
津波の記憶 次代へ 和歌山県印南で防災シンポジウム
和歌山県印南町の有志でつくる町活性化団体「印南マンスリークラブ」(石橋幸四郎代表)は13日、同町印南の町公民館で、津波について考えるシンポジウムを開いた。住民らが過去の津波被害や印南中学校で続いてきた防災学習を振り返り、命を守る備えを考えた。
印南中学校の元教諭、坂本尚生さんがコーディネーターを務め、2014年度に同校を卒業した濱本尚実さん、岡本直樹さん、上山円華さんがパネリストとして登壇した。3人は中学時代、防災研究班として津波の浸水域や避難路を調べ、優れた防災教育を表彰する「ぼうさい甲子園(兵庫県など主催)で入賞した経験がある。
坂本さんは、印南町が経験した津波の歴史を紹介した。1707年の宝永地震では印南で174人が犠牲になった。一方、1854年の安政南海地震では犠牲者が出なかった。坂本さんは、「地震が来たらすぐ逃げろ」という宝永の教訓が受け継がれたことが大きいと説明した。
しかし、1946年の昭和南海地震では町内で16人が亡くなった。坂本さんは要因として、暗闇の中で避難が難しかったことや、過去の教訓が行動に結び付かなかったことを挙げた。
卒業生3人は、中学時代に取り組んだ津波の浸水シミュレーションや避難路のフィールドワーク、高齢者用装具を着けた避難検証などを紹介した。実際に歩くことで、坂道や道幅、ブロック塀の危険など、地図だけでは分からない課題に気付いたという。
発表では、2024年の能登半島地震にも触れた。能登半島と紀伊半島は、道路が寸断されると集落が孤立しやすい点が共通していると指摘した。
同中学校では現在も、避難所宿泊体験や夜間の避難路を照らす「ペットボタル」の設置など、防災学習を続けている。卒業生は「中学生の取り組みに大人も関心を持ち、学びを地域全体で共有することが災害に強い町づくりにつながる」と話した。
