ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアは、5月22日(金)に開幕を迎える2026年F1第5戦カナダGPに向けて、「ドライバビリティとエネルギー・マネジメント戦略の強化」を週末の重要目標として掲げた。
アストンマーティン・ホンダのランス・ストロールにとっての母国レースとなる今週末のグランプリでは、コーナー進入時により高いスピードを維持できる自信をドライバー自身が持てるかどうかが、ラップタイム向上の鍵となる。
ドライバビリティ強化へ注力
ホンダがカナダGPで重視するのは、ドライバビリティの向上およびエネルギー・マネジメント戦略を通してドライバーの「自信」を高めることだ。
「モントリオールでは、ドライバーがさらに自信を持って走行できるよう、ドライバビリティとエネルギー・マネジメント戦略の強化に注力します。これは週末を通じた重要な目標です」と折原TGMは語る。
ドライバビリティとは、アクセルやブレーキ操作に対してマシンから期待通りの反応を引き出せる度合いを指す感覚的・技術的特性のことだ。特に低グリップ条件下では、電動パワーの制御精度やトルク供給の精度がこれに大きな影響を与える。
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd
メディアラウンドテーブルで発言するホンダ・レーシングの折原慎太郎トラックサイドゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア、2026年5月3日(日) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
5月のモントリオールは天候の不安定さでも知られる。ウエットコンディションの可能性、そして気温の低下。いずれもグリップ不足の要因であり、折原TGMは警戒感をのぞかせている。
「こうした条件下ではグリップの確保が難しく、MGU-Kの制御精度やトルク供給の精度など、ドライバビリティの重要性がさらに高まります」
電動パワーが総出力の約半分を担う2026年の新世代マシンにおいては、パワーユニットとシャシーの統合的な制御が従来以上にドライビング感覚に直結する。
ジル・ビルヌーブの特殊性
典型的なストップ・アンド・ゴー型のジル・ビルヌーブ・サーキットには、パワーユニットの観点から重視すべきいくつかの技術的要素がある。折原TGMは次のように指摘する。
「このサーキットは長い直線があり、この区間に向けたデプロイメントの最適化も重要です。バックストレートの手前には低速コーナーがありますし、ターン1、2も同様に低速で難しいセクションです」
ロングストレートと、その前後の低速コーナーという組み合わせは、エネルギー回生と放出のサイクルを設計する上で、やや特殊な要求を生む可能性がある。
低速コーナーへの進入時にしっかりとエネルギーを回生し、立ち上がりから直線にかけて効率的に放出する。この一連のサイクルの完成度が、ラップタイムに直結することになる。
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
ジル・ビルヌーブ・サーキットのメインストレートに設置されたスタートシグナルと路面に描かれた”Salut Gilles”のペイント、2025年6月12日F1カナダGP
鍵を握る僅か60分間での最適化
同じくスプリントフォーマットが採用された前戦マイアミGPでは、FP1が30分拡大され90分間で行われたが、カナダでは従来通り60分間で実施される。
「FP1が非常に重要になります。今大会では通常通り60分のセッションとなるため、時間内にあらゆる要素を最適化する必要があります」と折原TGMは強調する。
いまだ未知数が多いエネルギー・マネジメントの習熟と設定に加え、ドライバビリティの調整、コンパウンドの評価、そしてセットアップの煮詰めまで、カナダではあらゆる作業を限られた時間内にこなさなければならない。
第5戦カナダGPは、現地時間5月22日(金)にFP1とスプリント予選、23日(土)にスプリントレースと公式予選、そして24日(日)に決勝レースが行われる。
