
台湾株式市場の時価総額がインドを上回り、世界5位の規模となったことが分かりました。 背景には、半導体受託生産世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の株価上昇と、生成AI(人工知能)ブームを追い風にしたハイテク株への資金流入があります。 5月下旬時点のデータでは、台湾株式市場の時価総額はおよそ4兆9500億ドル(約787兆円)に達し、インドのおよそ4兆9200億ドルを上回った水準とされています。 この結果、台湾は米国、中国本土、日本、香港に次ぐ世界5位の株式市場となりました。
台湾市場をけん引しているのがTSMCです。同社は半導体ファウンドリー(受託製造)で世界最大手であり、エヌビディアやアップルなど大手IT企業向けにAI用途の先端半導体を供給しています。 2026年初には、AI需要への期待を背景に大手証券会社が目標株価を引き上げ、株価は上場来高値を更新する水準に達しました。 さらに2026年1〜3月期決算では、売上高が前年同期比約35%増、純利益が約58%増と四半期として過去最高を記録しており、好調な業績が株価と時価総額の拡大を支える要因になっています。
台湾株式市場全体の時価総額は、2026年4月時点で英国を上回り世界7位となっていましたが、その後もAI関連銘柄を中心に資金流入が続いてきました。 ハイテク株への資金回帰が進む中で、台湾市場はAI関連のサプライチェーンを抱える市場として国際的な存在感を高めています。 台湾証券取引所(TWSE)は、世界第5位の資本市場としてAIエコシステムを支える役割を掲げ、台北で開かれるIT見本市「COMPUTEX」への復帰を通じて、上場企業の技術力や投資魅力を発信する姿勢を示しています。
一方、インド市場では原油価格の高騰が株式相場の重しになっています。インドは原油輸入依存度が高く、中東情勢の緊迫を背景としたエネルギー価格の上昇が、インフレ加速や企業業績への懸念を強める要因となっています。 2026年春には、海外金融機関がインド株の投資判断を「中立」から「弱気」に引き下げ、原油高が企業の利益回復の持続性を損なうとの見方を示しました。 さらに、原油高と通貨ルピーの下落を背景に、インドの株式・債券市場から外国人投資家の資金が大幅に流出しており、こうした要因がインド市場の時価総額の伸び悩みにつながっているとみられます。
AIブームと原油高が映す2026年市場の軸
台湾とインドの明暗は、2026年の世界金融市場を象徴する二つの潮流を浮かび上がらせています。一つは、生成AIブームを背景とした半導体・ハイテク分野への資金集中です。TSMCはAI向け先端半導体の需要拡大を受けて増収増益を続け、株価も上場来高値圏で推移しています。 台湾株式市場全体としても、英国を抜き世界7位に浮上した後、ハイテク株への資金回帰が続いており、AI関連産業の集積が市場全体の評価を押し上げる構図になっています。 TWSEはCOMPUTEXへの出展を通じてAI関連企業との連携を強化し、「世界のAIを支える資本市場」としてのポジション確立を目指しています。
もう一つは、イラン情勢などを背景とした原油価格高騰が、新興国市場の足かせとなっている構図です。インドでは、原油調達を輸入に依存する経済構造から、エネルギー価格の上昇がインフレや成長鈍化への懸念を高め、株価指数は年初来で下落基調にあります。 原油価格高騰と地政学リスクの高まりを受けて、インド証券市場からは外国人資金が記録的なペースで流出し、通貨ルピーが過去最安値を更新する局面も生じました。 投資資金が、原油高の影響を比較的受けにくく、AI関連産業の集積が進む台湾や韓国など北東アジアの市場へ振り向けられる中、エネルギー輸入国であるインドの相対的な魅力は低下しているとの見方も出ています。
今後もAI需要の持続性や原油価格の動向、地政学リスクの行方が、台湾とインドを含む新興市場の時価総額や資金フローに大きな影響を与える可能性があります。
