大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区)で、特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」が7月17日から開催されます。
生命が誕生してから40億年、地球上では幾度も生命の危機が訪れました。それは主に地球外からやってきた小惑星の衝突や火山などの地球内部の活動によりもたらされましたが、ときに生命活動そのものが引き金になったこともあります。しかし生命は、その都度、したたかにそれらの危機を乗り越え、絶滅したグループに代わるグループが新たに繁栄することを繰り返すことで、多様に進化を遂げてきました。言わば、絶滅は生命の繁栄を促した現象だと捉えることもできるのです。
本展では、その中でも規模の大きかった5回の「大量絶滅」事変(通称「ビッグファイブ」)を、化石や岩石に残された様々な証拠から紐解き、「生き物たち」の生存をかけた進化の歴史を辿ります。各種の古生物や火山、古気候、古海洋などを専門とする国立科学博物館の研究者10名による監修で、様々な角度から5回の大量絶滅の謎に迫ります。
東京展展示風景
特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」
会場:大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(大阪府大阪市東住吉区長居公園1-23)
会期:2026年7月17日(金)~10月12日(月・祝)
開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
※ただし、8月3日・10日は開館
観覧料:当日券 大人2,000円、高校・大学生1,500円、小・中学生700円
※未就学児、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料(要証明)
アクセス:
Osaka Metro 御堂筋線「長居」駅3号出口から徒歩約800m
JR阪和線「長居」駅東出口から徒歩約1km
詳細は、展覧会公式サイトまで。
ビッグファイブとは
生命の歴史の中で「進化」と「絶滅」は隣り合わせにある現象です。通常、100万年ごとに10%程度の種が絶滅すると考えられていますが、通常の絶滅とは異なって、短期間に75%以上もの分類群が絶滅したとされる現象(=大量絶滅)が過去に何度も起こっています。そのうち最も大きな5回の絶滅現象がビッグファイブです。ビッグファイブを境としてそれ以前と以降の生命の世界が大きく変わったため、それが次の新しい世界へと繋がる大きな原動力になったという考え方があります。
1 オルドビス紀末 約4億4400万年前
2 デボン紀後期 約3億8000万年前~約3億6000万年前
3 ペルム紀末 約2億5200万年前
4 三畳紀末 約2億100万年前
5 白亜紀末 約6600万年前
展覧会の見どころ
見どころ1 東京会場では約50万人が来場した「ビッグファイブ」をテーマとする特別展
国立科学博物館で約50万人が来場した話題の特別展が大阪についに巡回。生命史の中で起きた5回の大量絶滅「ビッグファイブ」を最新の研究成果を交えて紹介されます。

見どころ2 迫力の展示演出!
会場では大きな地球儀「大絶滅スフィア」が来館者を出迎えます。「大絶滅スフィア」は球形の映像展示で、地球史における「ビッグファイブ」について紹介されます。また、史上最大の絶滅の要因と考えられている火山活動を体感できる模型も展示されます。
「大絶滅スフィア」のイメージパース 画像提供©アフロ ※画像はイメージです
火山活動模型のイメージパース ※画像はイメージです
見どころ3 デンバー自然科学博物館から日本初公開の標本が来日!その他、国内から世界初公開となる貴重な標本も!
全米有数の自然史博物館の一つであるデンバー自然科学博物館の貴重な標本の数々が展示されます。デンバー自然科学博物館とは―アメリカのコロラド州にある、全米有数の自然史博物館の一つ。特に脊椎動物と植物の化石コレクションは、その規模、範囲、科学的価値において世界有数です。日本からは全長約6mのステラーダイカイギュウの全身化石を世界初公開。「ビッグファイブ」や生命史を紐解く貴重な標本を多数見ることができます。
デンバー自然科学博物館 ©Denver Museum of Nature & Science
展覧会構成
EPISODE 1 <O-S境界>海の環境の多様化 約4億4400万年前
海の生物に大きく影響した最初の大量絶滅事変です。オルドビス紀の世界有数の化石産地があるモロッコでの最新研究から、絶滅事変の詳細に迫ります。
エーギロカシス復元画 ©かわさきしゅんいち
アノマロカリス復元画 ©かわさきしゅんいち
エーギロカシス オルドビス紀/ラディオドンタ類/国立科学博物館
オルドビス紀前期に生息していた巨大な節足動物に近い生物で、体長は2mに達し、櫛状の器官でプランクトンをこし取って食べていたと考えられています。
アノマロカリス(レプリカ) カンブリア紀/ラディオドンタ類/国立科学博物館
EPISODE 2 <F-F境界> 陸上生態系の発展 約3億8000万年前~約3億6000万年前
東京展展示風景
火山活動に起因した寒冷化による複数回の絶滅事変です。海ではF-F境界と直後のD-C境界でダンクルオステウスなどの板皮類や多くの三葉虫が絶滅し、陸では巨大な森を中心とした生態系が始まりました。
タリーモンスター 石炭紀/分類不明/豊橋市自然史博物館
タリーモンスター復元画 ©かわさきしゅんいち
ワッティエザ デボン紀/シダ類/ニューヨーク州立博物館 ©Christopher Berry, William Stein, and Frank Mannolini ※レプリカを展示(実物の化石は展示されません)
最古とされる木の化石が日本初公開。高さ8mにもなった最古の高木植物です。
EPISODE 3 <P-T境界> 史上最大の絶滅 約2億5200万年前
東京展展示風景
シベリアで起こった大規模火山活動に起因した、古生代の終わりを告げる史上最大規模の絶滅です。海陸で多くの生物が絶滅しました。恐竜や魚竜、私たち哺乳類に繋がる仲間は生き残りました。
ディメトロドン(レプリカ) ペルム紀/単弓類/国立科学博物館 撮影:林 敦彦
約2億8000万年前に生息していた大型の捕食者で、背中の帆が特徴的です。恐竜ではなく、哺乳類に近い仲間です。
ウタツサウルス(レプリカ) 三畳紀/魚鰭類/国立科学博物館
宮城県に分布する三畳紀前期の地層から発見された、世界最古級の魚鰭類です。陸上にいた祖先から水中での生活へと進出する初期の段階を示す重要な種です。
EPISODE 4 <T-J境界>恐竜の時代への大変革 約2億100万年前
東京展展示風景
大西洋をつくった超大陸パンゲアの分裂。この時に起こった火山活動が原因とされる絶滅事変は、“爬虫類”の世界を大きく変え、恐竜が主役に躍り出るきっかけになりました。歴史的に有名な北米の化石産地の研究も紹介されます。
クリオロフォサウルス(レプリカ) ジュラ紀/獣脚類/国立科学博物館 撮影:大橋智之
約2億500万年前の三畳紀後期に北アメリカ大陸に生息していた大型の肉食性爬虫類です。恐竜類ではなくフィトサウルス類と呼ばれる分類群に属し、体全体はワニ類に似ていました。
レドンダサウルス(レプリカ) 三畳紀/主竜形類/福井県立恐竜博物館
EPISODE 5 <K-Pg境界>中生代の終焉 約6600万年前
小惑星の衝突により恐竜などの中生代型生物が絶滅しました。原因となった隕石や、この時代の変化が詳しく研究されている北米西部の化石が紹介されます。絶滅を乗り越えた後の哺乳類の変化に注目です。
ティラノサウルス(レプリカ) 白亜紀/獣脚類/国立科学博物館
白亜紀末期に北アメリカ大陸に生息していた大型の肉食恐竜で、全長は最大約13mに達しました。強力な顎と鋭い歯で、他の恐竜の骨を噛み砕くことができたと考えられています。
トリケラトプス(レプリカ) 白亜紀/角竜類/国立科学博物館
エクトコヌス 古第三紀/哺乳類/デンバー自然科学博物館 ©Denver Museum of Nature & Science
ワナガノスクスの一種 古第三紀/ワニ類/デンバー自然科学博物館 ©Denver Museum of Nature & Science
マメ科の一種(さや) 古第三紀/被子植物/デンバー自然科学博物館 ©Denver Museum of Nature & Science
エオコノドン 古第三紀/哺乳類/デンバー自然科学博物館 ©Denver Museum of Nature & Science ※レプリカを展示(実物の化石は展示されません)
ロクソロフスの一種 古第三紀/哺乳類/デンバー自然科学博物館 ©Denver Museum of Nature & Science ※レプリカを展示(実物の化石は展示されません)
EPISODE 6 新生代に起きた生物の多様化
大量絶滅のなかった新生代ですが、寒冷化や乾燥化など激しい気候変化が原因で生物の世界に大きな変化がありました。現在見られる生き物の多様な世界がどうやって形づくられてきたか、化石で辿ります。本章では、世界初公開となる全長約6mに及ぶステラ―ダイカイギュウの全身の実物化石が展示されます。ステラ―ダイカイギュウは北太平洋に生息していた海藻食の大型哺乳類で、この化石はこの種の世界最古のものです。
ステラ―ダイカイギュウ復元画 ©かわさきしゅんいち
ステラーダイカイギュウ 更新世~1768年/ジュゴン科/国立科学博物館
シフルヒップス(レプリカ) 始新世/ウマ科/国立科学博物館 ©RCI
地球の歴史を揺るがした5回の巨大な絶滅事変「ビッグファイブ」を、最新の研究成果と圧倒的な迫力の展示で体験できる本展は、大人から子供まで生命の神秘に触れられる貴重な機会です。世界初公開となる全長約6mのステラーダイカイギュウの全身化石や、アメリカのデンバー自然科学博物館から来日する日本初公開の標本群など、ここでしか見ることのできない貴重な展示が満載です。絶滅を新たな「繁栄」への原動力として捉え直す壮大な生命のドラマを、ぜひ大阪市立自然史博物館で堪能してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
