福島県の磐越自動車で部活動で遠征中の高校生などが死傷した事故から1か月あまりがたちました。
生徒たちの安全や今後の部活動の継続のために何が必要か。
学校とバス会社の現状やアンケートで得た回答などから考えます。

5月6日、福島県の磐越自動車道で新潟県の北越高校のソフトテニス部の生徒たちを乗せたマイクロバスがガードレールに衝突し、生徒1人が死亡、20人が重軽傷を負いました。

■文部科学省総合教育政策局・塩見みづ枝局長
「学校関係者・バス事業者・レンタカー事業者の視点も踏まえつつ、よりわかりやすい形で成果を現場にお示しできればと思っている」

この事故をうけて国は、全国の教育委員会などに安全確保の徹底を求める通知を出すとともに、6月末をめどに部活遠征などの安全確保の対策を取りまとめる方針を示しました。
高知県内でも、今城教育長が学校現場の実態を把握するよう指示を出し、遠征時の移動手段についての規則を見直すことも検討するとしています。

ここからは取材にあたった宇佐美記者とともにお伝えします。

■井手上キャスター
「今回のバス事故は何が問題視されているのでしょうか?」

■宇佐美記者
「今回の磐越道のバス事故では、貸し切りバスを運転する際に必要な免許を運転手が持っていない事を学校側・バス会社側がともに把握していなかったこと。また、バスや運転手の手配に関して学校とのやりとりを裏付ける書面を残していないことなど、バス会社のずさんな体制が大きな問題とされています。

■井手上キャスター
「この問題は新潟県のバス会社のものですが、県内ではどのような対応をしているんでしょうか?」

■宇佐美記者
「部活動でバスを手配する際、どのような手続きがおこなわれているのか。県内のバス会社を取材しました。」

高知市にある高知駅前観光では、大型バスやマイクロバスなど14台の貸し切りバスを運行しています。貸切営業課の土居まどか課長です。

■高知駅前観光 貸切営業課・土居まどか課長
「二度と起こってはいけないという所をひしひしと感じておりますし、お客様の命を預かる大変な仕事なんだなというのを改めて実感している」

契約の際、学校とはどのようなやりとりをおこなっているのでしょうか。

■高知駅前観光 貸切営業課・土居まどか課長
「まず、こういった見積もり依頼を学校さんから書類が届きまして、それに対して私たちは見積書をファックスでお送りさせていただくんですけれども、学校さんからいただいている目的地とお時間・人数様ですね。これで車両がどういったものが適しているかをこちらで判断しまして。こちらが実際お送りしているお見積書の書面とファックスの送信票の内容がこういったものです」

乗車する人数や運行する時間・ルートをもとに算出した見積書に学校側が同意すると、運送引き受け書を作成し、正式に契約成立となります。こうしたやり取りの中で、いちばん多いのが金銭面での相談です。

■高知駅前観光 貸切営業課・土居まどか課長
「お客様を守るためには安全コストっていうのは必要になると思うので。できるだけお客様の希望に沿った料金には近づけたいと思うんですけど、命を削る選択は絶対にしないようにというのは再度(改めて)思っています」

貸し切りバスの運賃は、国が都道府県ごとに最低運賃を定めていて、距離や時間によって算定されますが、2025年11月、運転手の担い手不足などを理由に運賃は引き上げられました。
最低運賃はありますが、上限がないため運賃はバス会社によって幅があります。
土居さんは、限られた予算の中で活動している学校側の事情に理解を示しつつも、子どもたちの安全を最優先に考えて欲しいと話します。

■高知駅前観光 貸切営業課・土居まどか課長
「どうしても避けられない金額っていうのはあるんですけれども実際のところ。ただ命がなくなってしまっては取り返しがつかないので、そこは私たちバス会社に今後とも頼っていただきたい」

■宇佐美記者
「高知駅前観光では学校側とやりとりした書面は全て保管し、運転手の健康状態の把握も徹底しているということです。」

■井手上キャスター
「ただVTRにもありましたが、学校側の予算と安全コストのバランスが課題になりますね。」

■宇佐美記者
「貸し切りバスは人件費・燃料費の高騰で運賃が値上げし、学校の部活動の予算を圧迫している現実があります。」

高知放送では今回、県内の公立・私立高校に部活遠征時に関するアンケートを実施し、40校から回答を得ました。

それによりますと「正規の貸し切りバスを手配する上で現場として深刻に感じている課題は何か」という問いに対しては、ほとんどの学校が・予算が見合わない。少人数の部活では1人あたりの負担が大きくなり、利用に踏み切れないと回答しています。

また、「部活動の遠征時にはどのような交通手段を用いているか」という質問に対しては、バス会社と契約して車や運転手がつく「貸し切りバス」や「公共交通機関」よりも「学校管理の車を教員が運転」または、「教員の私有車を利用」などの答えが多くありました。

こういった移動手段について何か規定はあるんでしょうか?

■宇佐美記者
「県教育委員会の規定では部活遠征などの移動時は公共交通機関の利用や貸し切りバスといった運転手付きの車を借り上げることを原則としていますが、例外として。学校が管理するマイクロバスや個人の車を教員が運転することが認められています。

市町村によって交通環境にも差があると思いますが、多くの高校で例外的に認められた方法で遠征を行っている実情があるんですね。

■宇佐美記者
「この傾向は郡部だけでなく高知市内でも多く見られます。このうちの1つの学校を取材しました。」

高知市の高知中学・高校です。
県内屈指のスポーツ強豪校で、運動部だけでも中高合わせて30の部活動があります。

■高知中学高校・田村校長
「これが本校が使っている学校のバスになります」
Q:運転をされているのは?「教員が主になりますけど、場合によっては保護者にお願いする場合もあります」

部活動の遠征は、費用面を抑えるため、学校が管理する5台の大型バスやマイクロバスを利用。このうちマイクロバスは教員が保護者が運転しています。

■高知中学高校・田村校長
「時期にもよりますけど。大きな大会の前とかになると(土日も)フル活動、フルに動いている。子どもたちのために。部活の成果も含めて出したいという事もあって。教員が身を削りながらやってもらってるのが現状ですね」

高知中学高校では今後、国や県から遠征時の移動手段について新たな通知が出た場合、学校独自のガイドラインと照らし合わせながら改訂することも検討しているといいます。それとともに、学校管理のバス利用が今後厳しくなった場合の部活動の遠征への影響を懸念しています。

■高知中学高校・田村校長
「県立であろうが私立であろうが子どもたちは部活動を継続してやっていく。そういう部分でより安全な部活動ができるような。補助っていいますかね。経済的な部分での補助とか運転手に対しての安全講習とかそんな部分での側面的な講習会を開いていただくとか、そういうこともできれば要望したいと考えています」

学校現場の負担が重くなっているんですね。

■宇佐美記者
「取材した高知中学・高校だけでなく、多くの学校が生徒の安全を守るためにもっとも求めたい対策として、遠征費用に対する補助金や安全管理をあげています」そのほか、自治体の車などを部活動で柔軟に活用できる制度やインフラ整備・保護者の協力などの意見がありました。

どうにか負担を減らしつつ、安全管理を徹底できる方法が見つかればと思いますね。

■宇佐美記者
「予算や交通事情に加え、県内でもすすむ部活動の地域移行でクラブチームが多くなってきている中で未来を担う子どもたちを守る仕組みを作っていかなければならないと思います。」

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