FIFAワールドカップ2026、日本代表FW陣が年齢の枠を超えて「リスペクトしあう関係性」とは。最年少の後藤啓介と塩貝健人(21歳)、エースとして最前線に立った上田綺世(27歳)の証言から知る。〈全3回〉

TVカメラと上田の間に…「涙は見世物では」

 チーム最年少の後藤啓介は、尊敬する先輩のもとへ真っすぐ歩みを進めた。ブラジル戦の試合終了のホイッスルが鳴ったあと、こみ上げるものを抑えきれなかった上田綺世の元へ。そして、上田の表情に向かってズームしようとしているTVカメラの前に立ち、それ以上映さないように求めた。

「8年間、積み上げてきたものがあるわけで。それだけの思いがあって、やってきた選手たちなので。わざわざ泣いている選手を撮る必要はないというか……涙は見世物ではないので」

 もちろん、後藤はそれでも大会を世界に伝える公式映像のスタッフへの敬意は示している。

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「テレビとしては盛り上がると思いますけど」

 あれはとっさに出た行動ではあるのかもしれない。しかし、何の脈絡もなく生まれたアクションではなかった。日本のエースストライカーと、将来の日本代表を引っ張ることを期待される後藤との間に深い絆があるからこそ、あのシーンが生まれたのをご存じだろうか――。

「最初の2、3回、簡単なプレーを成功させることでリラックスして試合に入ることが大事かなと思います」

 後藤は来たる時のため、そのように思考を整理していた。エース上田の優位性は動かない。ただ、途中出場から出番はあるだろうし、そこで日本代表の力になりたいと後藤は本気で考えていた。

後藤が心がけていることとは

 思い出すのは、昨年11月のガーナ戦のこと。後藤のデビュー戦だったのだが、そのファーストプレーには彼らしさが詰まっていた。味方からのパスをくさびで受け、前を向いてボールを受けられる位置にいた佐藤龍之介に、シンプルに落とした場面だ。

「龍(※佐藤龍之介)に落としたシーンとかも、(点取り屋として生きる選手なら)多分シュートを打ちにいきます。だけど、自分はゴールよりも、チームが勝てればと思っているので。ああやって前向きな選手だったり、状況の良い選手を使っていくという自分の感覚は、あまりストライカーらしくないのかなと思います」

 この表現については、補足が必要だ。

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