ENHYPEN、ワールドツアー『BLOOD SAGA』ソウル公演評 6つの個性が結実した“血の叙事詩”の到達点

K-POPボーイグループ史上、デビューから最速で日本3都市ドームツアーを成功させ、さらには海外アーティストとしてデビュー後最速で日本スタジアム公演を達成するなど、日本でもその名を轟かせているENHYPEN。

【ライブ写真ギャラリー】『ENHYPEN WORLD TOUR ‘BLOOD SAGA’ IN SEOUL』

彼らにとって4回目となるワールドツアー『ENHYPEN WORLD TOUR ‘BLOOD SAGA’』が、5月1日にソウル・松坡区のオリンピック公園KSPO DOMEにて開幕した。1日から3日までの3日間で行われたソウル公演には、約3万2千人のENGENE(ENHYPENファン呼称)が集結。ライブの様子はオンラインを通じて世界109の国と地域にも届けられ、凄まじい熱狂が世界中を包みこんだ。

本公演は”君”と永遠の”血の叙事詩(BLOOD SAGA)”を分かち合うヴァンパイアの強い意志を描いたダークファンタジー。これまで楽曲や映像を通して描いてきたストーリーをライブにも落とし込み、儚くも凛々しいENHYPENワールドを作り上げた。本稿では、5月2日の様子をお届けしていく。

妖しげな雰囲気のオープニング映像に連なり、ステージ上には真紅の紗幕が登場。いよいよ物語が幕を開け、誰もが息を飲んだその時、紗幕の奥からメンバーが姿を現した。JAYの第一声により「Knife」が切り開かれ、Ni-Kiが「Ready?」と焚きつける頃には、すでに会場は灼熱の盛り上がり。舞台上でのENHYPENの一挙手一投足に、絶えず歓声が上がる。冒頭から印象的だったのは、パフォーマンスに宿る気迫の強さだ。歌声やモーションのひとつひとつから「6人編成でもクオリティは絶対に下げない」という鮮烈な決意が滲み出ているよう。ダンサーを従えた傑出した群舞もぶちかまし、秘められた狂気を解放したのである。

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妖艶に惑わす「Daydream」、クールに攻める「Outside」、ギターカッティングが印象的な「Brought the Heat Back」と、ENHYPENの勢いは止まらない。JAKEが雄々しさと甘さの混ざった色気で魅了すれば、JUNGWONは伸びやかに声を響かせる。「No Way Back」になると、スタンドマイクを前にとろみのある歌声を紡ぎだすメンバー。アンニュイかつメランコリックなムードには、ENHYPENの特色が十二分に表れていた。

神秘的な光を胸にした6人が、新たな光へ向かって歩み始める映像を経て「Big Girls Dont Cry」へ。幼さが抜けたステージングには、思わず胸を預けたくなる逞しさが香る。変わらない愛を確信するストーリーを描いた「No Doubt」でも、大人の包容力は健在だ。SUNGHOONが歯切れのいいダンスで惹きつければ、SUNOOは柔らかな微笑みでハートを打ち抜く。華麗なステップとフォーメーションチェンジもスマートで、ENHYPENの成熟を感じさせた。

その後も「Sleep Tight」「Bills」と、大切な人を想う愛の歌が繰り広げられる。ひときわ大きな歓声が湧き上がったのは、「Moonstruck」だ。ステージバックに大きな月が映し出されているのに加えて、ちょうど満月なのもあり、いつも以上にロマンティックな心地。胸が張り裂けそうなほどに切ない声色が、曲にこめられた想いをまざまざと映し出していた。

このまま悲恋で幕を閉じてもおかしくないものだが、そうはさせないのがENHYPEN。「Paranormal」を投下して空気を一変させると、奇跡以上の愛を刻みつける。会場には《Woah》のシンガロングが晴れやかに響き渡り、メンバーとENGENEのお互いを想い合う気持ちが歌を通して重なり合っているようだった。

超常現象的な愛を手にした彼らは、夢を切り開いていくターンへ突入。とどまることなく「Blockbuster」にたどり着くと、メインステージに吊るされたフライングゴンドラに飛び乗った。限られたスペースであっても、歌や踊りに精一杯の想いを乗せる姿は、彼らの真摯な生き様を物語る。その後も、勝利への野心を燃やす「Go Big or Go Home」、前を歩くから一緒に進もうと宣言する「Future Perfect」と畳みかけていった。

「Stealer」では、なんと黒いケープを被った追撃者が場内に出現。直前の映像とリンクするような演出で、オーディエンスの度肝を抜いた。初披露となったパフォーマンスの完成度だって、言わずもがな。天まで抜けていく高音、軽やかなダンス、一つひとつのエッセンスが見る者を虜にする。そして、ルールを飛び越えた先の世界として「Drunk-Dazed」をドロップ。最後の晩餐のようなステージセットを使いこなし、長い年月をかけて磨き上げられてきた才能を遺憾なく発揮した。

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ギアを踏みこんだENHYPENは、もう誰にも止められない。血で繋がれた運命を描いた「Bite Me」「Fate」を繰り出し、ラストスパートを駆け抜けていく。また出会えたら僕を抱きしめてほしいと願う「CRIMINAL LOVE」で大トリへ。逆光の黒を背負ってのダンスは、どんな瞬間だって煌めいて魅せると謳うように美しい。全身全霊を注ぎこんだ表現で、「血の叙事詩」と題された一幕を堂々と結んだのだった。

本編が終了したのも束の間、会場一体となって賑わうミニゲームを挟むと、アンコールに一転。メンバーはトロッコに乗り込み、「Lost Island」と共に客席を回遊していく。ENGENE一人ひとりとコミュニケーションを取る姿は朗らかで、今できる全てをかけてここまで走り切ってきた事実を物語っていた。「XO(Only If You Say Yes)」「Blind」「Helium」と連なるメドレーに誘発され、再び会場の熱気は最高潮。その熱量をギュッと掴むと、「SHOUT OUT」へなだれ込む。健やかで清廉なオーラ、エネルギッシュな歌声、密度の濃いシンガロン。様々な要素が重なり生み出された光景は、とてつもなくブライトで、凄まじい多幸感を作り出す。紙吹雪もキラキラと舞い、大団円のうちにフィナーレとなった。

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会場の照明が落ち、このまま幕引きかと思われたが「ENGENE寂しくないですか? もう1回ジャンプする準備ができたら叫んでね!」の声により、Wアンコールへ。「Paranormal」と「Knife」にすべてをぶつけ、3時間弱のステージを締めくくったのだった。

観る者を圧倒する、圧巻のショータイムとなった『ENHYPEN WORLD TOUR ‘BLOOD SAGA’ IN SEOUL』。しかし、本公演は彼らにとっては旅の序章に過ぎない。ここからENHYPENは、来年3月までかけて世界21都市を巡る冒険へ飛び立っていくのだ。世界中のENGENEと出会いながら、彼らがどのような進化を遂げていくのか、今から楽しみでならない。

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