それ以外の機能の不足については、わたしにとってはそれほど大きな問題ではない。ボディ内手ブレ補正(IBIS)があれば便利だろうか? 確かにそうだが、わたしはいままでIBIS非搭載のカメラでも数多く撮影してきた。IBISがないことはあらかじめ知っておきたい制限ではあるが、メカニカルシャッターとは違い、工夫次第で回避できない制約ではない。シャッタースピードをレンズの焦点距離の逆数より速く保つという昔ながらの原則に立ち返れば、IBISがなくても問題は起きないはずだ。
気になる点として挙げたいのが、メモリーカードスロットがないことだ。もちろん、現場でカードを交換できるほうが圧倒的に便利なので、メモリーカードに対応しているほうが望ましい。しかし、BFには256GBの内蔵ストレージが備わっている。PCに画像を取り込む前に、それだけの容量を使い切るほど撮影した記憶はない。つまり、256GBのストレージは、少なくともプロではないフォトグラファーにとって十分な容量だろう。

Photograph: Scott Gilbertson
しかし、わたしにとって見逃せない点となるのは、ビューファインダーがないことだ。わたしはいまもビューファインダーを覗いて撮影することを好む。長年の癖だ。カメラを渡されれば、自然と目もとにもってきてしまう。ビューファインダーを愛する人なら、このカメラは向いていない。
ビューファインダーがないことによるもうひとつの欠点は、直射日光の下では背面モニターがほとんど役に立たないことだ。画面が暗すぎて、構図を正確に確認できない。また、背面モニターはチルト機構もなく、角度も調整できないため、ウエストレベルでの撮影を好む人にとっては使い勝手が悪い。地面すれすれなどの低いアングルから撮影したい場合は、フレーミングするために自分が地面に寝そべるしかない。
モニターの輝度を最大まで上げれば、日差しの中でも多少は見やすくなるが、それでも明るい日中の屋外では使いづらい。また、輝度を最大にすると、もともと短いバッテリー駆動時間がさらに縮んでしまう。シグマは、BFが1回の充電で約260枚の撮影が可能だとしているが、日中の屋外でモニターの輝度を上げざるを得ない場合、その枚数は大幅に減少する。実際、直射日光の下では、1回の充電で2〜3時間以上撮影を続けられることはほとんどなかった。
このカメラは誰のためのものか
シグマ BFには深刻な制約がいくつもあるように聞こえるかもしれない。実際、そのとおりだ。385,000円という価格帯のほかのカメラとスペックを比較すれば、それはなおさら際立つ。しかし、制約があることは必ずしも悪いことではない。制約があるからこそ、その中で工夫が生まれるからだ。これは、いわゆる「数撃ちゃ当たる」式の撮影に向いたカメラではない。うまく使いこなすには、ある程度考えながら撮る必要がある。その制約を理解し、その範囲で工夫して撮ることが求められる。それさえできれば、BFは素晴らしい写真を撮ることができる。
