© 2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会 岩本EP_中満泉事務次長_鈴木長崎市長

 登壇者:岩本炯沢(エグゼクティブプロデューサー)、鈴木史朗(長崎市長)、馬場裕子(長崎県副知事)

 1945年、夏。原爆投下直後の長崎を舞台に、被爆者救護にあたった若き看護学生の少女たちの“青春”を描く映画『長崎―閃光の影で―』。
 太平洋戦争末期の1945年、日本赤十字社の看護学校に通う17歳のスミ、アツ子、ミサヲは、空襲による休校のため長崎へ帰郷し、家族や友人との平穏な時間を過ごしていた。しかし、8月9日11時2分、長崎市に原爆が投下されたことで、彼女たちの日常は一変。街は廃墟と化し、彼女たちは未熟ながらも看護学生として負傷者の救護に奔走する。救える命よりも多くの命を葬り去らなければならないという非常な現実の中で、彼女たちは命の尊さ、そして生きる意味を問い続ける――。
 原爆被爆者を救護した日本赤十字社の看護師たちが被爆から35年後にまとめた手記「閃光の影で-原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記-」を基に脚本が執筆された本作。菊池日菜子、小野花梨、川床明日香といったフレッシュな新鋭が3人の看護学生の少女を演じ、自身も長崎出身の被爆三世である松本准平が監督を務めた。
 2025年7月に長崎先行公開、8月に全国公開されると、被爆の記憶を次世代へとつなぎながら平和の意味を問いかける作品として、世代を越えて共感を集め、大きな反響を呼んだ。
 さらに昨年10月にはバチカン市国にて上映が行われるなど、その反響は国内にとどまらず海外へと広がりを見せている。

 そうした反響の広がりを受け、本作はこのたび、NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議が国連本部で開催されるタイミングにあわせ、ニューヨークにて国連後援のサテライト上映会を実施。核問題が国際的に議論される最中、国連至近の会場で日本映画が上映されるという象徴的な機会となった。

 会場は国連本部から徒歩圏内に位置するJapan Society。海外での上映は、昨年10月のバチカン市国での上映に続いて2度目、アメリカ国内では初となる。本上映は、Japan Society、International House of Japan、長崎県、長崎市との連携により、「長崎」をテーマにした包括的な文化発信イベントとして開催された。

 当日は、国連関係者、外交関係者、ICANメンバー、大学教授など、多様なバックグラウンドを持つ招待客、約120名が来場。さまざまな国や地域にルーツを持つ来場者が多く、国や立場を越えた観客が一堂に会し、同じ時間を共有する場となった。
 さらに、NPT再検討会議の開催期間中という国際的な文脈の中で実施された本上映は、核をめぐる議論が続く現代において、文化を通じた平和発信の一例として注目を集めた。政治や外交の場とは異なる“映画”という表現手段で、平和へのメッセージを届ける試みだ。

国際社会の中心で問う「核」と「平和」

 当日は、長崎市による観光セミナーに続き上映会がスタート。上映前には、製作委員会代表でありエグゼクティブプロデューサーの岩本炯沢氏、長崎市長・鈴木史朗氏、長崎県副知事・馬場裕子氏らが登壇し、それぞれの立場から本作に込めた想いを語った。

長崎市長・鈴木史朗氏長崎県副知事・馬場裕子氏

 岩本氏は、自身も被爆三世であることに触れながら、本作について「単なる記録ではなく、戦争の悲惨さを次の世代へ継承していくための作品」と語り、国連の後援のもとニューヨークで上映される意義を強調。

岩本炯沢(エグゼクティブプロデューサー)

 また、松本准平監督(長崎出身・被爆三世)からのメッセージも代読され、「核兵器の脅威は過去のものではなく、今なお存在し続けている現実である」と、作品を通じて世界に問いかける姿勢が示された。

 さらに、NPT再検討会議の開催期間中という国際的な文脈の中で実施された本上映は、核をめぐる議論が続く現代において、その意義が改めて示された。

「涙が止まらない」「若い世代に観てほしい」――観客の胸に残った“余韻”

 上映中は涙をこぼす観客が多く、エンドロールが終わった後もしばらく泣き続けるという場面も見られた。その後、国連の中満 泉事務次長(軍縮担当上級代表)も登壇。会場は平和への思いを共有する場として一体感に包まれた。

 観客からは、「胸がいっぱいになり、涙が止まらなかった」「ニューヨークの若い世代にこそ観てほしい」「戦争を“他人事”として捉えてはいけないと感じた」といった声が寄せられ、本作が国や世代を越えて強い共感を呼んでいることがうかがえた。
 さらに上映後のレセプションでは、日本食を囲みながら来場者同士が自然と会話を交わし、作品について言葉を交わす姿が会場のあちこちで見られるなど、映画をきっかけとした対話が自然と生まれていった。

長崎から世界へ――「記憶の継承」を映画で

 被爆から80年という節目の年に完成した本作は、長崎の実体験をもとにした物語を通して、命の尊さと平和の意味を問いかける作品。
 長崎でのワールドプレミア、日本国内での劇場公開バチカンでの上映に続き、国際都市ニューヨークでの上映を経て、確かな広がりを見せている。被爆から80年――その記憶を未来へつなぐ歩みは、国境を越えて続いていく。
 今後も本作は、海外上映や教育機関での上映などを通じ、次世代へと記憶を継承していく取り組みを展開していく予定。

★松本准平監督メッセージ全文

 お集まりの皆様、ありがとうございます。映画「NAGASAKI -In The Shadow Of The Flash-」が今日、国際連合の舞台で上映されることを心から光栄に存じます。まず、上映を前に進めてくださった国連事務次長・軍縮担当上級代表・中満泉様に心からの感謝を申し上げます。また上映を支えてくださったInternational House of Japan(国際文化会館)、Japan Societyの皆様に深い御礼を申し上げます。また、一緒に準備を進めてくださった長崎市と長崎県にも感謝を。
 私は1984年に長崎に生まれ、育ちました。祖父が被爆者であり、被爆三世です。父がカトリック信者であったことで、私は幼児洗礼を受け、小さい頃から教会に通う生活でした。一歩外に出ると原爆の傷が刻まれた街で、「隣人を自分のように愛しなさい」というイエスの教えを受けて育ったのです。
 私が映画監督になろうと決意したときに、必然的に私の関心は、罪と愛に引き裂かれた人類の姿に向かいました。そして私はいつか原爆を題材にした映画を作りたいと願っていました。幸運にも救護看護婦を題材にしたこの映画の企画に出会い、製作し、こうしてNPT再検討会議の最中に、皆様にお届けすることができる機会に巡り合い、大変光栄に思います。
 この映画に描かれるのは1945年8月9日という80年以上前の過去の出来事です。しかしもう皆さんがよくご存知のように、この映画の出来事は世界中のあちこちで今起きていること、そして今まさに起こりうることもでもあるのです。私はもはや懐古的に日米の視座に立って本作を作ったのではありません。核兵器は人類の罪です。そして人類の、私たち一人ひとりの問題なのです。「隣人を自分のように愛しなさい」この言葉は確かに不可能に響きます。ですが、求めるなら、与えられます。亡くなった祖父を含め、被爆者たちは決して諦めていません。そして今、平和を求める世界中の人々は決して諦めていません。求めるなら、与えられます。この映画の中に多くの人々の願いと祈りを見出してもらえたなら幸せです。
  監督:松本准平

公開表記

 配給:アークエンタテインメント
 DVD・Blu-ray好評発売中!【DVD:¥4,000/Blu-ray:¥4,800 ※共に税抜/発売元・販売元:アメイジングD.C.】
 各配信サイトにて配信中

(オフィシャル素材提供)

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