LUSAIL CITY, QATAR - DECEMBER 18: Lionel Messi of Argentina lifts the FIFA World Cup Qatar 2022 Winner's Trophy during the FIFA World Cup Qatar 2022 Final match between Argentina and France at Lusail Stadium on December 18, 2022 in Lusail City, Qatar. (Photo by Julian Finney/Getty Images)前回2022年のカタール大会で、優勝トロフィーを掲げるリオネル・メッシ。Julian Finney/Getty Images2026年のFIFAワールドカップを現地観戦するファンは、大会史上最も高額な出費を覚悟しなければならない。Business Insiderは、実際に現地に赴いて観戦した場合のコストを試算した。優勝候補の一角、アルゼンチン代表を決勝まで追い続けた場合、総費用はなんと3万ドル(480万円)を超えるとの結果が出た。

今年のワールドカップが史上最も観戦コストの高い大会になるという話は、すでに聞いたことがあるかもしれない。

しかし、ファンにとって「史上最も高い」とは具体的にどの程度を意味するのか。

Business Insiderは実際の数字を積み上げ、この世界最大のスポーツの祭典で、ファンが自国チームを追い続けた場合にかかる費用を弾き出した。

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具体的には、予約サイトや開催都市が公開している情報をもとに、①各試合のチケット代、②各開催都市への航空券、③ホテル代、④スタジアムへの現地交通費——という4つの項目から、現地観戦に必要な費用を計算した。

今大会に出場するのは48カ国。大会期間は6月11日から7月19日まで、約5週間にわたって開催される。試算の範囲を絞るため、前回大会(カタール2022)の決勝進出国であり、2026年大会でも優勝候補筆頭に挙がっているアルゼンチンとフランスに絞って検証した。

結果は……覚悟して読んでほしい。

熱狂的なアルゼンチンのファンが、決勝まで全試合を追い続けると、なんと3万ドル(480万円、1ドル=160円)超の出費を覚悟しなければならないことが分かった。

試算の前提条件

詳細に入る前に、試算の前提をいくつか整理しておこう。

航空券・チケット・ホテルのデータはいずれも2026年5月上旬時点のものであり、予約のタイミングによって実際の費用は変わりうる。ファンは応援する国から渡航し、大会期間の約5週間全体にわたってホテルに宿泊するという前提で試算している。国際線は乗り継ぎ1回以内の最安値、国内線は直行便の最安値を採用した。ホテルは各開催都市の中心部にある3つ星ホテルの最安値を参照した。グループステージだけで約1万ドル(160万円)

ワールドカップでは、全チームが勝敗に関わらず必ず最初の3試合を戦うことが保証されている。これがグループステージ(1次リーグ)だ。アルゼンチンはグループJ、フランスはグループIとなっている。

アルゼンチンの観戦チケットが高額なのは、同国が優勝候補の一角を占めているからだ。加えて、今大会はサッカー史上最高の選手との呼び声高いリオネル・メッシ(Lionel Messi)が引退前に出場する最後のワールドカップになると見るファンも多く、それもチケット需要を押し上げている。

アルゼンチンの初戦はカンザス州の州都カンザスシティで行われ、続く2試合はテキサス州ダラスだ。

チケット代、ホテル代、航空券、現地交通費をすべて含めると、アルゼンチン在住のファンがグループステージ3試合を観戦するためのコストは約9800ドル(約156万8000円)に達する。

その内訳を見てみよう。

まず、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスからの国際線航空券。乗り継ぎ1回以内の最安値はユナイテッド航空(United Airlines)で、1300ドル(約20万8000円)を超えていた。

ブエノスアイレスから渡航するアルゼンチン・ファンは、グループステージ3試合を観戦するために約1万ドル(約160万円)支払う計算になるPete Syme/BIPete Syme/BI

カンザスシティの3つ星ホテルに5泊すると約1800ドル(約28万8000円)。ダラスに8泊すると3000ドル(48万円)を超える。

そして肝心の観戦チケットだ。

5月上旬時点で最も安い席のチケットを調べたところ、カンザスシティのアルジェリア戦が747ドル(11万9520円)、ダラスのオーストリア戦が835ドル(13万3600円)、ヨルダン戦が862ドル(13万7920円)だった。

これに、カンザスシティとダラスを結ぶサウスウエスト航空(Southwest Airlines)のの航空券166ドル(2万6560円)、現地交通費33ドル(5280円)、ブエノスアイレスへの帰国便約900ドル(約14万4000円)を加えると、合計額は5桁(1万ドル台)に迫る。

決勝まで追い続けた場合の総費用は…

では、メッシが再びワールドカップのトロフィーを掲げる瞬間を見届けようと、全試合を観戦すると誓った筋金入りのアルゼンチンサポーターの場合はどうなるか。

決勝まで勝ち進むチームは、グループステージ後にさらに5試合を戦う。ラウンド32(決勝トーナメント1回戦)、ラウンド16(同2回戦)、準々決勝、準決勝、そして決勝だ(2026年大会は出場枠が32から48に拡大されたため、決勝トーナメントの初戦が「ラウンド32」となる)。

アルゼンチンがグループステージを首位で通過した場合、7月3日にマイアミでラウンド32を戦うことになる。

ダラスにさらに3泊してからチームを追ってマイアミへ移動すると、この時点でホテル代の累計は5630ドル(90万800円)に達する。

ここから観戦チケット代が跳ね上がり始める。7月3日の試合は最も安いチケットでも2000ドル(32万円)を超えていた。

アルゼンチンを決勝まで追い続けた場合の総費用(観戦チケット+ホテル+航空券+現地交通費)Pete Syme/BIPete Syme/BI

マイアミはワールドカップ期間中、現地交通費が最も高い都市の一つでもある。高速鉄道事業者ブライトライン(Brightline)は、マイアミ中心部から会場のハードロック・スタジアム(Hard Rock Stadium)の最寄り駅アベンチュラまでの往復運賃として141ドル(2万2560円)に設定している。通常日の5倍以上の価格水準だ。

その後、アルゼンチンのルートはラウンド16のアトランタ、準々決勝のカンザスシティ、準決勝で再びアトランタと続き、最後はニュージャージー州のメットライフ・スタジアム(MetLife Stadium)での決勝に向かう。

各開催都市間の国内線の最安値は136〜198ドル(2万1760円〜3万1680円)。アルゼンチン代表を追いかけるファンは、トーナメントの残り期間を通じて国内線の移動に総額約700ドル(約11万2000円)を費やすことになる。

準決勝チケットの最安値は約2500ドル(約40万円)、決勝は6000ドル(96万円)近くに達する。

決勝戦が開かれるメットライフ・スタジアムまでの現地交通費は、マンハッタンのペン・ステーションから往復列車で98ドル(約1万5700円)。この路線を運行する州政府系公共交通NJトランジット(NJ Transit)は当初、往復150ドル(約2万4000円)と発表していたが、広告スポンサー契約を獲得したため値下げされた。

すべてを合計すると、アルゼンチンを決勝まで追い続けるための費用は、実に約3万1000ドル(約496万円)に上る。

これがいかに途方もない金額か。アルゼンチンの1人当たりGDPが約1万4300ドル(約228万8000円)であることを考えれば明らかだろう。

フランスのファンはいくらかかる?

一方、フランスを決勝まで追いかけるコストは、アルゼンチンより安く済む。ただし、その差はわずかに過ぎない。

最大のメリットは、フランスの試合のほとんどが比較的狭いエリアに集中していることだ。グループステージはニュージャージー、フィラデルフィア、ボストンで開催される。決勝トーナメントの最初の3試合(準々決勝まで)も同じ3都市が会場で、決勝はニュージャージー州のメットライフ・スタジアムだ。

つまり、フランスの“仮想”サポーターはニューヨークを拠点にでき、準々決勝までの約1カ月間の滞在でホテル代を6700ドル(107万2000円)に抑えることができる。

では、準決勝以降のコストはどうだろうか。5月上旬時点で、各都市間を結ぶアムトラック(Amtrak)の鉄道チケットは25ドル(4000円)から103ドル(1万6480円)だった。

その後、準決勝の開催地ダラスに向かう218ドル(3万4880円)の航空券と1000ドル(16万円)のホテル代が発生し、ニューヨークに戻ってさらに1700ドル(27万2000円)のホテル代がかかる。

ボストンでは80ドル(1万2800円)の電車代を含む現地交通費、そしてアルゼンチンとほぼ同水準の観戦チケット代を合算すると、合計金額は2万5000ドル(約400万円)に上る。

ただ、フランスのファンが、もし大会期間中ずっと無料で泊まれる場所(知人宅など)をニューヨーク市内に確保できれば、費用は劇的に減少し、1万6721ドル(267万5360円)程度に収まるだろう。

W杯のダイナミックプライシングの仕組み

FIFA(国際サッカー連盟)は今大会で、ダイナミックプライシング(需要に応じて価格を変動させる仕組み)を採用した。そのため、チケット価格は幅広いレンジで変動している。

FIFAはBusiness Insiderに対し「既存および潜在的なファンが公平にアクセスできる環境を確保することを重視している」とコメント。さらに「FIFAの変動価格制によるチケット販売のアプローチは、各種のスポーツ、エンターテインメント分野における業界トレンドと一致している」と説明した。

また、各試合につき1枚60ドル(9600円)のチケットを1000枚用意しており、各参加国のサッカー連盟などを通じて熱心なファンに割り当てているという。

このダイナミックプライシング・モデルでは、グループステージ突破する見込みがほとんどなく、ましてや決勝進出など望み薄な下位ランクのチームの試合チケットのほうが、はるかに安く購入できる。

例えば、世界ランキング61位のサウジアラビア対69位のカーボベルデ戦の場合、取材時点(5月29日)に入手可能だった最安値のリセール・チケットは126.07ドル(2万171円)だった。

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