究では、特定の遺伝子の特徴が父母ともにあり、子が双方から遺伝で受け継ぐことで発症することがわかっていた。そこで研究チームは人工的に同じ遺伝子異常を発生させたマウスを作製。体内でどのような異常が起きているかを解析した。
その結果、患者で見られる傾向と同様に、マウスは高齢になると脂肪が炎症を起こして減少し、体重が増えにくくなった。また、血液中では炎症を促すたんぱく質が増加していた。
遺伝子異常のないマウスと比較すると、雄雌ともに若いマウスで生存率が大きく低下したほか、ウイルスなどの異物を体内から排除するための免疫機能の老化もうかがえたという。
研究チームはこれまでに、患者から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用して、治療薬の候補を絞り込んできた。今回のマウスにも与えることで、生物への効果や安全性を確かめ、人への投与が可能かを調べるという。
研究内容をまとめた論文は5月、国際科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。成果を発表した原知之・県立医科大助教(皮膚科学)は「マウスの体内をさらに解析し、患者の炎症の改善につながる薬を見つけていきたい」と話している。
◇中條・西村症候群=
1939年に中條敦・東北帝国大助手が報告し、50年に西村長応(ながお)・和歌山県立医科大助教授が県内の複数の症例を紹介した。原因遺伝子が特定され、2015年に指定難病となった。
関西発の最新ニュースと話題
あわせて読みたい
