
鉢を一つひとつ場所も考えながら並べる住職
梅雨の中休みで青空広がる、6月半ばの奈良県桜井市にある音羽山観音寺。後藤住職が丹精込めて育てる植物たちは、ぐんぐんと大きくなり、緑の壁を作っています。
玄関の横の棚には、イカリソウの鉢がずらりと並んでいます。その場所を眺めながら、住職は何か考えている様子。
「イカリソウの場所を変えようと思うの」
一昨年でしょうか。確か同じ時期に、イカリソウとダイモンジソウの鉢を入れ替えるのを手伝いました。日当たりが一番良い玄関横のスペースは、時期によって住人が変わります。
「どこに持って行こうか〜せんていした方が良いかしら〜切って肥えをあげるか、冬の方が良いか……」
毎年世話をしている住職でも、その時その時の様子で対応が変わるようです。
「草を取るぐらいで良いかな」
今回のイカリソウの引っ越し先は、テラスへ向かう途中のスペースに決まりました。
記者も手伝って、何十個とあるイカリソウの鉢を台から降ろし、住職が良い場所を選んで置いていきます。
そんな中で、一つの鉢を見て住職の手が止まりました。かわいらしい薄いピンク色の花が咲いています。
「この鉢の中、溶岩なのよ。昔、兄が石に植えてあった花を買って来て。フキヒマワリだったかな。その花はすぐにダメになったけど、私が好きなシキンカラマツを植えたのよ」
この花の名前は、実は違うのではないかと、このコーナーの前任の記者から指摘があったそうですが‥…。
「私はシキンカラマツで覚えちゃったからね。そうとしか思えなくて。好きだから増やしているの」
ところが、近くにあったダイモンジソウの勢力が強く、種が落ちてきては鉢の中に芽を出すそう。
「取っても取っても生えてくるの。乗っとっちゃうのよ」
今も、住職がシキンカラマツと呼ぶ花と、ダイモンジソウが同居しているようです。
イカリソウがあった場所には、それまで無量庵の縁側に避難していたダイモンジソウが戻ってきます。
「水をやってから台に乗せるわ」
ダイモンジソウは一旦、台の下に並べることになりました。
そこに猫がやって来て、庭にある鉢に顔を突っ込んでいます。
「トワダアシよ。猫が食べるのよ」
猫がトカゲやカエルを狙っているのは聞きましたが、植物も食べるのですね。
「猫用の草もあるのよ。獣医さんからもらったから、まこうと思ってるのよ」
猫用の生野菜だそうです。そんな種があるとは知りませんでした。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。奈良県桜井市南音羽。
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。
火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門
