【5月28日 CNS】立夏を過ぎ、中国各地では本格的な暑さが始まっている。北京市では日中の最高気温が35度近くまで上がり、街中では手持ち扇風機を持ったり、日よけ帽子をかぶったりする観光客の姿が目立つ。近年、中国製の日よけ・暑さ対策グッズが、海外消費者に人気のファッションアイテムになりつつある。
今年4月、ユニークな見た目の「手のひら日よけ帽子」がユーチューブ(YouTube)やティックトック(TikTok)などのSNSで一気に話題となった。帽子のつばは手のひらほどの大きさで、形も手のようになっており、プラスチック製のカチューシャで頭に固定する。かなり奇抜で、どこかナンセンスなデザインだが、「世界のスーパーマーケット」と呼ばれる浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)では、商人たちがすぐに動き、3Dプリンターを使って半日で試作品を作り、量産までこぎ着けた。一部の業者はさらに、「両手バージョン」や「蘭花指(中国伝統芸能の指先ポーズ)」風の派生商品も売り出し、海外バイヤーから注文が相次いだ。これらの人気商品はすでに欧米や東南アジアなど20以上の国・地域に出荷されているという。
「手のひら日よけ帽子」がアイデアとスピードで注目を集めたとすれば、中国製の涼席は、昔ながらの知恵と現代技術で世界市場に広がっている。涼席は中国で数千年の歴史を持つ寝具で、竹や藤などの天然素材で作られてきた。近年は、人工繊維を現代の製法で織り上げた「アイスシルク涼席」が登場している。表面がなめらかで、触れるとひんやりし、自然に涼しさを感じられる。通気性がよく、脚の毛を挟みにくいことなども評価され、欧米の消費者に支持されている。エアコンの設置費や電気代が高い欧州では、エアコン1台の設置に1000ユーロ(約18万4800円)以上かかることも珍しくない。そのため、価格が手頃で買ってすぐ使える中国製のアイスシルク涼席は、夏を涼しく過ごすための実用的な選択肢になっている。
扇風機も、世界の消費者に親しまれる暑さ対策グッズの一つだ。そこには、中国の老舗国産ブランドの存在も欠かせない。広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)で創業した「鑽石牌(ダイヤモンド)」の扇風機は、その代表格だ。1957年、鑽石牌の扇風機は第1回中国輸出入商品交易会、いわゆる広州交易会に登場し、外国の商人から注目を集めた。中国で最も早く海外へ輸出された家電ブランドの一つでもある。1970年代以降、同ブランドの扇風機は東南アジア、中東、中南米などへ輸出されるようになった。数十年にわたり発展を続け、鑽石牌に代表される中国の老舗ブランドは今も改良を重ね、国際展示会で存在感を示している。2026年の第139回広州交易会では、マレーシアのバイヤー、丁揚崗(Ding Yanggang)氏がメディアの取材に対し、東南アジアの消費者にとって、鑽石牌などの中国老舗ブランドは歴史が長く、早くから現地に浸透しており、今も市場で人気の商品だと語った。
新興の中国扇風機ブランドも急成長している。北京の商業施設の実店舗では、首掛け型、螺旋型、LEDスマートディスプレイ付き扇風機などが目立つ場所に並んでいる。その一部は、深セン市(Shenzhen)の几素科技(JisuLife)の製品だ。同社は2016年に設立され、2019年に海外展開を始めた。現在は首掛け型、卓上型、クリップ型、香り付き扇風機、ベビーカー専用扇風機などを展開している。2025年時点で、世界の実店舗は2万店を超え、扇風機の出荷台数は6000万台を突破した。CES、IFA、グローバルソースエレクトロニクスなどの国際展示会にも毎年出展し、海外で知名度を高めている。また、ドライヤーで知られる徠芬(Laifen)も今年5月、初の折りたたみ式ハンディファン「AirFold」を発売し、デザイン性、携帯性、実用性を兼ね備えた商品として展開している。
さらに、「持ち歩ける小型エアコン」とも呼ばれる冷感タオルもネットでよく売れている。薄手の冷感タオルは「冷感ウェットタオル」などとも呼ばれ、1枚あたりの面積は一般的なウェットティッシュより大きい。ミントなどの冷感成分が加えられており、体を冷やしながら汗も拭ける。涼しさは2~3時間続くという。袋を開けて軽く拭くだけで、すぐにひんやり感が広がり、水に濡らして使うとさらに涼しさが増す。中国のECサイトでは、1枚9.9元(約230円)の冷感タオルが、直近半月で200枚以上売れた。ピンクやグリーンなど見た目のよいタイプも登場し、若者が屋外スポーツやコンサートに持って行くファッション小物にもなっている。
「手のひら日よけ帽子」の急なヒットから、涼席や扇風機の安定した人気、冷感タオルの売れ行きまで、こうした「中国発の優れもの」が世界で広がる理由は、表面的には商品改良の速さやアイデアの面白さにある。しかし本質的には、消費者のニーズに素早く応える力にある。高度で複雑な技術を売りにしているわけではないが、利用者が本当に求めるものを的確に捉え、「手軽に得られる涼しさ」を世界の消費者に届けている。そこにこそ、「中国発の優れもの」が世界を引きつける理由がある。(c)CNS/JCM/AFPBB News
